トヨタおよびレクサス販売店における不正車検につきまして、トヨタ車ならびにレクサス車をご愛用いただいている多くのお客様、ならびにお取引先の皆様には、多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことを、改めてお詫び申しあげます。

トヨタおよびレクサス販売店の複数店舗における一連の不正車検問題を受け、全国販売店の4,852拠点にて、指定整備に関係する法令の遵守、また会社全体の仕組み・風土を確認する自主的な総点検を、販売店とメーカー共同にて実施してまいりました。

これら総点検などによる結果、これまで販売店11社12店舗にて不正車検が行われていたことが判明いたしました。

不正車検が判明しました店舗におきましては、いずれもお客様へ直ちにお詫びの上、当局のご指示も仰ぎながら、再検査等を順次実施しております。再検査に際しましては、お客様に大変なご不便をおかけすると共に、ご心配をおかけしておりますことを改めて深くお詫び申しあげます。

このような不正車検が行われた背景には、販売店の人員や設備が、仕事量の増加に追い付かないことによる負荷や、車検制度への認識、販売店の幹部と現場との風通し・風土、作業を監査する機能など、様々な課題があることが判明いたしました。

また、メーカーとして、お客様を最前線で支えている現場の実態や要望を十分に把握できずに、入庫台数や売上などの数値目標を中心とした方針や表彰制度を展開してきたことは、メーカーの責任であり、要因の一つとなっていたのではと受け止めております。

今回の全店舗総点検を通じて、販売店の経営者や現場の全エンジニアとの間で、指定整備の重要性を改めて再確認するとともに、サービス現場が抱える様々な課題や問題についても共有いたしました。再発防止に向けては、お客様にご安心頂ける指定整備や点検サービスの提供に向け、必要な人員の増強や、サービス機器の更新などを最優先で進めると共に、不正を誘発する背景となりうる要因を改善すべく、働く環境の改善や、職場風土づくり、改善をリードし継続できる人材の育成などについても、早急に取り組んでまいります。なお、今後新たな問題が起きた際には、速やかに原因の究明、再発防止に全力で取り組んでまいります。

今回の一連の不正を、トヨタ自動車およびトヨタ販売店全体で重く受け止め、まずは指定整備事業を正しく行うことを第一に、お客様の信頼回復と再発防止に向けて、販売店の経営陣や現場と共に、一丸となって取り組みを進めてまいります。働く環境の改善や職場風土づくりなど、抜本的な改善には、多くの時間がかかるかもしれませんが、1店舗1店舗、1つ1つの課題に向き合い、たゆまぬ改善を続けてまいります。

補足資料

全店舗総点検の実施結果と今後の取り組みについて

  1. 全店舗総点検 実施概要(実施期間 : 7月20日~)

目的 お客様の信頼回復に向け、販売店とメーカーが一体となって、現場の実態や違反に至るプロセスを確認し、改善・再発防止につなげる
対象・体制 全国トヨタ・レクサス販売店 全拠点(指定・認証工場、車検センター 4,852拠点)
トヨタ自動車社員約530名も訪問し確認
項目・方法 指定整備・法令項目に加え、会社の仕組みや風土を含め58項目。
本部・マネージャー・スタッフ・エンジニアを対象に、直近の資料・帳票等を、適宜確認しながら聞き取り・現場確認を実施

  1. 総点検・調査結果

  1. 一部の販売店にて指定整備違反が判明し、お客様対応を実施すると共に、管轄運輸支局へ報告いたしました。レクサス高輪と同様に一部検査の未実施、検査結果の改ざんが確認されたほか、検査員による整備作業の実施、一部確認作業の未実施等の違反をおこなっている店舗が「11社・12店舗」ございました。(今回の総点検も含め自社での発見が8件、国土交通省 各運輸支局による監査にて4件が判明)
  販売店名 店舗名 違反内容 台数 判明経緯
1 トヨタモビリティ東京(株) レクサス高輪
  • 排ガス検査未実施
  • 4WD車の速度計未検査
  • ヘッドライト光度改ざん
  • サイドスリップ計測値改ざん
  • パーキングブレーキ検査未実施
517台 監査
2 江戸川瑞江店
  • 4WD車の速度計未検査
5台 監査
3 広島トヨタ(株) 広店
  • 他人のIDで電子保安基準適合証を承認・発行
  • 検査員が自ら整備作業を実施
8台 自社
4 トヨタカローラ山口(株) 安岡店
  • 4WD車の速度計未検査
  • ディーゼル車の排ガス検査未実施
10台 自社
5 ネッツトヨタ山梨(株) 本社セイリア店
  • 排ガス検査未実施
  • 4WD車の速度計未検査
  • ヘッドライト光度改ざん
  • ブレーキ制動力検査の不適切実施
  • サイドスリップテスタをロックしたまま検査
260台 監査
6 トヨタカローラ愛媛(株) 中央通店
  • 一部の部品交換せずに保安基準適合証を発行
1台 監査
7 ネッツトヨタ沖縄(株) 南風原店
  • サイドスリップテスタをロックしたまま検査
20台 自社
8 鳥取トヨペット(株) 米子店 519台 自社
9 トヨタカローラ宮崎(株) 日南店
  • 同一性の異なる車両に保安基準適合証を交付
1台 自社
10 徳島トヨペット(株) 阿南店 1台 自社
11 沖縄トヨタ(株) 宮古支店 2台 自社
12 長崎トヨペット(株) 琴海店
  • 保険が不足している状態で保安基準適合証を交付
1台 自社
1~6は故意性あり、7~12は過失によるもの
  1. 総点検結果から見えてきた課題
  1. サービス現場における過大な業務量と、エンジニアの人員不足
  • 作業手順や作業内容が決まっていない、または見直しが不十分
  • エンジニアがお客様の納車引取りや洗車作業等、付随する業務に追われていたこと
  1. 車検制度への役割認識と遵法意識の不足
  • 経営層・管理者や検査員本人が、国の業務を代行している認識の甘さ
  • サービスと営業間のコミュニケーション不足、サービスへのしわ寄せ
  1. 経営層・管理者と現場作業者の風通しの悪さ
  • 経営層と管理者が目標や実績のみを管理し、現場の実態を把握できていないこと
  • エンジニアが働く環境、ストレス、処遇等の悩み・不満を言いづらい雰囲気
  1. 指定整備における監査機能の不備
  • 監査の目的や内容への理解が不足し、帳票類の確認に留まるなど監査手法が不十分
  • 完成検査が正しくおこなわれたかを、第三者が確認する手段がないこと
  1. 車検を正しくおこなうためのお客様への確認や説明の不足
  • 車種・年式等問わず、1台当りの作業時間が一律に固定され時間が目的化していたこと
  • 車からの荷物降ろし、ご来店時間等、お願いすべき事項が出来ていないこと

  1. 販売店における今後の取り組み

  1. 「過大な業務量と工員不足」への対応
  • 標準作業の明確化とTPS(トヨタ生産方式)に基づいた改善活動
  • エンジニアを本来業務に集中させる対応(作業の切り分けや専用スタッフ配置など)
  • エンジニアの採用促進(外国人留学生や技能実習生を含め多様な人材登用など)
  • 土日などの車検整備の入庫集中を回避するため、平日入庫、他拠点での対応を促進
  1. 「車検制度に対する役割認識と遵法意識の不足」への対応
  • 代表者や店長、営業スタッフ、エンジニアに対する指定事業の重要性の教育強化
  1. 「経営層・管理者と現場作業者の風通しの悪さ」への対応
  • 代表者や経営層が現場をまわり「現場の困り事」に対応する活動の継続実施
  • 困りごとを相談できる窓口の設置と従業員への周知
  1. 「指定整備における監査機能の不備」への対応
  • 監査内容の見直し(従来の記録簿点検のみならず、作業実態も確認)
  • 定期的な自主点検・店舗間のクロスチェック
  1. 「お客様への説明不足」への対応
  • お客様への周知(入庫前の車両状態確認、荷物降ろし、追加作業発生時の延長等)

  1. トヨタ自動車における今後の取り組み

  1. TPS(トヨタ生産方式)に基づいた改善活動・販売店活動の支援
  • 車検標準作業手順書のひな型や作成ツールの配付、教育コンテンツの提供
  • 改善や風土改革のノウハウを有するトヨタ自動車 工場現場の社員の派遣
  • トヨタ自動車の工場現場における店舗マネジメント研修
  1. 販売店との向き合い方・制度の見直し
  • 全国一律の方針・目標管理から1店舗1店舗の困り事をベースとした働き方へ見直し、販売店表彰制度、販売店契約の見直し 等

以上

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