Athlete Stories 第3話 女子ソフトボール部 坂元 令奈

様々なフィールドで戦うトヨタのアスリートたちの、バックグラウンドや競技にかける思いをご紹介します。
第3話は、女子ソフトボール部 内野手の坂元 令奈選手(31歳、生産管理部)。

トヨタスポーツセンター

「あまり挫折を感じたことがない」。
このコラムの3人目は、女子ソフトボール部 背番号3番、内野手の坂元 令奈。事前アンケートにこう書かれていた。高校を卒業後、実業団で13年間闘ってきた。少なからず何らかの壁にぶつかっているはず。そんな疑問を持って、6月25日、坂元が日々練習をしているトヨタスポーツセンターへ足を運んだ。

トヨタスポーツセンター

ソフトボール人生の始まり

スポーツを始めたのは小学4年生の時。幼馴染の男の子が入っていた少年野球のチームに加入した。

「中学生まではずっと野球をやっていました。男の子のチームに混ざってやっていたので試合に出れないことも多かったけど、出れないから嫌だとか、そういう気持ちはなかったです。純粋に野球が楽しかった。」

野球にのめり込み、その実力は、高校進学後に力試しに受けた女子野球世界大会の選抜テストで、日本代表に選出されるほどだった。しかし、高校からはソフトボールへ転向する決断をした。

「女子の硬式野球部とソフトボール部が両方ある高校に行くことも考えました。でも、さすがに高校から家を出て寮生活をするのはどうなんだっていうのと、野球とソフトボールを両方やるのは難しいだろうってこともあって。その時代、女子で先を目指すなら野球よりソフトボールのほうがメジャーだったので、大阪でソフトボールの強い高校へ進学しました。」

ここから、坂元のソフトボール人生が始まった。

選手としての最大の強み

高校在学中にスカウトされ、卒業後は戸田中央総合病院へ所属。3年間プレーしたが弱くて勝てず、1部リーグと2部リーグの入れ替え戦も経験した。坂元本人は、「これが挫折ですかね!?」とあまり気にしていない様子だが、選手時代、同じように勝てない辛さを経験した監督の中西はこう話す。

「トヨタも15年位前は弱かったので、勝てない辛さはよく分かります。坂元は入れ替え戦も経験しているので、結構辛かったと思う。でも、その経験から今があるんだと思います。」

中西監督(左/高岡工場 品質管理部)
中西監督(左/高岡工場 品質管理部)

改めて坂元に当時の話を聞いた。だが、辛かったということよりも、客観的に今のチームとの違いを話してくれた。

「今みたいに強いチームにいると勝つことが当たり前になって、決勝トーナメントの最後の最後にしか喜びを爆発できないんです。決勝で勝たないとそれまで勝ってきた意味がないみたいな。1球、1試合の重み。勝つ喜び。それは勝てなかった時代にすごく感じていました。」

馬渕コーチ(スポーツ強化・地域貢献室)
馬渕コーチ(スポーツ強化・地域貢献室)

他の人であれば挫折だと思うような経験も、そう感じていない。同期入社でずっと一緒にプレーをしてきたコーチの馬渕は、坂元の性格をこう話す。

「落ち込んでいるところは見ますけど、引きずらないんだと思います。負けず嫌いというのもあって、常に前向き。チームで1番元気です(笑)」

坂元にとって負けや失敗は挫折ではなく、次に進むための糧になる。勝負の世界で戦う彼女の最大の強みだと思う。

馬渕コーチ(スポーツ強化・地域貢献室)
馬渕コーチ(スポーツ強化・地域貢献室)

2つの転機

そんな坂元に2つの転機が訪れた。1つ目は、社会人4年目の2008年、トヨタへの移籍が決まった。当時、監督を務めていた福田が声を掛けたのがきっかけだった。

「福田さんから、『所属チームが2部に落ちたら、うちに来い』と言ってもらったんです。中学時代の野球のコーチが福田さんと繋がりがあって、声を掛けてくれたのをきっかけに移籍を考えるようになりました。」

結果的に1部リーグへの残留が決まったのだが、坂元はある思いを持ってトヨタへの移籍を決めた。

「強いチームでやって自分も強くなりたい、そして全日本に入るという目標がありました。所属チームも自分の思いを分かってくれました。」

坂元 令奈

その目標を達成し、2009年から8年連続で全日本に名を連ね、2016年にはキャプテンまで務めた。

2つ目の転機はナターシャ・ワトリーとの出会い。

現役時代のワトリーコーチ(スポーツ強化・地域貢献室)
現役時代のワトリーコーチ(スポーツ強化・地域貢献室)

ワトリーは2009年からトヨタでプレーし、8年間1番バッターでチームを牽引。アメリカ代表にも選出され、オリンピックで金メダルを獲得した実績もあるトップ選手。現在は、現役を引退してコーチを務めている。

「ターシャ(坂元はワトリーのことをこう呼ぶ)がすごい選手だと分かっていたけど、絶対負けないって気持ちでした。バッティングのことを聞いたりとか、一緒に練習をしてつかめたことがたくさんありました。ターシャは英語で話すんですけど、なんとなく通じ合えるんです(笑)」(後輩からの情報によると、小学生の時に英会話教室に通っていたから少し分かるらしい)

言葉の壁も坂元にとっては障害ではない。強くなるために、成長するためにできることはなんでもする。ずっと坂元を見てきたトレーナーの井上も、「坂元はとにかく根性がある」と話す。試合中に指を骨折していたにも関わらず、1試合やりきったこともあるらしい。

現役時代のワトリーコーチ(スポーツ強化・地域貢献室)
現役時代のワトリーコーチ(スポーツ強化・地域貢献室)

米プロリーグへ武者修行

2013年と2015年のオフシーズンに、ワトリーが橋渡し役となりアメリカのプロリーグへ修行に行った。

「アメリカに行きたいってことはずっとチームに伝えていたんですけど、ターシャが来なかったら現実的に難しかったと思います。プロの世界では、すごい選手でも調子が悪ければ外される。それを肌で感じてきたので、結果を出し続けなきゃいけないという気持ちが強くなりました。」

坂元の中でプロ意識が芽生えていた。しかし、言葉では言えても、実行するのは簡単なことではない。

坂元 令奈

「結果を出すには、試合に入るための準備が大切だと思っています。技術的なことはリーグ戦が始まる以前にやり、試合前には対戦相手のビデオや過去のデータを見て、しっかりイメージを持って練習に取り組んでいます。」

試合にどう入るか。ベテラン選手であっても、その基本をいつまでも忘れず、怠らない。そしてそれ以上に、常に現状に満足せず、自分を高めるために進む道を決める。そのチャレンジ精神が今の坂元をつくり上げた。

坂元 令奈

越えるべき壁

キャプテンの#10 古澤(右/堤工場 工務部)と副キャプテンの#5 鈴木(左/元町工場 工務部)
キャプテンの#10 古澤(右/堤工場 工務部)と副キャプテンの#5 鈴木(左/元町工場 工務部)

今年、坂元はキャプテンを退き、#10 古澤が後を継いだ。

「キャプテンになって初めて全体を見ることの大変さが分かって、今まで自分のことだけに集中してやっていたんだと気付きました。坂元さんをはじめ、歴代のキャプテンみたいになりたいと思います。」

キャプテン交代には、監督の中西の若手を育ててほしいという思いがあった。

「坂元は高校を卒業してからずっと試合に出ていて、日本代表として世界大会も経験しています。その経験がとても大事で、これからは一歩引いた立場で後輩に伝えていってほしい。若い選手たちは坂元から色んなことを吸収して、追い越すくらいの気持ちでやってほしいと思っています。」

キャプテンの#10 古澤(右/堤工場 工務部)と副キャプテンの#5 鈴木(左/元町工場 工務部)
キャプテンの#10 古澤(右/堤工場 工務部)と副キャプテンの#5 鈴木(左/元町工場 工務部)

選手、スタッフは皆、「ソフトボールを知っている選手」と坂元のことを評価する。ピンチの時も冷静で、的確な状況判断。ここ1番のチャンスに強いバッティング。決勝トーナメントで勝ちあがっていくには、坂元の経験が必要不可欠だという。

坂元も監督の思いと自分の立場を十分理解している。だが、やはり彼女は負けず嫌いだ。

「伝えなきゃいけない、伝えていきたいって気持ちはあるんですけど、まだ現役なのでチームメイトとはいえライバルじゃないですか?競い合って、上の選手が試合に出るわけだから、負けたくないって気持ちが強いですね。」

これからチームを引っ張っていく後輩に対しての思いもあるようだ。

「後輩からもっと積極的に来てほしいという思いはありますね。その方が、やりがいがある。自分がそうだったからかもしれないですが、自分から来い、見て盗め、と思います。」

坂元 令奈

これだけを聞くと、職人気質の厳しい先輩と思われるかもしれないが、#10 古澤と#5 鈴木は「THE 関西人・いたずら好き・意外とシャイで寂しがり屋」と、坂元のことを教えてくれた。着替え中に更衣室のカーテンを開けられたり、よく子供のようないたずらをされるという。コーチの馬渕も、「いい意味でふざけられるとういか、チームメイトの力が抜けるようなことを言って盛り上げてくれる。明るさがチームの助けになっています。」と、坂元がチームのムードメーカーだと話す。

試合ではプレーでチームを引っ張り、普段は持ち前の明るさとユーモアでチームの雰囲気をつくる。後輩たちにとって坂元は良き目標であり、越えるべき壁なのだろう。

9月8日から日本女子1部リーグの後半節が始まる。優勝に向けて闘う坂元をスタンドから応援したい。

編集後記

6月号からスタートしたこのコラムも3話目となりました。取材に伺うと、いつもチームの皆さんが温かく迎えてくださり、とても感謝しています。

今回は、坂元さんと私が同い年ということも手伝ってか、インタビューが盛り上がりすぎて最長の1時間半を記録。まとめるのに1番苦労しました。プロフィールの一問一答もひねった回答が返ってくるので、インタビュー中は終始大爆笑。坂元さんのキャラクターがすごくよく出ているので、ぜひプロフィール欄にも注目してください。

読者の皆さんからの感想を励みに、これからも取材・執筆活動を頑張りますので、第4話以降も温かく見守っていただけると嬉しく思います。

坂元 令奈選手 プロフィール

生年月日
1986年12月12日
血液型
AB型
出身
大阪府
出身校
四條畷(シジョウナワテ)学園
ニックネーム
もっさん(歳の近い後輩から)、さかもっちゃん(ファンの方から)
家族構成
父、母、姉、妹(実業団のバレーボール選手だった母を筆頭に、スポーツ一家)

競技のこと

ポジション
内野手(現在はセカンド)
競技成績
学生時代
'02年 インターハイ出場
'04年 全国高校女子選抜大会出場
'04年 国民体育大会出場
社会人
日本女子1部リーグ優勝5回、全日本総合優勝4回
代表歴
'04年 日本ジュニア代表
'09~'16年 日本代表('12、'14年 世界選手権優勝/'10、'14年 アジア競技大会優勝)
憧れの選手
アスリート会のメンバーであるラグビー部の北川選手、硬式野球部の佐竹選手、女子バスケットボール部の大神コーチ
(アスリート会とは…北川選手の呼びかけで各部から数名が集まり、運動部を盛り上げていくために何ができるかを、食事をしながら考える会)
尊敬する人
野球のイチロー選手
試合前に必ずやること
靴下やスパイクは左足から履く

自分のこと

性格を一言で表すと
せっかちなタイプのマイペース
趣味
趣味ねぇ。趣味かぁ。趣味って難しいですよね。
特技
4S(整理・整頓・清潔・清掃)
チャームポイント
笑顔
子供の頃の夢
オリンピック出場
今の将来の夢
ゆくゆくは指導者(でも向いていない気がする)
生まれ変わったら何になりたい
メジャーリーガーの大谷 翔平選手(打ってよし、投げてよし、顔もよし)
好きな食べ物
焼肉、寿司
嫌いな食べ物
にんじん、セロリやパクチーなどの香草系
好きな音楽
Mr.Childrenの「終わりなき旅」やSMAPの「世界に一つだけの花」とかを良い曲だなぁと思うようになってきた
好きな漫画
本を読まない
宝物
家族
異性のタイプ
すべてを受けとめてくれる人
オフの過ごし方
1日オフの日は、目覚ましをかけずに寝る。オフの前日はお酒をたしなむ。
1日で好きな時間
食後のコーヒータイム(ブラック派)

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