2015年12月22日

トヨタ博物館
常設展リニューアルを段階的に実施

-日・米・欧の自動車の歴史を一望に-

 

 トヨタ自動車(株)の文化施設であるトヨタ博物館(愛知県長久手市)では、2019年の開館30周年に向けて常設展のリニューアルを段階的に実施する。

 常設展リニューアルは、グローバル化の流れを受け、1989年の設立時の趣旨を現在の視点で再考し、よりいっそう車の歴史・文化に親しみ、時代の流れの中で世界と日本の自動車産業がどのように絡み合いながら進化してきたかをさらに分かりやすく、より多くの方に伝えていくことを目的としている。

 第1段階として、1月5日(火)にオープンする今回は、自動車黎明期から1950年代に至る展示内容を本館2階に集約する。これまで本館2階は欧米車、3階は日本車、新館は日本のモータリゼーションの歩みというように各フロアにそれぞれ分けて展示していた。今回この年代の欧米車と日本車を新たに8つのゾーンに分けて紹介し、時代を追って自動車技術の発展やデザインの推移を比較しながら世界の車を一望できるようにする。

 最初のゾーン「自動車の夜明け(黎明期)」では1/5スケールモデル(以下、模型)4台を追加し、日本における自動車の始まりを同時代の欧米車とともに紹介する。また、6番目のゾーン「流線型時代の到来」ではトヨダAA型乗用車とデソート・エアフローを展示し、日本車と欧米車を直接比較できるようにする。今回、本館2階に追加・移動された車両(模型含む)は28台である。

 また、新館2階の一部を改装し、リニューアル記念展として2013年に好評を博した小林彰太郎フォトアーカイヴ展「昭和の日本 自動車見聞録」1月5日(火)から6月12日(日)まで開催する。

 今回のリニューアルを受け、関連イベントとして講演会、学芸トーク、学芸スタッフによるガイドツアー、走行披露を実施する。

 さらに、新館1階カフェもミュージアムカフェ CARS & BOOKS(カーズンブックス)と名称を変更し、自動車博物館にあるカフェならではの特性にこだわり新装オープンする。本を片手にゆったりと上質な飲み物や食べ物をいただける空間、仲間とクルマを語り合える場所を目指している。

 当館では、今後も展示および館内施設のさらなる充実を段階的に行う予定である。

 併せて、お正月イベントや工作教室を1月9日(土)~1月11日(月・祝)に行う。
 なお、1月5日(火)~1月11日(月・祝)の冬休み期間中は小学生の入館料を無料とする。

 展示リニューアル他の概要は以下のとおり。

  1. 展示リニューアル
    オープン
    2016年1月5日(火)
    トヨタ博物館 本館2階
    車両72台、模型7台を下記8ゾーンで展示(詳細は別紙ご参照)
展示ゾーン 代表車両 台数
  1. 自動車の夜明け(黎明期)/
    日本における自動車の始まり
ベンツ パテント モトールヴァーゲン(独・1886)
国産吉田式“タクリー号”(日・1907)模型
13台
(模型含む)
  1. 自動車の急速な進化
ロールスロイス シルバーゴースト(英・1910) 3台
  1. 自動車の大衆化
フォード モデルT(米・1909) 12台
  1. 覇を競った豪華車
デューセンバーグ モデルJ(米・1929) 7台
  1. レーシングカー、スポーツカーの進化
ブガッティ タイプ35B(仏・1926) 9台
  1. 流線型時代の到来/
    日本における自動車の普及と量産の幕開け
デソート エアフロー シリーズSE(米・1934)
トヨダAA型乗用車(日・1936)
14台
(模型含む)
  1. さまざまな自動車文化の競演
ドラージュ タイプ D8-120(仏・1939) 7台
  1. 第2次世界大戦後の新たな始動/
    アメリカでのスポーツカーブーム
チシタリア 202 クーペ(伊・1947)
シボレー コルベット(米・1953)
14台
  1. リニューアル記念展
    • 小林彰太郎フォトアーカイヴ展「昭和の日本 自動車見聞録」
      2016年1月5日(火)~6月12日(日)
      新館2階
      下記写真254点を4つのゾーンに分け、車両2台とともに展示
展示ゾーン 写真点数
御料車と上流階級のクルマ 47
戦前、街角で観たアメリカ車 58
戦前、街角で観たヨーロッパ車 95
戦前の日本国産車、自動車レース、車のある風景 54
展示車両
ルノー6CV(仏・1925)、コード810(米・1936)
  1. 関連イベント
    1. 講演会
      戦前の日本の自動車産業の話
      2016年3月13日(日) 14:00~15:30
      新館1階 大ホール(無料ゾーン)
      高島鎮雄氏
    2. 学芸トーク
      日本製ボディを載せた「オースチン セブン(1934年)」を語る
      2016年2月14日(日) 14:00~15:30
      新館1階 大ホール(無料ゾーン)
      大村正敏氏(車両寄贈者)、トヨタ博物館 杉浦孝彦
    3. 学芸スタッフによる本館2階ガイドツアー
      学芸スタッフが改装された本館2階を、ゾーンごとに説明
      開催日
      2016年1月~2月の各土・日・祝 11:30~12:00
    4. 走行披露
      2016年3月12日(土)、19(土) 1回目/11:00~、2回目/14:00~
      P1駐車場(無料ゾーン)
      走行車両
      戦前に日本の道路を走っていた日・米・欧のクルマ3台
      ダットサン16型(日・1937)、 フォード モデルA(米・1929)、オースチン セブン(英・1924)
      天候等の理由により、やむをえず中止、または内容の変更をすることがあります。
  1. ミュージアムカフェ CARS & BOOKS(カーズンブックス)
    新館1階
    37席
    自動車に関する書籍を50冊設置。
    選書はブック・ディレクター 幅允孝氏率いる選書集団「BACH(バッハ)」が「FUN to DRIVE」というテーマのもと、写真集やアートブック、小説やマンガなど、様々な「車に乗るよろこび」を感じることができる書籍を揃える。
  1. その他イベント
    1. お正月イベント
      2016年1月5日(火)~11日(月・祝)
      ご入館(有料エリア)のお客様先着各日20名様に、トヨタ博物館オリジナルピンバッジをプレゼント
    2. 工作イベント
      2016年1月9日(土)~11日(月・祝) 9:30~16:00
      新館1階(無料ゾーン)
項目 参加費 参加数
トヨタ2000GT プラスティッククラフト 300円/個 先着 30個/日
トヨダAA型乗用車 オリジナルメモ帳 300円/個 先着 30個/日
トヨタ博物館のご案内
  1. 所在地
    愛知県長久手市横道41-100(名古屋瀬戸道路・長久手ICより西へ400m グリーンロード沿い)
    TEL
    0561-63-5151
    FAX
    0561-63-5159
  2. 開館時間
    9:30~17:00(入館受付は16:30まで)
    休館日
    月曜日(祝日の場合は翌日)
    12/14(月)~1/4(月)は館内改装により休館
  3. 入館料
    大人 1,000円
    シルバー〈65歳以上〉 500円
    中高生 600円
    小学生 400円
    団体割引あり
    新館の1階、3階ライブラリー、3階ギャラリーは無料ゾーン

以上

別紙

常設展リニューアル 本館2階展示構成概要
ゾーン1自動車の夜明け(黎明期)/日本における自動車の始まり
 
蒸気、電気、そしてガソリンへ。
  • ガソリン自動車は最後発ながら年々改良を重ね、やがて自動車の主役となった。
  • 日本における自動車の始まり。明治中期に自動車づくりが始まるも、本格的な生産には至らず。
展示車両
ベンツ パテント モトールヴァーゲン(1886)、タクリー号(1907、模型)他/計13台
ゾーン2自動車の急速な進化
 
馬なし馬車から自動車へ、基礎技術が確立。
  • 20世紀に入る頃には自動車の基礎技術の多くが確立し、性能が飛躍的に向上。
    外観も馬車的な形状から離れ、低くスマートなものとなった。
展示車両
ロールスロイス シルバーゴースト(1910)他/計3台
ゾーン3自動車の大衆化
 
T型フォードの登場により、自動車が大衆のものに。
  • 簡素な構造ながら十分な性能を備え安価なT型フォードは、アメリカのみならず世界の多くの国に影響を与え、人々に自動車のある生活を提供した。
展示車両
フォード モデルT(1909)、プジョー べべ(1913)他/計12台
ゾーン4覇を競った豪華車
 
造形美と高い技術水準が人々を魅了する。
  • 欧米各国の自動車メーカーが競って開発した豪華車や高性能車は、工芸品としての造形美と工業製品としての高い技術水準で、人々を魅了した。
展示車両
ディムラ― タイプ45(1920)、デューセンバーグ モデルJ(1929)他/計7台
ゾーン5レーシングカー、スポーツカーの進化
 
レースは自動車の性能を向上させ、人々に走る喜びをもたらした。
  • 自動車の速さを競うレースは、その性能の優秀性を証明する手段として、自動車の誕生とともに始まり、レースに勝つための技術開発が自動車の性能向上に大きく貢献した。
展示車両
イスパノスイザ アルフォンソⅩⅢ(1912)、ブガッティ タイプ35B(1926)他/計9台
ゾーン6流線型時代の到来/日本における自動車の普及と量産の幕開け
 
技術とファッションが融合して、新たなスタイルへ。
  • 1930年代になると、自動車の構造の変化や空力技術の導入、車体製造技術の向上などにより、自動車のスタイルが「流線型」として本格的にデザインされるようになった。
  • 日本における自動車の普及と量産の幕開け。関東大震災が自動車普及の契機となった。
展示車両
デソート エアフロー(1934)、トヨダAA型乗用車(1936)他/計14台(模型含む)
ゾーン7さまざまな自動車文化の競演
 
欧米各国の自動車文化を反映し、個性的な車が出現。
  • 1930年代後半に個性的、高性能な自動車が数多く誕生。芸術性と耽美的な危うさが同居するフランス車、カロッツェリアによる華麗なボデイを纏ったイタリア車、桁違いの高性能を誇るドイツ車、奔放でユニークなアメリカ車など、当時の国情や国民性を表している。
展示車両
ドラージュ タイプ D8-120(1939)、ベンツ 500K(1935)他/計7台
ゾーン8第2次世界大戦後の新たな始動/アメリカでのスポーツカーブーム
 
新時代の幕開け、後世に影響を与えるデザインの登場。
  • BIG3の戦後モデルには、フラッシュサイドやテールフィンなど、その後の世界の自動車に影響を与えるデザインが登場し、欧州でも新たに自動車生産に取り組むメーカーが現れた。
  • 第二次大戦後、欧州のスポーツカーをアメリカへ持ち帰ったことからブームとなり、多くのスポーツカーがアメリカへ輸出された。アメリカでもスポーツカーやスペシャルティカーが誕生し、独自に発達。
展示車両
チシタリア 202 クーペ(1947)、シボレー コルベット(1953)他/計14台
常設展リニューアルにともない本館2階に追加・移動する車両
車両 21台
ゾーン 車名 製造年
人力車 明治後期 日本
ランチェスター 1904 イギリス
ドゥローニー ベルビュ タイプHB6L 1911 フランス
ベンツ 14/30HP 1912 ドイツ
モーリス オックスフォード 1913 イギリス
シボレー コンフィデレイト シリーズBA 1932 アメリカ
フォード モデル40 1934 アメリカ
ピアスアロー シリーズ36 1927 アメリカ
キャデラック シリーズ452A 1931 アメリカ
イスパノスイザ K6 1935 フランス
トーマス フライヤー モデルL 1909 アメリカ
SSジャガー100 1937 イギリス
ダットサン11型 1932 日本
筑波号 1935 日本
トヨダAA型乗用車(灰桜) 1936 日本
プジョー 402 1938 フランス
フォード カスタム 4ドアセダン 1949 アメリカ
カイザー フレーザー ヘンリーJ 1951 アメリカ
サーブ 92型 1951 スウェーデン
トヨペットSA型乗用車 1951 日本
MGミジェット タイプTC 1947 イギリス
1/5スケールモデル 7台 新館より本館2階へ移動
ゾーン 車名 製造年
パナール ルヴァッソール 1896 フランス
山羽式蒸気自動車 1904 日本
国産吉田式“タクリー号” 1907 日本
T.G.E.トラックA型 1918 日本
東京市営バス“円太郎” 1924 日本
オートモ号 1925 日本
トヨダG1型トラック 1935 日本

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  • ゾーン1 「自動車の夜明け(黎明期)」イメージ
    ゾーン1 
    「自動車の夜明け(黎明期)」イメージ
  • ゾーン1 ベンツ パテント モトールヴァーゲン(独・1886)
    ゾーン1 
    ベンツ パテント モトールヴァーゲン(独・1886)
  • ゾーン1 国産吉田式“タクリー号”(日・1907)模型
    ゾーン1 
    国産吉田式“タクリー号”(日・1907)模型
  • ゾーン2 ロールスロイス シルバーゴースト(英・1910)
    ゾーン2 
    ロールスロイス シルバーゴースト(英・1910)
  • ゾーン3 フォード モデルT(米・1909)
    ゾーン3 
    フォード モデルT(米・1909)
  • ゾーン4 デューセンバーグ モデルJ(米・1929)
    ゾーン4 
    デューセンバーグ モデルJ(米・1929)
  • ゾーン5 ブガッティ タイプ35B(仏・1926)
    ゾーン5 
    ブガッティ タイプ35B(仏・1926)
  • ゾーン6 「流線型時代の到来」イメージ
    ゾーン6 
    「流線型時代の到来」イメージ
  • ゾーン6 デソート エアフロー シリーズ SE(米・1934)
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    デソート エアフロー シリーズ SE(米・1934)
  • ゾーン6 トヨダAA型乗用車(日・1936)
    ゾーン6 
    トヨダAA型乗用車(日・1936)
  • ゾーン7 ドラージュ タイプ D8-120(仏・1939)
    ゾーン7 
    ドラージュ タイプ D8-120(仏・1939)
  • ゾーン8 チシタリア 202 クーペ(伊・1947)
    ゾーン8 
    チシタリア 202 クーペ(伊・1947)
  • ゾーン8 シボレー コルベット(米・1953)
    ゾーン8 
    シボレー コルベット(米・1953)
  • ミュージアムカフェ CARS & BOOKS(完成イメージ)
    ミュージアムカフェ
    CARS & BOOKS(完成イメージ)

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