トヨタ×道セレクション
群馬県渋川市
北は北海道、南は沖縄まで、全国の道で行われるモータースポーツ、トヨタのラリーチャレンジ。それぞれの開催地には独自の風土と文化が息づきまだ知られていない魅力がたくさん眠っている。
群馬県の中心に位置する渋川市もそのひとつ。榛名山を望む雄大な自然に数百年以上の歴史を誇る伊香保温泉。古くから多くの旅人を癒してきたこの地で見つけた真価を紹介したい。

渋川市は、群馬県および日本のほぼ中央に位置し、温泉文化が息づく自然豊かな街だ。古くから交通の要衝と宿場街としても栄えてきた。1954年に渋川町、金島村、古巻村、豊秋村が合併して渋川市が誕生。さらに2006年には周辺の北橘村、赤城村、子持村、小野上村、伊香保町と合併。人口72270人(2024年10月現在)、面積240.27㎢。
万葉集にも記載される日本の湯処
伊香保温泉
日本が誇る名湯である草津温泉と伊香保温泉。同じ群馬県に位置しながら、その個性や歴史は異なる。泉質はもちろんのこと、戦国武将や将軍家に愛された草津温泉と、万葉集に登場するほか江戸期には湯治ブームでにぎわい、明治の文人墨客に愛された伊香保温泉。いまなお、上質な湯浴みの場所として旅人を癒しているそんな伊香保のシンボルが石段街だ。1576年に作られ、現在は365段にもなる石段は、湯けむりとともにノスタルジックな雰囲気を醸している。夕暮れ時になると、両側に立ち並ぶ旅館などから漏れる明かりが石畳を優しく照らし出す。その石段を一歩一歩上りながら、昔から変わらない温泉情緒に浸かってみるのもいい。

上ノ山公園から望む夕暮れに染まった伊香保温泉街。
伊香保温泉(石段街)
住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保94-2付近
榛名山麓の広大な敷地にある
現代アートの聖地
原美術館ARC
世界的建築家である磯崎新氏が設計した建物と周囲の山々が呼応し、それ自体がひとつの芸術作品となっている「原美術館ARC」。 約32,000平方メートルの広大な敷地には、かつて東京・品川にあった原美術館(現在は閉館)の所蔵品を中心に、20世紀から今日までの、世界の現代美術作品の数々が幅広く展示されている。草間彌生、奈良美智、アンディ・ウォーホルといった巨匠たちの作品に加えて、特別展示室「觀海庵」では、円山応挙、狩野派といった東洋古美術の名品も鑑賞することができる。併設されたカフェテラスからは、四季折々、訪れる者を魅了する雄大なパノラマを望むことができる。都会の美術館では決して味わえない、自然と芸術が織りなす格別な時間が、ここには流れている。

国内外の著名作家たちの作品が並ぶ館内は見応え十分。

広大な敷地を有する原美術館ARC。周囲には自然が広がる。
原美術館ARC
住所:群馬県渋川市金井2855-1
電話:0279-24-6585
営業時間:9:30–16:30(木曜定休、1月14日–3月中旬まで冬季休館)
www.haramuseum.or.jp
多くの偉人が愛した伊香保が誇る
おもてなし宿
香雲館
江戸末期の文久年間に石段街に創業。そこから現在の場所へ居をうつした「香雲館」は、一歩足を踏み入れると日本と海外の意匠が共演する、まるで美術館のような空間が広がっている。客室は10室のみ。「風」「月」「漆」「銀閣」「金閣」などと名付けられた客室は、その名の通りの装飾や調度品で彩られ、趣がまったく異なる。また、それぞれに内風呂と露天風呂がつくという贅を極めた作りも特徴のひとつだ。本館である「塚越屋七兵衛」とともに、これまで皇族や多くの要人たちが愛した伊香保でも由緒ある宿のひとつ。
源泉かけ流しの湯は、黄金色に輝く名湯そのもの。湯船に身をゆだねながら、静寂な時の流れを感じることができる。夕食は赤城和牛や地元の旬の食材を活かした会席料理の数々が、雅な時間を演出してくれる。

和洋の建築文化や調度品で彩られた客室「銀閣」。

全室にある客室露天風呂は、
時間を気にせずくつろぐことができる。

中庭があるエントランス。夜は一層優美に輝く。
香雲館
住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保175-1
電話:0279-72-5501
www.kouunkan.jp
名水と伝統が育んだ
本物の水沢うどんに出会う
麺彩房 田丸屋
はるか昔、安土・桃山時代から続く水沢うどんは、渋川が誇る美食のひとつ。その伝統を今に伝えるのが「麺彩房 田丸屋」だ。創業したのは1582年と言われており、現在の女将は20代目というのだから、いかに長い歴史を歩んできたのかがうかがえる。厳選した国産小麦を用い、熟練の技で仕込む麺は、心地よいコシとなめらかな喉越しを持つ。出汁は良質な本枯節と昆布から丁寧にひかれ、麺の風味を見事に引き立てている。また、季節によって異なる天ぷらも味わってみて欲しい。群馬県産の舞茸は、口にいれた瞬間に芳醇な香りがたちこめ、多くの人たちを虜にしている。道を挟んだ真向かいでは、土産用のうどんなども購入することが可能。日本三大うどんのひとつは、渋川を訪れたなら一度はすすっておきたい。

人気の盛りうどんは二色つゆ(胡麻・醤油)で味わいたい。

オープン前から行列ができていることも少なくない。
土日の昼時は特に混雑する。
麺彩房 田丸屋
住所:群馬県渋川市伊香保町水沢206-1
電話:0279-72-3019
時間:9:00–15:00 (売り切れ次第終了、水曜定休)
mizusawaudontamaruya.jp
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