現場は生きている

副社長 河合 満
副社長 河合 満
*2019年12月時点の役職名です

生産現場では、設備故障や品質不良、モノの欠品など、何が起こるか分かりません。現場は、常に生きているのです。従って、その場で即断即決、時には人海戦術で対応しなければ、お客様をお待たせすることになりかねません。

トヨタでは、問題があれば、まず「止める」。問題を顕在化し、真因追求、そして再発防止・改善を繰り返します。このように日常的に変化に対応する経験を積んでいるので、それだけ対応も早くなります。毎日変化に対応しながら、安全をベースに質、量、コストを考え、常に「さらなる改善」の意識で原価低減に取り組むという感覚が根づいているのです。

私は、「今日のベストは明日のベストではない。毎日進化させてほしい」と言い続けています。次に新しい大きな波が来ても、この改善の精神が変化に対応できる体力になると信じています。

改善する風土をさらに徹底

改善する風土をさらに徹底

このように現場には生産性、原価目標といった分かりやすい指標があり、改善が即、結果に表れるのに対し、事務系や技術系の職場では、業務の細分化もあって自分たちの仕事の成果が見えづらく、改善を日々繰り返す風土が薄いのが現状です。

常に改善する風土を全社に広げていくには、足元の自分の仕事を変えること、改善すべき点に気づくことが大切です。そのため、2019年春から「創意くふう」という制度で、全社に業務の改善提案を出すよう呼びかけました。

その結果、「創意くふう」の参加率は、全社で見ると60%から90%に上昇しましたが、参加率が低水準にとどまっている部署もあり、まだまだ風土が変わったとは言い切れません。

この数年は生産台数こそ年間1,000万台レベルで安定していますが、将来の技術に向けて開発費を捻出しなければなりません。徹底した原価低減をやり続けなければ、という覚悟で挑んでいます。

創意くふう
1951年に開始。従業員が業務改善を提案する制度

1+1が3になるには

1+1が3になるには

CASEの時代、トヨタはアライアンスも活用して競争力を高めて戦っていこうとしています。そこで大事になるのは、やはり「人」です。会社と会社が一緒になったから強くなるのではなく、人と人とが助け合い、一体感を持って一緒に取り組むからこそ、強くなるのです。

私は2018年、「おやじの会」を立ち上げました。人手不足や現場における繁閑差など、現場が抱える問題に、トヨタグループの技能系のおやじたちが電話1本で教え合ったり、助け合ったりする関係をつくるのが狙いです。最初の会合は、飲み会だけでした。しかし、同じ匂いのする人間同士が集まるとすぐに意気投合し、本当に次の日から電話1本で協力し合える関係ができあがりました。今は、各社とも自分の会社のなかで現場のおやじ同士の関係を強くしなければいけないと動き出しています。こうしたおやじたちのつながりは、自然災害時の地域や会社の復旧の際にも、生きてくると思います。

お互いの知恵や経験を知ることによって新たな気づきが生まれ、これまで思いもつかなかった開発や改善のヒントが生まれる――アライアンスは、1+1が3になるような力を出していかなければならないと思います。

CASE
Connected、Autonomous/Automated、Shared、Electricの頭文字

モノづくりの中心は人

モノづくりの中心は人

それぞれの企業文化のなかで仕事の進め方も異なる人たちと、率直に意見を交わし、一緒に何ができるかを探っていく。それには、一人ひとりがプロ人財でなければなりません。即断即決できる「専門性」、メンバーを束ね、即実行できる「人間力」を兼ね備えたプロ人財が求められます。

私は2019年から、全社の人事・総務の本部長を任されました。これまでの会社の拡大成長期の教育や人事制度は、大きく見直す必要があると感じています。

大変革時代に必要とされる、

  • 自ら考え、行動できる人財
  • 新分野に自ら挑戦し、やり切る、タフな人財
  • 職位がゴールでない、成長し続ける人財を

しっかりと育てていきます。

学歴や年齢、資格に関係なく、頑張っている人を正しく評価できる「お天道さん人事」を進めていきます。すべての人が常にめざす人を超える努力をし、自分を超える後輩を育てる風土づくりを根づかせていきます。

どのような時代になっても、モノづくりの中心は「人」です。これからもトヨタが持続的な成長を遂げるため、人財育成に全力で取り組んでいきます。

2019年12月
副社長 河合 満