2017年09月27日

8. 自動運転技術開発における課題

 

自動運転の実現と普及には、法律や規制の改定、社会制度の改革、社会受容性の醸成など、様々な課題が存在しており、その詳細な状況は国や地域で異なります。自動運転技術は、他の業種によって提供される、様々な重要な技術にも依存しており、それらのエコシステムの上に成り立ちます。実現、普及に向けては特に以下に列挙する課題がありますが、それらは地形的・文化的違いを反映したものになります。自動運転の重要かつ独特な成功の鍵は、従来の自動車産業関係者だけではなく、様々なステークホルダーと如何に連携していくかにあります。実現、普及には、ステークホルダーの考えに耳を傾け、確認していく必要があります。また、基盤となるインフラや制度のような協調領域に関しては関係者で連携し、解決策を作り上げていくことが有効なアプローチです。

例えば日本では、内閣府主導による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)において、関係するステークホルダーの間で、協調領域を決め、研究開発を推進しています。SIPでの協調領域としては、ダイナミックマッピングやサイバーセキュリティなどが挙げられます。

技術によっては一国内の連携にとどまらず、場合によっては、国や地域の垣根を越えて、統一化された解決策を目指し連携を深めていくことが必要かもしれません。そのような共通基盤の上で、お客様の安全、自由、スムーズな移動のため、各社が競争領域の開発を加速させていくことが、効率的なアプローチと考えており、お客様の、そして社会の利益につながると考えています。

自動運転技術開発における課題
法律/規制の枠組みと課題
  • インフラストラクチャー(交通の設計、運営、道路整備)
  • サイバーセキュリティ
  • 個人情報の保護
  • 安全保証(安全設計基準、製造基準、安全性能基準)
  • 社会システム(車両登録制度、運転免許制度、運転教育および訓練、交通ルール整備、自動車保険制度、法的措置、衝突調査基準、安全性および排気試験基準等)
社会面での課題
  • 地域による違い(社会的慣習、暗黙の運転マナーやルール、倫理規範)
  • 社会の受容度(安全性への懸念等)
  • 持続可能な社会システム(スマートシティ、都市計画)