1995年05月15日

トヨタ、カローラならびにスプリンターをフルモデルチェンジ

-トータル コスト オブ オーナーシップに配慮した社会との調和をめざすベストコンパクトカー誕生-

 

 トヨタ自動車(株)は、カローラならびにスプリンターのセダン、クーペ(カローラレビン、スプリンタートレノ)をフルモデルチェンジし、5月15日、全国一斉に発売した。

 カローラならびにスプリンターは、誕生以来、常に時代の基準となる高い品質と性能により、最も多くの方に愛されてきたジャストサイズのコンパクトカーである。

 今回のフルモデルチェンジでは、コンパクトカーの本質を追求した「ベストコンパクトカーの創造」を狙いに、ジャストサイズや高い品質を維持しつつ、まず、社会との調和をめざすという観点から、省資源、省エネルギーおよび安全性を追求。そして、デザインを一新するとともに、走行性能を飛躍させた上で、価格、維持費を抑え、トータル コスト オブ オーナーシップに配慮している。

 なお、同時にカローラワゴンのマイナーチェンジ、およびハードトップのカローラセレス、スプリンターマリノの一部改良を実施している。

トータル コスト オブ オーナーシップ(Total Cost of Ownership)
購入価格から売却時の価格を除いた金額にガソリン代などの維持費を足した、車の所有にかかる総費用。価格が安く、燃費が良く、信頼性が高いほど優れている。
新型車の特徴
  1. 社会との調和を念頭に置いた環境、安全への配慮
    • 最大50kg(セダン)におよぶ軽量化と、16.0km/L(1.5L オートマチック車10・15モード)に代表される低燃費
    • 上下2分割で、損傷頻度の高い上部を無塗装のブラックとし、デザインを引き締めるとともに補修時の省資源、リサイクル性を追求したバンパー(セダン)
    • 米国新側面衝突基準レベルの衝突安全性能確保をはじめとする高い安全性
    • 運転席SRSエアバッグの代表的グレードへの標準装備
  2. 端正で引き締まった次世代テイストのデザイン
    • ルーミーなキャビンとコンパクトなボデーによる近代的なプロポーション
    • 硬質でクリーンな面がつくり出す高品質な造形テイスト
    • 使用性を追求した、上質で爽やかな室内空間
  3. 飛躍させた走行性能
    • 車両の正確に適応したエンジン特性、車両軽量化、一段と磨き上げたシャシーがつくる、心地よい走り
  4. 優れた経済性
    • ほぼ全グレードでのメーカー希望小売価格の引き下げと維持費軽減に資する低燃費・優れた耐久性
  • カローラセダン 1500SE-Saloon[E-AE110-AEMEK]
    カローラセダン 1500SE-Saloon
    [E-AE110-AEMEK]
  • スプリンターセダン 1500SE-Vintage[E-AE110-BEMEK]
    スプリンターセダン 1500SE-Vintage
    [E-AE110-BEMEK]
  • カローラレビン 1600XZ[E-AE111-ACMGK]<オプション装着車>
    カローラレビン 1600XZ
    [E-AE111-ACMGK]
    <オプション装着車>
  • スプリンタートレノ 1600XZ[E-AE111-BCMGK]<オプション装着車>
    スプリンタートレノ 1600XZ
    [E-AE111-BCMGK]
    <オプション装着車>
車両概要
  1. 社会との調和を念頭に置いた環境、安全への配慮
  1. 徹底した軽量化、トップレベルの低燃費、樹脂バンパーの分割化による補修時の省資源、リサイクル性の向上、ディーゼルエンジンの排出ガスの一層の浄化など環境への配慮を充実。
  • シャシー、エンジンをはじめ全てのコンポーネント自体の構造、材質を再検討するとともに、それらのボデーへの取付け構造、取付け要素の見直し、装備の厳選などにより、セダンでは最大50kg、クーペでは最大70kgの軽量化を行い、省資源を徹底して追及。
  • 1.3Lと1.5Lのハイメカツインカムエンジンは、燃焼改善、摩擦損失の低減、アイドル回転数の引き下げなど細部までの高効率化を追求。
    そして、ボデー、シャシーから、エンジンにいたる合理的な設計によって達成した軽量化と相まって、例えば、5A-FE型(1.5L)搭載のオートマチック車は、16.0km/L(10・15モード)と1.5Lのオートマチック車でトップレベルの低燃費を達成。
  • 前後バンパー、内装材には、リサイクル性に優れるトヨタスーパーオレフィンポリマーを採用。また、特にセダンのバンパーは上下2分割構造を採用し、損傷頻度の高い上部を無塗装のブラックとすることにより、デザインを引き締めるとともに補修時の費用低減と省資源、リサイクル性を追求。
  • 2.0Lのディーゼルエンジンは、マニュアル車にもEGR(排気ガス再循環装置)を採用したほか、噴射ポンプなどの変更により、黒煙、NOx排出量を一層低減し、最新の排出ガス規制に適合。

ほかにも、①工程内で発生する樹脂端材のリサイクル化、②樹脂材質識別に役立つマーキングの実施、③特定フロンの未使用、④全部品のノンアスベスト化を、全トヨタ車に展開済。

  1. 良好な運転環境や操作性、そして優れた運動性能・緊急回避性能などの予防安全と前・後面および側面からの衝突に対応する衝突安全の両面から高次元の安全性を確保。
予防安全
  • フードレリーフ、トランクリッド後端を際立たせ、リヤパッケージトレイの高さを抑えることなどにより、車両間隔の把握しやすさを向上。
    また、人間工学に基づき操作性を追求したスイッチ類など機能部品を運転席側に近づけたほか、シート性能の向上などにより、優れた居住性と相まってリラックスして運転できる環境を創出。
    そして、一段と磨き上げたシャシーにより優れた運動性能・緊急回避性能を確保し、高い予防安全性を実現。
衝突安全
  • 衝撃吸収ボデー構造CIAS(Crash Impact Absorbing Structure)をさらに進化させるとともに、クロスメンバーなどの横方向骨格部材の高強度化やエネルギー吸収構造ドアの採用により、国内の新安全基準はもちろん、米国の新側面衝突基準レベルの乗員保護性能も確保。また、前面衝突時の乗員の受傷を抑制する運転席SRSエアバッグを代表的グレードに標準装備したほか、他の全グレードに安価でオプション設定。
  1. 端正で引き締まった次世代テイストのデザイン
  1. 外形デザインは、ルーミーなキャビンの近代的プロポーションと、シェイプアップされたデザインに一新。
機能性と質感を高次元で融合させたセダン

ルーミーで乗降性の良いキャビン、車両取り回し性の良いコンパクトなボデー、修理性に優れた上下2分割バンパーなどを硬質でクリーンな立体造形で表現。

  • カローラは、端正なサイドシルエットを基本に視認性に優れたフードレリーフとトランクリッド形状、クリーンで機能的なグリルやリヤコンビネーションランプなどにより、飽きのこない上質な車格感を創出。
  • スプリンターは、6ライトウインドウとショートデッキによるスタイリッシュなシルエット、押し出し感のあるグリルや台形のリヤコンビネーションランプ形状などにより若々しいスポーティ感を強調。
シャープでエレガントな次世代のライトウェイトコンパクトクーペ

軽快なサッシュレスのキャビン、シャープなフェンダートップライン、前後の絞り込みなどによりコンパクトでスタイリッシュなデザインに一新。

  • レビンは、立体的なグリルとヘッドランプ、横基調のリヤコンビネーションランプでエレガントなスポーティ感を表現。
  • トレノは、グリルレスとし、フードと一体感のあるバンパーやスモークレンズのリヤコンビネーションランプなどにより、若々しい個性を表現。
  1. 室内デザインは、上質で爽やかな近代的造形テイストを追求するとともに快適で機能的な空間を創出。
ルーミーで爽やかなセダン
  • ヘッドクリアランス、室内幅などの室内寸法および視界の拡大を図り、ベルトラインから上を明るい室内色で構成することで、開放感のある爽やかな室内空間に一新。
  • インストルメントパネルは、水平基調のすっきりとした端正な造形に一新。メーター径および文字を拡大するとともに各スイッチ類を運転席に近づけるなどで視認性、操作性を向上。
  • ドアトリムは、一層高い側面衝突安全性能を確保しつつ、各種操作がしやすくインストルメントパネルから流れるような圧迫感のない造形を実現。
  • 高いフィット感とホールド性の両立を図ったシートは、体圧分布の最適化を図るとともに、シートクッションに、優れた乗り心地を実現する新開発の高弾性・高密度ウレタンフォームを採用するなど、長時間の運転でも疲れにくい特性を実現。
フレッシュでスポーティなクーペ
  • 適度なタイト感を持ったクーペの内装は、新鮮で勢いのあるドアトリム形状、ショルダーサポートを拡大したシートなどでスポーティ感あふれる室内空間を創出。ブルーとグリーンのアクセントを配した表皮(BZ系グレード)によりフレッシュなイメージを演出。
  • 小型のメーターフードと機能部品を使いやすく集めた水平基調のクラスターにより、コクピット感覚の、低重心でスポーティなインストルメントパネルとしている。
  1. 飛躍させた走行性能

扱いやすさを追求したハイメカツインカム、高回転域までの滑らかな吹き上がりを可能にしたスポーティツインカムなど、搭載車種との一層の適応を図ったエンジンとして大幅な軽量化、最適なチューニングを施したシャシーにより、走行性能を飛躍させ、心地よい走りを実現。

エンジン
  • 4E-FE型(1.3L)、5A-FE型(1.5L)の両ハイメカツインカムエンジンは、常用回転域に特性を合わせた吸気系を採用。最大トルク値を高めるだけでなく、低回転域からのトルクに厚みを持たせ、市街地走行から高速走行にいたるまで一層の扱いやすさを実現。
最大トルク(kg・m/r.p.m.)
  4E-FE型 5A-FE型
新型 11.8/4,600 14.0/4,400
従来型 11.5/5,200 13.8/4,800
  • クーペのBZ系グレードに搭載されるスポーティツインカムエンジン4A-GE型(1.6L・20バルブ)は、5バルブ機構、VVT(可変バルブタイミング機構)など先進技術を継続して採用。そのうえで、吸排気ポートの拡大、ピストン頂面形状の最適化などを実施し、最高出力を向上させるとともに、その発生回転域までの伸びやかな吹き上がりを実現。また、マフラーには、内蔵されたバルブの開閉によってその特性を変化させる2ウェイエキゾーストコントロールシステムを採用。常用回転域では、バルブを閉じることで低周波の消音を、高回転域では、バルブが開くことで、高周波の消音と流路の拡大による高出力を可能にし、高出力と静粛性を両立。
シャシー
  • フロントロアアームのブッシュ構造の変更、パワーステアリングギヤの改良などを実施するとともに、軽量コンパクトでアクセル操作にリニアに応える差動制限を可能にした新開発のヘリカルLSDの採用(スーパーストラットサスペンション装着車のマニュアル車に標準装備)などにより、より心地よい走りを実現。
ボデー
  • ボデー骨格構造のリファイン、フロントサスペンションメンバーの剛性向上、メインマフラーのサポート構造の変更などにより室内への振動・騒音の伝達を低減するとともに、吸遮音材の効果的な配置により、大幅な軽量化を実施したにもかかわらず、一層優れた静粛性を実現。
  1. 優れた経済性

ほぼ全グレードでのメーカー希望小売価格の引き下げ、卓越した低燃費などによりトータル コスト オブ オーナーシップに配慮。

エンジン
  • デザインの一新、性能の飛躍を図る一方、合理的な設計の追求に加え、開発部門と生産部門の設計段階からの緊密な連携による造り方の工夫などにより、コストダウンを実現し、ほぼ全グレードについて従来型に対し、メーカー希望小売価格の引き下げを実施。
  • 従来から好評の優れた耐久性、信頼性の確保に加え、卓越した低燃費を実現し、維持費を軽減。
カローラワゴン(ツーリング系)のマイナーチェンジおよびカローラセレス、スプリンターマリノの一部改良の概要
  1. カローラワゴンは、4WD、ディーゼルエンジンの追加に加え、スポーティなグリル形状などの外観および外板色を採用。また、大型フォグランプなど多彩な販売店装着オプションを新設定し、一層オリジナルな仕様を楽しめるものとした。
  2. カローラセレス、スプリンターマリノは、シルバーとグリーンの若々しい新外板色を追加設定するとともにエンジン、シャシーをセダン、クーペ同様の改良を行うことにより、基本性能を一段と高めている。
販売概要
  1. 販売店
    カローラは、全国のトヨタカローラ店
    スプリンターは、全国のトヨタオート店
  1. 月販目標台数
カローラセダン
14,000台
カローラレビン
3,500台
合計
17,500台
スプリンターセダン
6,000台
スプリンタートレノ
1,500台
合計
7,500台
  1. 店頭発表会
    5月19日(金)、20日(土)、21日(日)
主要車種メーカー希望小売価格

以上