2017年09月27日

3. トヨタが考える人とクルマの未来の関係

 

多くの人々にとって、クルマは電車や飛行機などと同じ、移動、あるいは輸送の手段かもしれません。しかし、トヨタは、クルマはそれらとは異なった、別格の存在だと考えています。おそらく、日本に限らず、世界のどこでも、クルマに対してこのような感情を抱いている人はいると思われます。日本では自分のクルマを「愛車」と呼ぶ人が多くいます。

なぜでしょうか?クルマの何が「愛情」を感じさせるのでしょうか?

クルマと私たちの関係は、私たちとそれ以外のモノの関係と根本的に違うものだと考えています。クルマは安全で、心地よく、快適なパーソナルな空間です。クルマはその時々の自分の姿を反映させながら成長し、進化していきます。内装に工夫を凝らしたり、オーディオ・ビジュアル装置を変えてみたり、自分の好みを反映するために、外見を変えてみたりします。より社会的に言えば、クルマは家族の一員であり、時には親から子に受け継がれていくものでもあります。そうしたクルマたちも私たちと共に成長します。一般的に言えば、同じ人が16歳、20歳、30歳、40歳、そして60歳で同じ車に乗るということはありません。

このような一つ一つの変化は、クルマとその所有者に深く、かけがえのない関係を築いてくことに役立ちます。クルマはそれぞれの人の人生を映し出した、世界に1台しかない、かけがえのない存在になるのです。丁寧に取り扱ったり、逆に、徹底的に酷使したり、貼られているシール、コーヒーのシミ、決して修繕されることのない後部座席のホツレ ― それぞれの人がクルマと過ごした痕跡は残ります。時間が経つにつれ、クルマは単なる移動手段という存在から、愛すべき存在に変わっていくのです。

このような人とクルマの関係性に関する考え方は、自動運転技術開発も含め、トヨタのあらゆる活動の底辺をなしています。トヨタは自動運転技術の開発の理念に、「チームメイト」という言葉を使っています。これは、クルマとそれを所有する人が、安全、快適、そして楽しい移動の時間と空間を作っていくものであるべきだという考え方を反映しています。将来、運転が自動化されたとしても、クルマは、人にとって愛されるべき存在であり続けると信じています。そして、自動運転技術は、クルマと人との関係をより緊密にしていく可能性があると考えています。

TOYOTA Concept-愛i

では、より具体的に、人とクルマとの関係性とはどのようなものなのでしょうか?安全性に関して言えば、運転技術は個人差があり、また、同じ個人であっても、年齢や経験によって、上達したりあるいは、下手になったりすることがあるでしょう。日々の健康状態、疲労度合、あるいは気分によっても、運転技術にブレが生じるでしょう。トヨタの自動運転技術は、こうした個人個人の変化や状態をクルマが検出し、安全運転をサポートすることを目指しています。

もちろん、特別なドライビング体験をしたい、意のままに操りたいということをクルマに求めている人も少なくないでしょう。スポーティに運転してみたいこともあるでしょうし、あるいは、同乗者に気を使った優しい運転を心掛けたいと思う状況もあると思います。トヨタは、適切な安全サポートを維持し続けながら、時々によって変わる、こうした個人の要望も反映できるようにしたいと考えています。

トヨタは、クルマを所有者の個人個人の技術レベル、嗜好や期待をクルマが学び、状況に応じて、ドライバーの期待をかなえてくれるような存在にしていきたいと考えています。