1999年04月05日

トヨタ、EVコミューターシステム『Crayon』を開発

-5月末より本社周辺地区で運用実験開始-

 

 トヨタ自動車(株)(以下トヨタ)は、小型EVコミューター「e-com(イーコム)」と最新のITS技術を活用し、21世紀に向けた環境に優しいモビリティシステムを検討してきたが、このほど『Crayon(クレヨン)*1』と名付けた新しい「EVコミューターシステム」を開発し、本年5月末より愛知県豊田市の本社周辺地区で本システムの運用実験を開始する。

 多人数での共同利用を前提とする『Crayon』は、イントラネットを活用し、オフィスのパソコンや「e-com」の専用駐車場(デポ)に設置した端末機による「予約・充電管理システム」、会員が専用のICカードを保有し予約情報等の書き込みや車両キーとして用いる「ICカードシステム」、「Crayonセンター(運行管理センター)」が各車両の位置情報を把握できるMONET(モネ)*2を活用した「ロケーション管理システム」、VICS*3とMONETによる「リアルタイム情報提供システム」、利用時間に応じた料金請求を行う「料金請求システム」などで構築されており、他用途へも展開可能な汎用性の高いシステムとしている。

 このような「EV共同利用システム」は、環境負荷の少ない交通システムであり、都市部でのビジネス利用やリゾート地での観光利用、あるいは住宅地、団地等コミュニティでの買い物や最寄り駅までの通勤用途を想定した近距離移動手段として、各地で導入の検討が行われている。

 トヨタでは、『Crayon』の運用実験を通じ、「e-com」やシステムの完成度を高めるとともに、実験を広く公開し、活用用途などについて多方面からの意見を参考にしつつ、将来の実用化に繋げていく考えである。

*1
Crayon
21世紀に向け「夢のあるモビリティの絵を描く」イメージからネーミング
*2
MONET
MOBILE NETWORK(トヨタ情報通信ネットワーク)
*3
VICS
Vehicle Information and Communication System(道路交通情報通信システム)
運用実験の概要
  項目 内容
1 実験開始時期 平成11年5月末より(スケジュールは「参考資料」参照)
2 車両台数 開始当初は35台程度。年度内に50台程度に増車予定
3 専用駐車場(デポ) 開始当初は、本社内6ヵ所、元町ヘリポート、広瀬工場の計8ヵ所。必要に応じ、計10ヵ所程度に増設
4 従業員会員数 開始当初は300人程度
Crayonの機能概要
  構成システム 内容
1 予約・充電管理システム
  1. 会員がイントラネットを経由し、Crayonセンターにアクセスして予約
    • 予約なしでも車両が空いている場合は、駐車場(デポ)に設置した端末機での手続きで利用可能(各駐車場に「予約なし利用可否表示灯」設置)
  2. Crayonセンターでは各車両の充電状況を常時把握し、充電状況に応じて最適な車両を選択、デポにて割り当て
2 ICカードシステム [車両利用時の流れ]
  1. デポの端末機にて利用開始手続きを行い、ICカードに車両利用許可情報を書き込み(ICカードの車両キー化)
  2. ICカードにより、車両を開錠・施錠
  3. デポの端末機にて利用終了手続きを行い、ICカードの予約情報を消し込み
3 ロケーション管理システム
[MONETを活用]
  1. ナビゲーションシステムの車両位置情報を、車両側から携帯電話を通し定期的に自動発信
    • (株)トヨタメディアステーション経由でCrayonセンターに車両の位置情報を提供
  2. 走行可能範囲を逸脱するような場合は、Crayonセンターから自動ウォーニング
4 リアルタイム情報提供システム
  1. VICS対応カーナビゲーションシステムを搭載
  2. MONETを搭載
5 料金請求システム
  1. レンタカー事業を想定した料金請求システムを設定
  2. 運用実験においては、料金請求シミュレーションを実施
Crayonのイメージ
Crayonのイメージ
[参考資料]
運用実験スケジュール
運用実験スケジュール
Crayonのシンボルマーク
Crayonのシンボルマーク
e-com主要諸元
項目 諸元
全長 2,790mm
全幅 1,475mm
全高 1,605mm
ホイールベース 1,800mm
トレッド 1,315mm
1,300mm
車両重量 770kg
乗車定員 2名
駆動用モーター 種類 交流同期型
最高出力 18.5kW/2,300~4,500rpm
最大トルク 76N・m/0~2,300rpm
駆動用電池 シール形ニッケル水素
駆動方式 FF
充電方式 100V コンダクティブ(接触)方式
200V インダクティブ(非接触)方式
航続距離 約100km(10・15モード走行)

以上

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