1999年10月12日

トヨタ、新型オープンスポーツカー「MR-S」を発売

 

 トヨタ自動車(株)は、2シーターの新型オープンスポーツカー「MR-S*1」を開発し、10月12日より全国のネッツトヨタ店ならびにトヨタビスタ店を通じて発売した。

 新型車は、軽量で機敏に走り、多様なシーンで操る楽しさが実感できるミッドシップの「ライトオープンスポーツ」である。

 その開発では、ロングホイールベース・ショートオーバーハング、軽量・高剛性の新設計オープン専用ボディにミッドシップエンジン・リヤドライブとして、ハイレベルなスポーツカーの操縦性・走行安定性を実現したうえで、スタイリッシュなオープントップデザインを追求している。

主な特長
  1. ミッドシップレイアウトおよびショートオーバーハングによりヨー慣性モーメントを小さくしたうえ、ロングホイールベースとしたことで操舵応答性と収束性の両立を図り、スポーツカーに求められる卓越した操縦性と走行安定性を実現
  2. 専用に新設計したオープンボディは、主要部を大型断面の骨格で構成するとともに、各所にクロスメンバーなどを効果的に配置し、軽量と高剛性を両立
  3. VVT-i*2採用の軽量・高性能な1.8リットルBEAMS*31ZZ-FEエンジンを搭載し、軽快な走りを実現
  4. タイヤを4隅に配し走りのイメージを強調した、カウルフォワードの低重心スタイルを創造するとともに、スマートに2つ折り収納しオープンエアを満喫できるソフトトップを採用
  5. 優れた衝突安全性など高い安全性を追求したほか、環境への配慮ではクラストップレベルの低燃費14.2km/リットル(10・15モード走行)を実現しCO2の低減を図るとともに、平成12年排出ガス規制に適合(自動車取得税軽減対象車)させたほか、環境庁技術指針の「移行期低排出ガスレベル(J-TLEV)も達成
  6. 外板色7色にシート3色を組み合わせ、個性を生かす21通りのカラーコンビネーションを設定したほか、フロント、リヤのフェンダーはボルト脱着式を採用し、交換・補修のしやすさに配慮
*1
MR-S
Midship Runabout-Sports
*2
VVT-i
Variable Valve Timing-intelligent(連続可変バルブタイミング機構)
*3
BEAMS
Breakthrough Engine with Advanced Mechanism System(先進機構を備えた画期的エンジン)
MR-S“Sエディション”

MR-S“Sエディション”

車両概要
  1. 卓越した操縦性・走行安定性の実現
    1. ロングホイールベースのミッドシップレイアウト
      • 駆動方式を、操縦性に優れるミッドシップエンジン・リヤドライブとしたうえ、960Kg(“Bエディション”)の軽量な車両重量を実現するとともに、前後のオーバーハングを短くしてヨー慣性モーメントをさらに小さくすることで、操舵に対する優れた応答性を実現
      • 加えて、3,885mmの全長に対し、2,450mmのロングホイールベースとし、車両重心からより離れた位置にフロントタイヤの横力を作用させることで車両旋回力を増して回頭性を高め、きびきびとしたハンドリングを実現
      • また、ロングホイールベースにより、操舵に対する収束性、高速直進安定性も高まり、優れた走行安定性を確保
車両寸法
(単位 : mm)
全長 3,885 オーバーハング 765
全幅 1,695 670
全高 1,235 トレッド 1,475
ホイールベース 2,450 1,460
  1. 新開発EHPS
    • ステアリングシステムは、電動ポンプの油圧でアシストする小型軽量のEHPS(エレクトロ・ハイドロリック・パワーステアリング)を採用し、車速感応制御を高精度に行うことで低速から高速まで優れた操舵フィーリングを実現
  2. サスペンション
    • サスペンションは、フロントはLアーム マクファーソンストラット式、リヤはデュアルリンク マクファーソンストラット式の軽量な4輪独立懸架を新開発
    • ジオメトリーの最適化を図るとともに、各サスペンションアームの支持剛性を高めたほか、各部の摩擦を低減することで高いレベルの走行安定性と優れた乗り心地を実現
  3. ドライブトレーン・タイヤ
    • トランスミッションは軽快なシフトフィーリングを追求した5速マニュアルトランスミッションを採用
    • LSDは、トルク感応性でアクセル操作に対する応答性の高いヘリカル式を採用(オプション)
    • タイヤは、軽快なハンドリング、優れた緊急回避運動性能、直進性、制動性などを追求し、リヤ荷重割合の大きいミッドシップに合わせ、フロントは185/55R15、リヤは205/50R15とし、前後で異なるサイズを採用
    • フロントタイヤ前にスムーズな空気の流れをつくるフェアリング(整流板)を配置し、優れた高速直進安定性を追求
  1. 軽量・高剛性の専用オープンボディ
    • ロッカーなど主要部は、大型断面の骨格で構成することで骨格内部の補強材を最小限にするなど、高剛性を確保しつつ軽量ボディを実現
    • 各部骨格を縦横に直線的に配置・結合したほか、必要な箇所に効果的にクロスメンバーを設置して、効率的に高いボディ剛性を確保
    • フロントピラーの下部を太く設定しロッカーとの結合剛性を高めるとともに、ピラー内にはストレートパイプを組み込むことでクローズドボディと同等のピラー強度とし、耐変形性を確保
  2. 直列4気筒 BEAMS 1ZZ-FEエンジン(1.8リットルVVT-i)
    • VVT-i、高圧縮比(10.0)、斜めスキッシュ燃焼室などによりトルクフルで扱いやすいエンジンとしたほか、アルミブロック、樹脂製インテークマニホールドなどにより軽量化を実現
エンジン主要諸元
  排気量
(cc)
最高出力
(PS/rpm)
最大トルク
(kg・m/rpm)
10・15モード走行燃費
(km/リットル)
1ZZ-FE 1,794 140/6,400 17.4/4,400 14.2
  1. カウルフォワードのオープントップデザイン
    1. エクステリア
      • ロングホイールベース、ショートオーバーハングのタイヤを4隅にレイアウトした力強いプロポーションとするとともに、カウルフォワードかつ低重心の、スタイリッシュなオープンスポーツデザインを創造
      • フロントは、低くワイドに開口したグリル部によりアグレッシブなイメージを強調し、シンプルな丸型リフレクターを機能的に配したヘッドランプと、そこから連なる張りのあるフェンダーにより躍動感を表現
      • ソリッド感のあるボディの塊を表現した豊かなドア断面と、ミッドシップならではの特徴的なキャラクターのサイドエアインテークを配したウエッジシェイプのサイドビュー
      • スマートに2つ折り収納できる、ガラス製リヤウインドウを備えたソフトトップを採用
    2. インテリア
      • シンプル&スポーツをテーマに、機能的なレイアウトを左右に直線的に造形したインストルメントパネル
      • コンビネーションメーターを、タコメーターを中心に配した3眼シルバーメーターとしたほか、アクセル、ブレーキ、クラッチペダルおよびフットレストの表面をアルミプレートで構成(“Sエディション”)し、スポーツ感を表現
      • 金属調のドアアシストグリップや、各所に配した新感覚のディンプルパターン表面処理によりスポーティ感覚を演出
      • シートは、横G、加速G、減速Gのかかるスポーツドライビングでの優れたホールド性の確保と、長時間ドライブでの疲労軽減を図るとともに、メッシュ調立体ファブリックと光沢感のある表皮を採用するなど、オープントップ時の外観スタイルの一部として軽快感を表現
  2. 安全性の追求・環境への配慮
    1. 安全性
      • 洗練されたミッドシップレイアウトにより、高いレベルの走行安定性と緊急回避運動性能を確保したほか、ABSを標準装備するとともに、4輪ベンチレーテッドディスクブレーキを採用し安定した制動性能を確保
      • 衝突安全では、40%ラップオフセット、フルラップ前面衝突試験をはじめ、各国の衝突安全基準を余裕をもってクリアし、高いレベルの衝突安全性能を確保
      • 運転席・助手席にプリテンショナー&フォースリミッター付シートベルトをはじめ、デュアルSRS*1エアバッグ、点滅式シートベルト非着用警告灯を標準装備(“Bエディション”助手席は、エアバッグなし、プリテンショナーシートベルト採用)
      • 追突された時に乗員の首への衝撃を緩和する、WIL*2コンセプトを取り入れたシート構造を採用
      • アンダーボディおよび取り付け部を工夫することで、前面衝突時にブレーキペダルの室内への突出を抑制し、乗員の脚部への衝撃を緩和
      *1
      SRS
      Supplemental Restraint System(乗員保護補助装置)
      *2
      WIL
      Whiplash Injury Lessening(頸部傷害低減)
    2. 環境
      • CO2削減を念頭に、軽量ボディ、高効率エンジンなどによりクラストップレベルの低燃費14.2km/リットル(10・15モード走行)を実現
      • 排出ガスのクリーン化では、VVT-i、各気筒独立燃料噴射制御、高微粒化フューエルインジェクターを採用するとともに、浄化性能に優れた触媒をエキゾーストマニホールド直下に設置して暖気性を高めたほか、排気管にも触媒を配置することで、平成12年10月から施行される平成12年排出ガス規制に適合(自動車取得税軽減対象車)また、HC、NOXは平成12年規制値をさらに25%下回り、環境庁低公害車等排出ガス技術指針の「移行期低排出ガスレベル(J-TLEV)」も達成
      • リサイクル性に優れる熱可塑性樹脂トヨタスーパーオレフィンポリマー(TSOP)を、前後バンパー、インストルメントパネル、ドアトリム、リヤコンソールなどの内外装部品に積極的に採用
      • 使用済み車両のシュレッダーダストから再生した高性能防音材RSPP*3を、フロアサイレンサーに採用
      • ラジエーター、ワイヤーハーネス被覆材などに環境負荷物質の鉛を含まない部品を採用
      *3
      RSPP
      Recycled Sound-Proofing Products
  3. 個性化への配慮・充実した装備
    • スーパーレッドV、シルバーメタリックなど外板色7色とシート3色(ブラック、レッド、イエロー)の組み合わせにより、個性を活かす21通りのカラーコンビネーションが選択可能
    • フロントフェンダー、リヤフェンダーともボルトで脱着できる構造を採用し、交換・補修のしやすさに配慮
    • ニーサポートの機能を備えたセンタークラスターは、AV機器のレイアウトを変えられるフリーラック構造を採用
    • 収納スペースとして、シート後部に容量78リットル(VDA法・ソフトトップクローズ時)のラゲージスペースを設けたほか、フロントフード下に小物収納用のフロントボックス(“Sエディション”)、助手席前にキー付き大型グローブボックスを採用
    • インストルメントパネル中央上部にふた付の小物入れを設けたほか、センタークラスターにカップホルダーを採用するとともに、リヤコンソールにも小物入れ兼用カップホルダーを設置
    • ソフトトップオープン走行時、後方視界を確保しつつ、不快な後ろからの風の巻き込みを低減させる透明樹脂製エアディフレクター(格納可能)を採用(“Bエディション”を除く)
    • 成形天井、トリムを備えたFRP製ディタッチャブルトップを設定(販売店装着オプション)
    • ワイヤレスドアロックシステムは、ドアをロック、アンロックした際の、作動確認のためハザードランプが点滅する機能を備え、ドアロック忘れに配慮
販売概要
  1. 販売
    全国のネッツトヨタ店ならびにトヨタビスタ店
  2. 月販目標台数
    1,000台
  3. 店頭発表
    10月23日(土)、24日(日)
メーカー希望小売価格
(消費税は含まず、単位 : 千円)
グレード エンジン トランスミッション 価格
標準 1ZZ-FE
(1.8リットル)
5速マニュアル 1,880
  Bエディション 1,680
Sエディション 1,980
北海道、沖縄のみ価格が異なる。

以上

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  • MR-S“Sエディション”
    MR-S“Sエディション”