2004年12月22日

トヨタ、衝突安全性能を強化

 

 トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、車両の衝突安全性能を一層向上させるため、
(1)車対車の衝突試験速度を55km/hにアップし、より厳しい衝突条件に対応したボディ構造
(2)追突された際の乗員の首への傷害を低減する、新しいWIL*1コンセプトシート
を開発し、来年初めに発売予定の新型ヴィッツを皮切りに、以後発売する乗用車系(ミニバン、SUV含む)車種への採用を拡大していく。

【技術の特長】
(1)車対車の衝突試験速度を55km/hにアップし、より厳しい衝突条件に対応したボディ構造
トヨタは、2002年5月発売のイスト以降、重量の異なる乗用車同士の衝突時の共存を追求するコンパティビリティの概念を取り入れて、衝突安全性能を進化させ、自車および相手車相互の衝突安全性を追求してきた。

今後は、車対車の衝突試験速度を、従来の50km/hから55km/hに5km/hアップし、より厳しい衝突条件に対応したボディ構造を開発していく。
具体的には、軽量車においては、重量車との衝突を念頭に、2トンクラスの車両との、50%ラップオフセット前面衝突試験、側面衝突試験、50%ラップオフセット後面衝突試験という、全方位のカーツーカー衝突試験を、それぞれ55km/hの速度で実施。衝突速度が5km/hアップすることにより、衝突エネルギー量が約2割増加するにも関わらず、生存空間やダミーの傷害値において、トヨタ独自の目標をクリアさせていく。
なお、軽量車となる新型ヴィッツの場合は、フロントサイドメンバーやフロアクロスメンバーなどの工夫により、衝突時の衝撃を効率的に吸収するボディ構造を採り入れ、目標をクリアしている。

(2)追突された際の乗員の首への傷害を低減する、新しいWILコンセプトシート
トヨタは、1997年12月のプリウス発売以降、低速で追突された時に、ヘッドレストを含むシートバック全体で衝撃を受け止めることにより、乗員の首への衝撃を緩和するWILコンセプトに基づくシート構造を採用してきた。

今回進化させた新しいWILコンセプトシートは、従来より条件の厳しい50km/hの追突事故*2を想定した社内試験においてトヨタ独自の目標をクリアさせている。また、追突時の傷害再現の研究のため、ダミーに加え、より人体に近いコンピューター衝突解析用人体全身モデルTHUMS*3を活用し、新しいWILコンセプトシートの効果を確認している。

*1WIL:Whiplash Injury Lessening (頸部傷害低減)
*2被衝突車両に、同じ重量の車両が追突した場合の事故
*3THUMS(サムス):Total HUman Model for Safety

以上

<別紙>

(1)車対車の衝突試験速度を55km/hにアップし、より厳しい衝突条件に対応したボディ構造

●衝突試験

衝突試験

●新型ヴィッツにおけるボディ構造の強化

新型ヴィッツにおけるボディ構造の強化


(2)追突された際の乗員の首への傷害を低減する、新しいWILコンセプトシート

●THUMSを用いた追突時の挙動解析
THUMSを用いた追突時の挙動解析
骨の強度、皮膚の柔軟性など人体の力学特性を再現
●新しいWILコンセプトシートの性能
新しいWILコンセプトシートの性能
追突時に首が後ろに反り返らないようにシートバック全体(クッション部で吸収し、ヘッドレストとフレーム部で支える)で衝撃を受け止める

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  • 衝突試験
    衝突試験
  • 新型ヴィッツにおけるボディ構造の強化
    新型ヴィッツにおけるボディ構造の強化
  • THUMSを用いた追突時の挙動解析
    THUMSを用いた追突時の挙動解析
  • 新しいWILコンセプトシートの性能
    新しいWILコンセプトシートの性能