1999年08月31日

トヨタ、新コンパクト車 ファンカーゴを発売

-「夢と遊びを広げる空間」を提供するクルマ誕生-

 

 トヨタ自動車(株)(以下トヨタ)は、新コンパクト車ファンカーゴ*1を開発し、全国のトヨタカローラ店ならびにトヨタビスタ店を通じて本日より一斉に発売した。

 ファンカーゴは、独創性に富むアクティブな若者たちの生活を演出する「夢と遊びを広げる空間」の提供を念頭に、扱いやすいサイズながら多目的に使える画期的な室内空間を実現した新型車である。
 その開発では、室内を快適な移動空間とすることはもとより、移動先でも車を止めて住まいの部屋のように様々な用途に活用できる新パッケージを提案。
 さらにパッケージを活かす内外装デザイン、新開発パワートレーンの採用による爽快な走り、環境・安全への多目的な配慮を図るとともに、楽しいクルマ創りを演出する多種類の用品を設定し、新しいクルマの使い方を提案することで、コンパクトカーの新たな方向を提示している。

  1. フロア下に格納可能なリトラクタブルリヤシートを採用し、コンパクトなボディサイズながら同クラス車を圧倒する広くユーティリティに優れるリヤ室内空間を実現した新パッケージにより、コンパクトカーの新たな使い方を提案
  2. 室内空間の大きさを象徴する2モーションルーフのエクステリアと明るく、楽しいパーソナル空間を表現したインテリア
  3. 新開発1.5リットルVVT-i*2および1.3リットルVVT-iのBEAMS*3エンジンをラインアップするとともに、新設計オートマチックトランスミッションやステアシフトマチック(「G」グレード)を採用し、心地よいドライブフィールを実現
  4. 優れた緊急回避性能を確保するEBD*4付ABSやブレーキアシストの全車標準装備、最新のGOA*5ボディの採用などにより、クラス世界トップレベルの安全性を実現
  5. CO2の排出を削減するとともに、全車平成12年新排出ガス規制に適合したほか、1.3リットル車は環境庁低公害車等排出ガス技術指針の「移行期低排出ガスレベル(J-TLEV)」をも満たすなど環境に配慮
  6. オフタイムからビジネスシーンまで室内を多目的に使えるよう多数の用品を設定し、楽しく新しいクルマの使い方を提案したほか、介護用にはウェルキャブを3タイプ設定し幅広いニーズに対応

 なお、トヨタではこの新型車より、車種毎の「環境仕様」を車両カタログに掲載する。

  • ファンカーゴ1.3「X」
    ファンカーゴ1.3「X」
  • リトラクタブルリヤシート機構
    リトラクタブルリヤシート機構
*1
ファンカーゴ(FUN CARGO)
英語のFun<楽しい>とCargo<積荷>の合成語
*2
VVT-i
Variable Valve Timing-intelligent(連続可変バルブタイミング機構)
*3
BEAMS
Breakthrough Engine with Advanced Mechanism System(先進機構を備えた画期的エンジン)
*4
EBD
Electronic Brake force Distribution(電子制動力配分制御)
*5
GOA
Global Outstanding Assessment(世界トップレベルの安全評価)
車両概要
  1. パッケージ
    • コンパクトなボディサイズながら、室内を快適な移動空間として使用できるほか、移動先でも車を止めて住まいの部屋のように様々な用途に活用できる新パッケージを提案
      1. 乗員空間
        • 全長3,860mmの車両サイズに対し、2,500mmのロングホイールベースとし、室内高も1,290mmと高く設定することで、乗員に充分なヘッドクリアランスとゆとりのレッグスペースを提供
      2. フロントシート
        • ヒップポイント地上高を乗り降りしやすい高さ(630mm)に設定したほか、広いドア開口部により、頭部や腰部の上下移動が少ない自然な姿勢での乗降を実現
        • コラムシフト、足踏み式パーキングブレーキに加え、十分な室内高とフラットフロアにより前後および左右へのウォークスルーが容易に可能
      3. リヤシート
        • ヒップポイント地上高をフロント席に比べ高く設定することで前方視界を確保したほか、フロアとロッカーの段差を少なくし足さばき性にも配慮
        • 4段階の簡易リクライニングや前倒し、そしてヘッドレストをつけたまま(除く4WD車の右リヤシート)折りたたみ、脱着することなくフロントシートフロア下に格納できる、他に例のない画期的なリトラクタブルシートを採用することで収納後は低床なフラットフロアを実現
        • センターシートは単体での脱着ができ、フロント席からバックドアへのウォークスルーを可能にしたほか、シートバックにはカップホルダーやトレイを装備
      4. リヤ室内空間
        • 低く(2WD車地上高470mm)フラットなフロアと十分な室内高により大人でも楽な姿勢で移動でき、またリヤシートを格納すると大人も横になれる程の長さ(1,780mm)も創出できるため、同クラス車に比べ約2倍のリヤ室内空間を創出
        • 狭い場所での荷物の出し入れに便利な横開きバックドアを採用。あわせてリヤバンパー高を低くまた上面をフラット化しステップ機能をもたせ、低床フロアやバックドアへのインサイドドアハンドルの設定とあいまって、バックドアからの容易な乗降を実現
      5. 快適・機能装備
        • センターメーターの採用や、センタークラスター上部にオペレーション機能やワイドマルチAVステーションII(オプション)を集中配置し、高い視認性、操作性を確保
        • センタークラスターの両サイド部や運転席膝元をはじめ前席上部などにも、収納スペースを設定
        • 屋外でも懐中電灯として使用できる脱着式デッキ照明(テイクアウトランプ)や、室内の使い方の幅を広げるロングアシストグリップ、パッケージトレイ&ユーティリティバーなどを設定
        • エアコン花粉などを除去するクリーンエアフィルターを全車標準装備したほか、設定スイッチを統合し操作をシンプルにしたオートエアコンを「G」グレードに採用
        • フロント席とラゲージルームにDC12V・120Wのアクセサリーソケットを設定したほかAC100V・100Wまでの家庭用電化製品が使用できるインバーターをオプション設定
  2. エクステリア・インテリア
    • 広く機能的な室内をイメージさせるエクステリアと、快適なパッケージを活かす明るく、開放感あるインテリア
      1. エクステリア
        • 全長3,860mm、全幅1,660mm(ホイールアーチモール無車)、全高1,680mm(2WD車)のボディは、短めのフロントノーズから大きく傾斜したフロントピラーが生み出す流麗で球体をイメージさせるフロント部とスペースユーティリティに優れる箱型を感じさせるリヤ部を2モーションルーフ形状により融合
      2. インテリア
        • ドアトリムとラウンディッシュに連なる水平基調のインストルメントパネル、おおらかな座面形状にディンプルを配したシート、そしてツートーン基調の配色により、心地良い空間を創出
  3. 基本性能
    • エンジン、オートマチックトランスミッションを新設計するとともに軽量高剛性ボディを採用し、優れた基本性能をコンパクトなサイズで達成
      1. エンジン<1.5リットルガソリンVVT-i(BEAMS 1NZ-FE)および1.3リットルガソリンVVT-i(BEAMS 2NZ-FE)>
        • VVT-iや斜めスキッシュ燃焼室の採用による熱効率の向上、ロングポートインテークマニホールドやロングブランチエキゾーストマニホールドの採用による吸排気効率の向上などにより、低中速での扱いやすさと俊敏な加速性能を両立
        • アルミブロックの採用や、吸排気系にそれぞれ樹脂やステンレスを採用することで、両エンジンともクラス最軽量となる質量を実現(1.5リットル : 78kg、1.3リットル : 75kg)し低燃費に寄与
[エンジン主要諸元]
  駆動 トランスミッション 排気量
(cc)
最大出力
(PS/rpm)
最大トルク
(kg・m/rpm)
10・15モード走行燃費
(km/リットル)
1NZ-FE FF Super ECT 1,496 110/6,000 14.6/4,200 15.0
4WD 1,496 105/6,000 14.1/4,200 14.0
2NZ-FE FF 1,298 88/6,000 12.5/4,400 17.2
車両重量1,010kg以下の値、1,020kg以上の場合は16.2km/リットル
  1. サスペンション
    • フロントには、ステアリングギヤをサブフレーム付としたマクファーソンストラット式を、リヤにはトーコレクト機能を備えたイータビーム(2WD車)またはラテラルロッド付4リンク式(4WD車)のサスペンションを採用し、スタビライザーや十分なホイールストロークを設定することで、上質な乗り心地と背の高い車両でありながら優れた操縦性・走行安定性を実現
  2. オートマチックトランスミッション<Super ECT>
    • 1.3リットルおよび1.5リットルエンジン専用に設計した小型軽量な新Super ECTは、高効率小型トルクコンバーターや低フリクション機構の採用により伝達効率を大きく高めるとともに、フレックスロックアップシステムを採用しクラストップレベルの低燃費に寄与
    • マニュアル感覚のシフト操作を楽しめるステアシフトマチックを「G」グレードに標準装備
  3. 4WDシステム
    • 通常の直進走行ではFFに近いトルク配分を行い、滑りやすい路面やコーナリング時などでは後輪にも最適なトルク配分を行うフレックスフルタイム方式を採用し、様々な路面状況においてもより安定した走行を提供
  4. ボディ
    • ボディ骨格間の結合やパネル構成、溶接位置にいたるまでスーパーコンピューターによる解析を活用し軽量で高い剛性のボディを実現したほか、フロントフロアへの曲面化パネルの採用や吸・遮音材の効果的な配置により優れた静粛性も確保
  1. セーフティ
    • コンパクトなサイズの中で最新技術を結集し事故回避性能を追求しつつ、進化させた最新のGOAボディを採用するなど、アクティブ、パッシブ両面から一段と高い安全性を追求
      1. アクティブセーフティ
        • インストルメントパネル上面中央に、運転中の視線移動が少ないセンターメーターを採用
        • ディスチャージランプに匹敵する明るさを有するマルチリフレクターヘッドランプを採用
        • 「走る、曲がる、止まる」の基本性能を磨き上げ、背の高い車両でありながら高い走行安定性と優れた緊急回避運動性能を確保したうえ、様々な車両走行状態(積載状態や減速による荷重変化など)に応じて適切な前後制動力配分を行うことで優れたブレーキ性能を確保し、さらには、コーナリング中のブレーキなどでも車両の安定性確保に貢献する機能をあわせ持つEBD付ABSやブレーキアシストを全車に標準装備
      2. パッシブセーフティ
        • より重量のある車両との衝突、もしくはより高い速度で衝突した場合の安全性を確保するため、40%ラップオフセット前面衝突試験を64km/h、フルラップ前面衝突試験および側面衝突試験を55km/hと従来より速度を上げて実施し、進化したGOAボディを採用
        • 運転席・助手席に、プリテンショナー&フォースリミッター付シートベルト、SRSエアバッグ、点滅式シートベルト非着用警告灯を全車に標準装備
        • ピラーやルーフサイドレールの内装材に衝撃を吸収するリブなどを内蔵することにより、米国の頭部衝撃緩和基準レベルの性能を追求した構造のインテリアを採用
        • アンダーボディおよび取付部を工夫することで、前面衝突時にブレーキペダルの室内への突出を抑制し、乗員の脚部への衝撃を緩和
        • 被追突時に乗員の首への衝撃を緩和するWILコンセプトを取り入れたシート構造を採用
        • 前面衝突時の積荷移動に配慮したフロントおよびリヤシートを採用
        WIL
        Whiplash Injury Lessening(頸部障害低減)
  2. エコロジー
    • ゆとりの室内空間を確保しながら省資源に寄与するコンパクトな車両サイズとしたほか、CO2の削減や排出ガスのクリーン化を図るとともに、リサイクルへの配慮や環境負荷物質の低減などエコロジーを追求
      1. CO2削減と排出ガスのクリーン化
        • 地球温暖化の原因とされるCO2削減を念頭に、最新設計エンジン、トランスミッションの搭載や徹底した軽量化により、1.3リットル車、1.5リットル車ともクラストップレベルの燃費性能を実現したほか、1.3リットル車の一部(車両重量1,020kg以上)は平成22年度新燃費基準も達成(自動車取得税軽減対象車
        • 排出ガスのクリーン化を図るため、VVT-i、高微粒化フューエルインジェクター、各気筒独立燃料噴射制御を採用したほか、後方排気レイアウトにより触媒の暖気性を高めることで、全車平成12年10月から施行される新排出ガス規制に適合(自動車取得税軽減対象車)したほか、1.3リットル車ではHCとNOXにおいて平成12年規制値をさらに25%以上下回り、環境庁低公害車等排出ガス技術指針における「移行期低排出ガスレベル(J-TLEV)」をも達成
        税軽減が重複する場合は購入者が一方を選択
      2. リサイクルへの配慮
        • リサイクル性に優れる熱可塑性樹脂トヨタスーパーオレフィンポリマー(TSOP)を前後バンパー、インストルメントパネル、センタークラスター、ピラーガーニッシュなどの内外装部品に積極的に採用したほかリヤバンパーは3分割構造とし、補修時の費用低減と省資源、リサイクル性を追求
        • 使用済み車両のシュレッダーダストから再生した高性能防音材RSPPをダッシュサイレンサーやフロアサイレンサーに採用したほか、エンジンオイル、クーラントなどの抜き取り性やワイヤーハーネス、シート、エンジンアンダーカバーなどの解体性をそれぞれ向上
        RSPP
        Recycled Sound-Proofing Products
      3. 環境負荷物質の低減
        • ラジエーター、ヒーターコア、ワイヤーハーネス被覆材などに、環境負荷物質の鉛を含まない素材を採用
  3. バリエーション
    夢と遊びを広げる空間活用アイテム
    • 用品[販売店装着オプション]については、内外装デザインをアレンジできるアイテムに加え、外部電源入力システム、スリーピングマット、バックドアテーブル、ルームイルミネーションなどオフタイムからビジネスシーンまで多目的に使える室内空間のアレンジをサポートするアイテムも多数設定し、楽しく新しいクルマの使い方を提案
    TECS(メーカー完成特装車)車両概要
    • 新パッケージを最大限に活かし、「ウェルキャブ助手席回転シート仕様」や「ウェルキャブフレンドマチック取付用専用車」に加え、新開発の「ウェルキャブ車いす仕様車」も設定し多様なニーズに対応
      • 人を乗せたまま車いすをすくい上げバックドアから室内に乗車させる電動簡易リフトに加え、車いす固定装置や専用シートベルトの設定により、車いすに乗ったまま乗降可能な「ウェルキャブ車いす仕様車」を新設定。この車両は通常も5人乗りとして使用できるほかボディ改造が少ないことからお求めやすい価格を実現
      • 「ウェルキャブ助手席回転シート仕様」(BタイプはAタイプに加え電動式の車いす収納装置を標準装備)および下肢障害者が手でだけで運転できるよう操舵力を軽減した専用パワーステアリングなどを標準装備した「ウェルキャブフレンドマチック取付用専用車」も合わせて設定
販売概要
  1. 販売
    全国のトヨタカローラ店ならびにトヨタビスタ店
  2. 月販目標台数
    7,000台
  3. 店頭発表
    9月4日(土)、5日(日)
メーカー希望小売価格
(北海道、沖縄のみ価格が異なる。消費税は含まず、単位 : 千円)
グレード 駆動 エンジン トランスミッション 価格
J 2WD
(FF)
2NZ-FE
(1.3リットル VVT-i)
Super ECT 1,248
X 1,298
G 1NZ-FE
(1.5リットル VVT-i)
1,488
J 4WD 1,468
X 1,518
G 1,668
“Uパッケージ”は45千円高、“Sパッケージ”は45千円高。
TECSメーカー希望小売価格
[ウェルキャブシリーズ]
(北海道、沖縄のみ価格が異なる。消費税は含まず、単位 : 千円)
  駆動 グレード エンジン トランスミッション 価格
車いす仕様車*1 2WD
(FF)
J 2NZ-FE Super ECT 1,523
X 1,573
G 1NZ-FE 1,763
助手席回転
シート仕様
(Aタイプ*2
2WD
(FF)
J 2NZ-FE 1,328
X 1,378
G 1NZ-FE 1,568
4WD J 1,548
X 1,598
G 1,748
フレンドマチック
取付用専用車*3
2WD
(FF)
G 1NZ-FE 1,532
4WD 1,712
Super ECT
スーパーインテリジェント4速オートマチック
*1 消費税は非課税
*2 Bタイプは111千円高で、消費税は非課税
*3 車両購入時に運転補助装置を取付けた場合は、消費税は非課税

以上

あわせてカーラインアップウェルキャブのコーナーもご覧ください

ダウンロード(画像)

  • ファンカーゴ1.3「X」
    ファンカーゴ1.3「X」
  • リトラクタブルリヤシート機構
    リトラクタブルリヤシート機構