1999年10月08日

ECO. あしたのために、いまやろう。

トヨタ「第3回トヨタ環境フォーラム」を開催、新環境先進技術を提示

 

 トヨタ自動車(株)(以下トヨタ)は10月12日(火)、報道関係者および環境問題に関わる有識者を対象に、トヨタの環境への取り組みの開示と、環境保全に向けた議論の場づくりを主旨とした「トヨタ環境フォーラム」を開催する。
 当日、トヨタは環境先進技術車についての将来ビジョンを公表するとともに、具体的な対応技術を提示する。

 トヨタは平成9年に国内の自動車メーカーとしては初めて環境問題をテーマにした「第1回トヨタ環境フォーラム」を開催した。その中でトヨタは、環境問題に対する基本的な考え方として、自動車メーカーは積極的に環境問題への対応を進めるべきであり、『TOYOTA-ECO-PROJECT』を推進し、環境保全のトップランナーを目指した取り組みを展開すると宣言した。
 また、この時公表した「複数の取り組みのアプローチで環境対応技術車を開発していく」という技術ビジョンに基づき、世界初の量産型ハイブリッド車「プリウス」の発売や燃料電池自動車、都市型EVコミューターシステムの開発などを積極的に進めてきた。

 平成10年に開催した「第2回トヨタ環境フォーラム」ではこうした技術の取り組みの進捗状況を公開し、ハイブリッド車プリウス、直噴ガソリンエンジン搭載車、CNG車などの技術展示・試乗を実施すると同時に、ユーザーの視点を踏まえた環境保全に寄与する運転方法、環境問題における科学技術・産業の役割などの議論を社外の有識者とともに展開した。

 今回の第3回フォーラムでは、第1回のフォーラムで公表した技術ビジョンをさらに進めた「次世代ハイブリッド車への進化」をトヨタの環境先進技術車の方向性とし、具体的な考え方や技術を提案する。
 また、トヨタのビジョンの提示に留まらず、環境先進技術車の方向を燃料の供給やクルマとしての実用性といった観点から現実的な対応を議論する開催内容となっている。

今回提示する新技術 : 詳細 別添資料参照
  1. 新トヨタ ハイブリッドシステム
  2. 燃料電池自動車用コンポーネント
  3. ハイブリッド車用コンパクトバッテリー
第3回トヨタ環境フォーラムの開催概要
日時
平成11年 10月12日(火) 15:30~18:15
場所
ホテルニューオータニ(東京都千代田区)「鶴の間」
開催内容
(予定)
ご挨拶
張 富士夫(トヨタ自動車 社長)
プレゼンテーション
「環境対応技術の方向性」渡邉 浩之(トヨタ自動車 常務)
レポート
「プリウス北米横断12,000キロの現場から」横田 紀一郎氏(チームACP監督・元ラリースト)
プレゼンテーション
「エネルギーと環境保全」Dr.エルドン・プリーストリー
(エクソン・リサーチ・アンド・エンジニアリング社 石油研究所長)
ディスカッション
舘内 端氏(ジャーナリスト・クリーンエネルギー自動車普及協議会委員)&渡邉 浩之
特別講演
「グローバルな視点で自動車産業に望むこと」原 剛氏(早稲田大学大学院 教授)

以上

資料1

トヨタ、プリウスに続く新ハイブリッドシステムを開発

-同時に後輪をモーター駆動する世界初の電気式四輪駆動システムを開発-

 トヨタ自動車(株)は、プリウスに搭載のハイブリッドシステムに続くパワートレーンとして、ガソリンエンジン、モーター、無段変速機(CVT*1)から成るミディアムサイズミニバン用の新トヨタ ハイブリッドシステム THS-C*2を開発するとともに、この前輪駆動用のパワートレーンに、後輪駆動用モーターを組み合わせた電気式四輪駆動システムE-Fourを新開発した。
 これにより、同クラスミニバンの約2倍となる低燃費と、現在最も厳しい環境庁低公害車等排出ガス技術指針の「超低排出ガスレベル(J-ULEV)」となる画期的なローエミッションを追求している。

 THS-Cは、高出力、高トルクの2.4リットルガソリンエンジンを熱効率の高い高膨張比サイクルとした上で、高効率のCVTとモーターを組み合わせミニバン等大きな駆動力を必要とする車両用に新開発したハイブリッドシステムである。
 通常走行では、エンジン動力がCVTを介して前輪を駆動し、強い加速が必要な時には、モーターが駆動力を追加する。さらに、発進時や低速走行時等エンジン効率の悪い領域ではエンジンを止めてモーターで走行するなど、状況に応じてエンジンとモーターを効率的に組み合わせ、力強い走行と画期的な低燃費・ローエミッションを両立している。

 さらに、この前輪駆動用のハイブリッドシステムのパワートレーンに加え、後輪駆動用にもリヤディファレンシャルギヤと一体のモーターを設置し、滑りやすい路面では前後輪各々のパワートレーンで駆動する世界初の電気式四輪駆動システム E-Fourを採用している。
 なお、このE-Fourは、後輪を電気的にモーター駆動させるため、前後輪を機械的に連結するプロペラシャフトやトランスファーが不要となり、軽量化が図れると同時に車両パッケージの自由度が増大し、加えて、四輪での回生ブレーキにより、制動エネルギーの電気エネルギーへの変換・回収量が多いため、効率的な駆動を可能とするメリットがある。

 また、駆動用バッテリーは、新開発のコンパクトで高性能なニッケル水素バッテリーを採用している。

新トヨタ ハイブリッドシステム THS-C

新トヨタ ハイブリッドシステム THS-C

*1
CVT
Continuously Variable Transmission
*2
THS-C
TOYOTA Hybrid System-CVT
THS-Cシステム構成
THS-Cシステム構成
システム作動状態
  1. 発進時
発進時
  • 停車中はエンジンを停止。
  • 発進時はバッテリーからの電力でフロントとリヤのモーターを駆動し四輪駆動で走行。(C)(D)
  • エンジン走行の方が効率良い運転領域と判断すると、エンジンを始動し、CVTを介して前輪駆動で走行。(A)
  1. 通常走行時およびバッテリー充電時
通常走行時およびバッテリー充電時
  • 通常走行時は、エンジン動力がCVTを介して前輪を駆動。(A)
  • 必要に応じて、エンジン動力でフロントモーターを発電機として駆動し、バッテリーを充電。(B)
  1. 全開加速時
全開加速時
  • エンジンによる駆動(A)に加え、バッテリーから電力を供給し、フロントモーターを駆動して、前輪の駆動力を増大。(C)
  • さらに、バッテリーの電力でリヤモーターを短時間駆動し、後輪も駆動。(D)
  1. 軽負荷時
軽負荷時
  • 低速走行時や緩やかな坂を下る時等、エンジン効率が低下する領域ではエンジンを止め、バッテリーでフロントとリヤのモーターを駆動し、四輪駆動で走行。(C)(D)
  1. 減速時・制動時
減速時・制動時
  • 前後輪が各々フロントとリヤのモーターを駆動し、回生発電を行い、バッテリーに蓄電。(C)(D)
  1. 滑りやすい路面等の走行時(4WD走行)
滑りやすい路面等の走行時(4WD走行)
  • 滑りやすい路面等で前輪のスリップを検知した場合、フロントモーターを発電機として使い、エンジン出力を吸収することによって前輪の駆動力を低下させる。同時に、フロントモーターで発電した電力をリヤモーターの駆動に使い、後輪に駆動力を発生させる。(E)
  • 電力の過不足はバッテリーで調整。
  • 前輪の駆動力が大きすぎる場合は、エンジンのスロットルを絞りスリップを抑制。

資料2

トヨタ、燃料電池自動車用コンポーネントを新開発

-燃料電池自動車を燃料電池ハイブリッド車と位置づけ早期実用化に取り組むとともに、21世紀を見据えた最適燃料の選定を開始-

 トヨタ自動車(株)(以下トヨタ)は、燃料電池自動車の実用化に向け燃料電池スタック等、主要コンポーネントを新開発した。
 今回、新開発したコンポーネントは、燃料電池スタック、メタノール改質器、エアコンプレッサー、水素吸蔵合金タンクに代表され、各々従来の開発品に対し、電池スタックでは出力を約3倍としたのをはじめ、メタノール改質器、エアコンプレッサー、水素吸蔵合金タンクでは大幅な性能向上に加えて小型、軽量化等画期的な改善を行っている。

 燃料電池自動車は、「連続発電装置を持つ進化型電気自動車」と言われているが、エンジンで発電しモーターを駆動するハイブリッド車の「エンジンと発電機を燃料電池に置き換えた進化型ハイブリッド車」でもある。
 トヨタは、ハイブリッド車プリウスにより、高電圧・大電流を制御するパワーエレクトロニクス技術を進化させ、充放電を高度にコントロールすることで、エンジンを高効率で運転しつつ効率良く電気を二次電池(駆動用電池)に蓄え、必要時には速やかな電力供給を可能として、画期的な燃費向上を実現した。
トヨタは、この成果を踏まえ燃料電池自動車を進化型ハイブリッド車すなわち「燃料電池ハイブリッド車(FCHV : Fuel Cell Hybrid Vehicle)」と位置づけ、ハイブリッド車のパワーエレクトロニクス技術を駆使し、燃料電池発電量の精密制御を行い、燃料電池を常に高効率で運転しつつ、プリウス同様効率良く電気を二次電池に蓄えることを可能とした。
 さらに、減速、制動時にも回生発電により、電気を効率的に二次電池に蓄え、始動、登坂、加速走行時に必要な電力の迅速な供給を可能とした。

 トヨタは、平成8年10月水素吸蔵合金に蓄えた水素を燃料とするFCHVを公表し、平成9年10月にはメタノールを改質し得られた水素を燃料とするFCHVを公表しているが、今や開発は研究フェーズから製品開発フェーズに移行しつつあり、FCHVのハードウェアであるコンポーネント開発と、高電圧・大電流をマネジメントするソフトウェア開発の進捗により、着実に成果を上げてきている。

 一方、燃料電池自動車の重要な視点として燃料の選択がある。
 トヨタは、燃料として純水素のほか、メタノール、天然ガス、ガソリン等を改質し水素を得る方法を開発しており、各々の技術的可能性はもとより、将来の供給力、インフラ整備の可能性など多面的検討を行っている。
 燃料電池自動車は将来、自動車の中で重要な地位を占めることが予想されており、その燃料選定はエネルギー政策にも密接に関係するところから、トヨタは、21世紀を見据え燃料電池自動車の最適燃料を関係官庁、関係業界、各種研究機関等と連携しつつ総合的に判断して行きたいと考えている。

資料3

トヨタ、ハイブリッド車用コンパクトバッテリーを新開発

 トヨタ自動車(株)は、パナソニックEVエナジー(株)と共同で、ハイブリッド車の駆動用バッテリーとして、コンパクトで高性能なニッケル水素バッテリーを開発した。

 新型バッテリーは、既存のハイブリッド車用ニッケル水素バッテリーに対し、車両搭載状態で比較した場合、体積は約40%、重量は約20%低減されると見込まれ、画期的なコンパクト化を実現している。

 ハイブリッド車の駆動用バッテリーは、現在、単1サイズ(1.2V)の円筒型ニッケル水素バッテリー6個を直列につなぎ、7.2Vの「円筒形のモジュール」とし、さらに、このモジュールをプリウスの場合、40個直列に接続し車両に搭載することで、車両を駆動するに必要な高電圧(288V)を得ている。

 新型バッテリーは、基本となる1.2Vのバッテリーを直方型とし、これを6個一体の「角型のモジュール」とした。角型により、円筒をならべるための支持構造(ホルダー)を不要とし、モジュールを重ねただけのより軽量で簡素な構造とするとともに、角型モジュール間の小さな隙間で冷却風の通路を確保することで、モジュール間の隙間を円筒型モジュールに比べ、大幅に小さくし、バッテリー全体の体積を低減した。
 また同時に、バッテリーの極板構成、材料の改良を行い、重量あたりの性能を示す出力密度、エネルギー密度をそれぞれ向上させた。

 新型バッテリーは、来年に生産開始を予定しているが、そのコンパクト性により今後ハイブリッド車のラゲージスペースを拡大するなどスペースユーティリティを高めるとともに、「エンジンと発電機を燃料電池に置き換えた進化型ハイブリッド車」であるFCHV(Fuel Cell Hybrid Vehicle : 燃料電池ハイブリッド自動車)への応用が可能であるところから、FCHVの早期実用化にも寄与するものと期待されている。

(左)新型バッテリー、(右)現行型バッテリー

(左)新型バッテリー、(右)現行型バッテリー

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  • 新トヨタ ハイブリッドシステム THS
    新トヨタ ハイブリッドシステム THS
  • (左)新型バッテリー、(右)現行型バッテリー
    (左)新型バッテリー、
    (右)現行型バッテリー