2004年06月03日
トヨタ、「車両安全の新技術と装備の充実」および「新安全運転講習施設の開設」を発表
― 交通事故死傷者ゼロの実現に貢献するため、安全への取り組みを強化 ―
トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、交通安全への取り組みを一段と強化するため、「安全な車両開発」を推進する「車両安全の新技術と装備の充実」、および「人に対する交通安全啓発活動」を充実させる「新安全運転講習施設の開設」を発表した。
トヨタでは、自動車を社会に提供する立場から「安全なモビリティ社会の実現」を経営の最重要課題と捉え、「安全な商品の提供」を企業の基本理念に掲げ、かねてより、車両の安全対策はもとより、1969年から実施し今年で36年目を迎えた「トヨタ交通安全キャンペーン」、行政施策への参画など、「より安全な車両開発」「人に対する交通安全啓発活動」「交通環境整備への参画」の観点から総合的な取り組みを続けている。
「豊かなクルマ社会の実現」に向け、交通安全対策の重要性がますます高まる中、今後、トヨタは、モビリティ社会の究極の目標である「交通事故死傷者ゼロの実現」に貢献するため、「死傷者ゼロ・事故ゼロの追求」を念頭に、交通安全への取り組みを強化する。
<車両安全の新技術と装備の充実>
1.「アクティブセーフティ(予防安全)」「プリクラッシュセーフティ」強化に向けた新開発技術
(1)VDIM(Vehicle Dynamics Integrated Management) *システム構成は別紙Aご参照
(2)プリクラッシュセーフティ(レーダー方式) *システム構成は別紙Aご参照
(3)レーンキーピングアシスト *システム構成は別紙Bご参照
2.「パッシブセーフティ(衝突安全)」強化に向けた技術・装備の充実
(1)GOAの進化
(2)シートベルトリマインダーの採用拡大
(3)歩行者傷害軽減ボディ構造の展開
事故の未然回避につながる予防安全、さらには衝突時の傷害軽減に寄与する衝突予知への取り組みを、今後一段と強化。以下の新技術を開発し、近々発売予定の新型車に搭載
(1)VDIM(Vehicle Dynamics Integrated Management) *システム構成は別紙Aご参照
▽ | 1995年8月に開発し、さまざまな車両に展開してきた車両安定性制御システムVSC*を、ABS・TRC・電動パワーステアリングなどのシステムと統合させることで、 さらに進化させたVDIMを新開発。従来システムが車両限界を超えてから制御を開始するのに対し、VDIMは、車両限界前からブレーキ・エンジン・ステアリングを統合制御させることで、 より高い予防安全性と理想的な車両運動性を実現
*VSC:Vehicle Stability Control |
(2)プリクラッシュセーフティ(レーダー方式) *システム構成は別紙Aご参照
▽ | レーダー方式として、2003年2月に世界で初めて開発したシステムをさらに進化。今回、ミリ波レーダーの情報にCMOS*カメラを加えた画像フュージョン方式をプリクラッシュセンサーに応用することにより、より早く衝突を予測し、より高い被害軽減性能を追求
*CMOS:Complementary Metal Oxide Semiconductor |
(3)レーンキーピングアシスト *システム構成は別紙Bご参照
▽ | CMOSカメラにより、前方の白(黄)線を認識して車線内を走行できるよう、ドライバーのステアリング操作をアシストするシステム。車線逸脱警報機能と車線の中央付近を走行するように小さな操舵力を加える車線維持支援機能を有し、運転負荷を軽減 |
2.「パッシブセーフティ(衝突安全)」強化に向けた技術・装備の充実
全方位コンパティビリティボディ構造を進化させるとともに、乗員・歩行者の傷害軽減に配慮した衝突安全性能を追求
(1)GOAの進化
▽ | 自車および相手車相互の衝突安全性能の向上を追求し、全方位コンパティビリティの概念を取り入れ、2トンクラスの車両との50%ラップオフセット前面衝突試験(50km/h)、側面衝突試験 (50km/h)、50%ラップオフセット後面衝突試験(50km/h)を、今後発売するすべての乗用車系(ミニバン、SUV含む)車種で実施 |
(2)シートベルトリマインダーの採用拡大
▽ | シートベルト非着用をランプとブザーで警告することにより、ベルトの着用率向上に資するシートベルトリマインダー(運転席・助手席)を、2008年までにすべての乗用車系(ミニバン、SUV含む)車種に展開 |
(3)歩行者傷害軽減ボディ構造の展開
▽ | 頭部傷害軽減において、クラス世界トップレベルを追求した歩行者傷害軽減に配慮した ボディ構造を、2004年秋以降に発売するすべての乗用車系(ミニバン、SUV含む)車種に展開 |
<新安全運転講習施設の開設>
2005年春、「新安全運転講習施設」を富士スピードウェイ内にオープン
▽ | トヨタは、1969年以降全国の幼稚園児・保育園児向けに累計1億冊を超える交通安全絵本を配布するなど、様々な交通安全啓発活動に積極的に取り組む中、このほど、その一環として、安全運転講習専用の施設を富士スピードウェイ内に新たに建設し、2005年春にオープンを予定。 新施設は、1987年以降展開している独自の安全運転実技講習会「トヨタ・ドライバーコミュニケーション」を発展させ、一般個人や企業・団体を対象に、トヨタが車両の開発を通じて長年培ってきたドライビングのノウハウを安全運転に応用した講習会を定常的に開催するために建設。 トヨタならではの安全運転実技講習会として、約10万mの広大なアスファルトコースを活用し、「走る」「曲がる」「止まる」というクルマの基本操作の習得から、高速走行からのブレーキングなど高負荷な条件での挙動体験にいたるまで、受講者のニーズと運転技量に応じた幅広いメニューを開発し提供。 なお、プログラム・受講料金・申し込み受付開始時期などの詳細は、追って公表予定。 |
[施設概要] | 所在地 | : | 静岡県駿東郡小山町(富士スピードウェイ敷地内) |
総面積 | : | 約13万m2 | |
コース概要 | : | アスファルト平面(約10万m)、ワインディング低ミュー路*(約490m) 直線低ミュー路(75m)、周回路(約1,150m、35°バンク付設) *低ミュー路:滑りやすい路面 |
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研修棟 | : | 延べ床面積 約1,900m2 教室(3室)、教員室、管制室、ラウンジ、車両整備場 など |
以上
<別紙A/システム構成>
▽VDIM(Vehicle Dynamics Integrated Management)
▽プリクラッシュセーフティシステム(レーダー方式)
<別紙B/システム構成>
▽レーンキーピングアシスト
車線逸脱警報機能
うっかり車線を逸脱しそうになるとブザーとディスプレイ表示、短時間の小さい操舵力を付加することにより、ドライバーに注意を喚起するとともに、車線逸脱をしにくくします。
車線維持支援機能
車線の中央付近を走行するように小さい操舵力を加え、ドライバーのステアリング操作をサポートします。(レーダークルーズコントロール作動中)