副社長 吉田 守孝
副社長 吉田 守孝

自動車をめぐる100年に一度の大変革の時代、変化が求められる時代だからこそ、変えてはいけないこと、それは「リアルなクルマづくり」において競争力を磨き続けることです。これこそがこれからを生き抜くための原資を稼ぎ、次なる時代へ向けて経営資源をシフトすることを可能にし、よりクルマを魅力的なものにできると考えています。

もっといいクルマづくりのための体制

トヨタのクルマづくりの特徴は、グローバルで1,000万台の販売・生産という大きなボリュームを持つことと、小型から大型、商用、環境車、GRスポーツまでフルラインアップで揃えていることです。この特徴を活かした取り組みが、クルマのポテンシャルを大幅に引き上げたうえで、規模を活かし賢く共用化する「Toyota New Global Architecture(TNGA)」と、お客様目線で個性あるクルマにこだわる「カンパニー制」です。これらを両輪に、トヨタの真骨頂である「TPS」と「原価低減」に徹底的にこだわり、さらにお求めやすくご提供できるよう「もっといいクルマづくり」を磨き続けます。その先にある「モビリティカンパニー」へのフルモデルチェンジへ向け、ブレない軸でさまざまな変革を進めていきます。

これまでの成果

TNGAを導入して4年、カンパニー制を導入して3年が経過し、その成果を織り込んだ車種および台数も増えてきました。2015年の4代目「プリウス」を皮切りに、中型の「C-HR」や、大型の「クラウン」、「レクサス」、スポーツカーの「スープラ」やコンパクトの「ヤリス」と順次車種を拡大し、今年は6モデル、2019年11月現在でトータル19モデルを発表し、グローバル販売台数の約4割が新型に切り替わっています。このうち、年間100万台規模で生産・販売している「カローラ」は、道路事情を考慮し、グローバル統一モデルとは異なる日本専用サイズを設定。また、世界で一番売れているSUVの「RAV4」は、地域に合わせたパワートレーンや駆動方式を採用し、再導入の日本はお求めやすい価格に設定しました。その効果もあり、クルマ離れが進んでいるといわれる30代以下が購入者全体の45%を占めるなど、若い方々から多くの支持をいただいています。

TNGA/カンパニー制の車種展開
TNGA導入による競争力強化

車両開発・生産についても、TNGA導入前に比べ競争力は確実に向上しています。開発工数はグルーピング開発による評価の効率化や部品の共用化により約25%低減、新型車への切替に伴う設備投資は、設備や治具などの共用化を進めた結果、同じ設備で効率的に複数のクルマを生産できるようになり、1ライン平均で約25%低減しました。また、車両原価は構成部品の共用化、種類削減、さらにサプライヤーとのモノづくり改善を通じて、部品構造の見直しや生産工程の簡素化などを徹底的に推進した結果、約10%低減することができました。その一方で、環境対応や安全装備の拡充などで、車両販価はお客様の望むレベルにはまだ届いておらず、もっとお求めやすくご提供できるよう、引き続き取り組んでいきます。

TNGA導入による競争力強化

100年に一度の変革の時代に向けて

近年、環境に関わる規制強化に加え、異業種からの新規参入、モビリティビジネスの多様化などクルマづくりを取り巻く環境は激しく変化しています。今後もその変化の幅やスピードはさらに増していくことが見込まれ、従来の方法ではお客様の求めるクルマをお届けすることが難しくなってきています。この変化に対応し、お客様の期待を超え続けていくために、現在3つの取り組みを進めています。

今後の取り組み(さらなる競争力強化)

1つ目が「カンパニー制の強化」です。2019年7月に新たにクルマ開発センターを設立およびトヨタZEVファクトリーを拡充する組織変更を行いました。クルマ開発センターでは先行企画・先行開発から量産開発までを一気通貫でリーンにつなげることで、開発のさらなるスピードアップ、商品力の強化を図ります。併せてクルマを全体最適かつお客様目線で開発ができる「クルマ屋人材」の育成を進めています。またトヨタZEVファクトリーでは、すべてのゼロエミッション車(ZEV)に関する機能を統合することで、次世代のZEV商品群の企画・開発・製造を一括で行えるようにしました。加えて既存の各車両カンパニーも、これまで以上にそれぞれのクルマの特徴を出し、カンパニー間で競争することで、お客様目線での差別化をより一層進め、もっといいクルマづくりに磨きをかけていきます。

2つ目は「TNGAの進化」です。お客様の嗜好は、グローバルにみられるセダンからSUVへの移行をはじめ、地域ごとに常に変化しています。こうしたなか、グローバルですべてを共通化することに固執せず、地域ごと、車種ごとにお客様ニーズに合わせながら賢い共用化と原価のつくり込みを進めていきます。また、開発と合わせ、生産もシルエットの異なるモデルをフレキシブルにこなし、需要変動に強い体制づくりをより一層強化していきます。

3つ目はCASE時代に備えた自前主義にこだわらない「仲間づくり」です。トヨタグループ各社の強み弱みを見極めながら事業の再構築を進めるホーム&アウェイや、他社との協業により競争力やスピードを上げるアライアンスを進めています。日本や新興国でのコンパクトカーを中心としたダイハツ工業株式会社とのクルマづくりの連携強化、インドで大きなシェアを持つスズキ株式会社との、両社の強みを活かした開発・生産領域での協業、「走る愉しさ」をさらに高めるためのAWD技術やEV車両開発における株式会社SUBARUとの協業がその一例です。このような、お互いの強みを活かした時代に沿うクルマづくりと合わせ、普及して初めて社会に貢献できる安全や環境についても、自社開発を加速させ技術をリードしつつ、競争するだけではなく業界全体との協調も積極的に進めていきます。

今後も「モビリティカンパニー」への変革に向け「TPS」と「原価低減」を軸に、ベターベターの精神で挑戦し続けます。こうした取り組みにより、2021年末までに14モデルを新たに投入し、グローバル販売台数の約6割が新型に切り替わる見込みです。

CASE
Connected、Autonomous/Automated、Shared、Electricの頭文字

変わらぬ「愛車」づくりへの想い

トヨタにはクラウン、ランドクルーザー、ハイエース、センチュリーなど誕生から50年を超えるロングセラーカーが数多くあります。それぞれのクルマの役割を大切にし、世界中のお客様からお声をたくさんいただきながら、時代に沿ったクルマづくりを通じてお客様に育てていただいたと感謝しております。2019年秋に発売した「カローラ」は誕生から53年、12代目となりました。初代モデルを53年間お乗りいただいている方のお話を伺うと、クルマへの愛着だけでなく、ご家族と大切な思い出を刻むことで、カローラの体験すべてがお客様にとって「かけがえのない思い出」になっており、「愛車」の世界を心から感じることができました。これからもクルマをコモディティ化させないためにも、お客様から「このクルマが欲しい」と思っていただき、クルマでの体験が「かけがえのない思い出」になる「愛車」をめざし、良品廉価を守りながらお客様ニーズに寄り添ったクルマづくりを続けていきます。

誕生から50年を超えるロングセラーカー

2019年12月
副社長 吉田 守孝