2016年04月24日

2016年全日本スーパーフォーミュラ選手権第1戦
波乱の開幕戦で国本雄資が2位表彰台
ジェームス・ロシターが6位、アンドレ・ロッテラー7位でポイント獲得

 

2位表彰台を獲得した国本 雄資(P.MU/CERUMO・INGING)

 2016年全日本スーパーフォーミュラ選手権の開幕戦が鈴鹿サーキットで行われ、予選で2番手グリッドを獲得した国本 雄資(P.MU/CERUMO・INGING)がポジションを守り切っての2位表彰台を獲得。10番手スタートのジェームス・ロシター(KONDO RACING)が6位、9番手スタートのアンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S)が7位へと追い上げてポイント圏内でフィニッシュした。

中嶋 一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)を先頭にピットロードに並ぶクルマたち

 2016年全日本スーパーフォーミュラ選手権の第1戦が4月23日(土)、24日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで行われた。

 国内最高峰、最速のトップフォーミュラレースとして世界中からも注目を浴びる全日本スーパーフォーミュラ選手権。新規定で3年目となり、更なる激戦が予想される今年も、TOYOTA GAZOO Racingは強力な6チーム11台にトヨタRI4Aエンジンを供給。3年連続でのタイトル獲得を目指す。

 今季より、全車が装着するタイヤのメーカーが変更され、その特性にいち早く順応出来るかが問われることとなった。事前テストは行われたが、レースは全車未知への挑戦であり、その点でも注目の開幕戦となった。

予選

小林 可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS)

 23日(土)午前中のフリー走行では2年目を迎えた小林 可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS)と国本 雄資(P.MU/CERUMO・INGING)が好タイムをマーク。しかし、このセッションでは上位10台が0.5秒以内に入っており、今季も僅差での予選となることを予感させた。

 空には雲がかかっていたものの、時折日も差す、過ごしやすい気候の下で午後2時にノックアウト方式の予選Q1が開始されると、セッション開始と同時に各車アタックを開始。スタート後4分でアンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S)がコースオフを喫するもそのまま走行は続行。

 全車一旦アタックを終えたあとピットで待機し、残り6分半で再度コースへ。しかし、全車がアタックに入り始めた残り2分というところで、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がスピンしコースアウト。グラベルで車両を停めてしまい、セッションは赤旗中断。

 残り3分でセッションが再開されると、各車一発アタックに出たが、今度はウィリアム・ブラー(KONDO RACING)がスピン。このブラーのスピンによる黄旗で、その区間を走行していた車両のタイムが抹消に。その影響で、ディフェンディングチャンピオンの石浦 宏明(P.MU/CERUMO・INGING)が15番手となりまさかのQ1敗退。中山 雄一(KCMG)が16番手、オリベイラ、ブラーが17、18番手でQ2進出を逃すこととなった。

デビュー戦で3番手グリッドを獲得した関口 雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)

 予定よりも10分遅れて午後2時40分に予選Q2(7分間)が開始。各車がアタックに入り、数台がタイムをマークしたところで、スプーンコーナーで中嶋 一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)がスピン。コース脇に停止し、またも赤旗に。

 残り3分でセッションは再開され、Q3への生き残りを懸けたアタックが繰り広げられたが、最後の最後に逆転される形でロッテラーが9番手に落ち、無念のQ2敗退。ジェームス・ロシター(KONDO RACING)が10番手、ナレイン・カーティケヤン(SUNOCO TEAM LEMANS)が13番手、中嶋が14番手でグリッド確定。トヨタ勢はチャンピオン経験者など有力ドライバーが揃ってQ3進出を逃すという大波乱の結果となってしまった。

 Q3(7分間)は午後3時8分に開始。各車がアタックラップに入ると、トヨタ勢では唯一のルーキードライバーながらQ3進出を果たした関口 雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が最初に1分37秒台に入れトップに立つが、その直後、国本がこれを上回るタイムをマーク。国本にとって2013年のJAFグランプリ以来、シリーズ戦では初のポールポジション獲得なるかと思われたが、最後の最後に惜しくも逆転を許し、それでも2番手グリッドを獲得。最前列から決勝レースに臨むこととなった。

 関口もデビュー戦で3番手グリッドと好位置につけた。Q3に進出した小林は8番手となった。

決勝

開幕戦で2位表彰台を獲得した国本 雄資(P.MU/CERUMO・INGING)

 予選のあと、夜にかけて雨が降ったものの、24日(日)は朝から晴れ、路面は完全にドライに。スーパーフォーミュラの決勝レース前は空に雲がかかり、やや涼しい気温24度/路面温度34度というコンディションでスタートを迎えた。

 午後3時15分にフォーメーションラップが開始され、43周の決勝レースがスタート。最前列2番手の国本はポジションキープも、3番手の関口はやや出遅れ、4位に後退。加えて関口は、フォーメーションラップ開始時エンジンストールした際の対応で、スタート手順違反として10秒ストップのペナルティを科され、上位争いから脱落してしまった。

 10位を走行していた小林は18周終了時点でピットへ向かったが、右リアタイヤのホイールナットが完全に締まっておらずスローダウン。何とか1周走り切るも、シケイン付近でついに右リアホイールが脱落。ピットへ戻り、タイヤを装着してコースへ戻ったが、最後尾へと後退を余儀なくされた。

 トヨタ勢最上位で孤軍奮闘を続ける国本は、首位には届かないものの、後続との差をコントロールし、2位をキープし続けた。

 33周目を終えたところで、最後に国本がピットイン。国本は上位を争うライバル同様にタイヤ無交換、給油のみとし、2位のポジションを守ったままコースに復帰した。

ジェームス・ロシター(KONDO RACING)

 全車がピットを終えた時点でトヨタ勢では国本が2位、追い上げたロッテラーが6位、ロシターが7位。17番手スタートのオリベイラは早めのピット作戦でハイペースの周回を続け、10位までポジションアップ。石浦がそのすぐ後方11位で続き、終盤にはこの2台が前を行く2台を追っての8位争いを繰り広げ、観客を沸かせた。

 国本は2位でチェッカー。シリーズ戦での自己最高位タイ、2014年の第5戦オートポリス以来となる2度目の2位フィニッシュを果たし、トヨタ勢が苦戦を強いられた開幕戦で表彰台を獲得した。

 終盤ロッテラーを逆転したロシターが6位、ロッテラーは苦しみながらも7位を守ってフィニッシュし、ポイントを獲得した。オリベイラと石浦は終盤の追い上げ叶わず、10位、11位に終わった。

 TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。

P.MU/CERUMO・INGING 2号車 ドライバー 国本雄資
何とか2位でフィニッシュすることが出来てとても嬉しい。スタートから狙っていったが、山本選手が速く、徐々に離されてしまった。しかし、その中でミス無くペースをコントロールしながらプッシュしていった。後方からストフェル(バンドーン)選手が来ているのは分かっていたが、タイムは同じくらいだったし、大きなミスがなければ抜かれることはないと思っていた。しかし、限界ギリギリでの走りを続けなくてはならない、非常にタフなレースだった。タイヤは未知数だったが、結果的に無交換で走り切ることが出来た。こうして2位に入れるクルマを用意してくれたチームに感謝している。次戦も優勝目指してしっかり走りたい。
全日本スーパーフォーミュラ選手権 第1戦 結果表
順位 No. ドライバー チーム 周回 タイム/差 予選 予選タイム エンジン
1 16 山本 尚貴 TEAM 無限 43 1:13'59.415 1 1'37.459 HONDA HR-414E
2 2 国本 雄資 P.MU/CERUMO・INGING 43 11.710 2 1'37.820 TOYOTA RI4A
3 41 ストフェル・バンドーン DOCOMO TEAM DANDELION RACING 43 13.194 4 1'37.962 HONDA HR-414E
4 34 小暮 卓史 DRAGO CORSE 43 16.758 6 1'38.179 HONDA HR-414E
5 10 塚越 広大 REAL RACING 43 23.270 7 1'38.367 HONDA HR-414E
6 3 ジェームス・ロシター KONDO RACING 43 25.199 10 1'38.859 TOYOTA RI4A
7 36 アンドレ・ロッテラー VANTELIN TEAM TOM’S 43 30.052 9 1'38.772 TOYOTA RI4A
8 65 ベルトラン・バゲット NAKAJIMA RACING 43 31.040 12 1'38.887 HONDA HR-414E
9 40 野尻 智紀 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 43 37.410 5 1'37.964 HONDA HR-414E
10 19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 43 37.971 17 1'40.493 TOYOTA RI4A
11 1 石浦 宏明 P.MU/CERUMO・INGING 43 38.214 15 1'39.908 TOYOTA RI4A
12 37 中嶋 一貴 VANTELIN TEAM TOM’S 43 45.132 14 1'51.992 TOYOTA RI4A
13 18 中山 雄一 KCMG 43 1'09.602 16 1'40.038 TOYOTA RI4A
14 20 関口 雄飛 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 43 1'10.595 3 1'37.952 TOYOTA RI4A
15 4 ウィリアム・ブラー KONDO RACING 43 1'39.752 18 1'40.795 TOYOTA RI4A
16 8 小林 可夢偉 SUNOCO TEAM LEMANS 41 2Laps 8 1'38.842 TOYOTA RI4A
  11 伊沢 拓也 REAL RACING 37 6Laps 11 1'38.867 HONDA HR-414E
  64 中嶋 大祐 NAKAJIMA RACING 35 8Laps 19 1'41.296 HONDA HR-414E
  7 ナレイン・カーティケヤン SUNOCO TEAM LEMANS 23 20Laps 13 1'39.042 TOYOTA RI4A
ドライバーズポイント
(第1戦終了時)
順位 ドライバー名 エンジン ポイント
1 山本 尚貴 HONDA HR-414E 11
2 国本 雄資 TOYOTA RI4A 8
3 ストフェル・バンドーン HONDA HR-414E 6
6 ジェームス・ロシター TOYOTA RI4A 3
7 アンドレ・ロッテラー TOYOTA RI4A 2

以上

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