2002年01月01日

年頭所感

 

取締役社長
 張 富士夫

 新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は、日米における景気の減速など、トヨタを取り巻く環境はなかなか厳しいものがございました。こうした状況の中、私どもは、国内市場において積極的に新車を投入、海外ではフランス工場の生産を開始、他社との提携ではPSAプジョー・シトロエンとのプロジェクトをスタートさせるなど、積極的に手を打ってまいりました。
 一方、自動車業界全体に目を投じますと、各メーカー間の提携関係がさらに深まり、その成果が着実に現れるようになってきました。このように他社が競争力を向上させていく中、私どもとしましては、従来から申し上げているとおり、トヨタグループとしての総合力強化に力を入れて行かなくてはならないと考えております。
 
 このような認識のもとでの今後の取り組みとしましては、まず、CCC21の活動などを着実に実行し、原価低減を一層推進してまいります。

 国内販売では、中古車・部品・サービス・保険などバリューチェーンの強化により販売店の収益を一層向上させて行くと同時に、積極的な新車投入により国内景気の活性化に少しでも寄与したいと思っております。

 海外については、先頃、PSAとの共同生産サイトとしてチェコのコリン市を選定、本年春には、ポーランドでトランスミッションの生産を開始、年後半には、中国天津での乗用車生産をスタートさせます。
 景気の減速傾向が見られる米国では、本年の市場は厳しいと予想されますが、可能な限り販売台数を伸ばして行きたいと思っております。

 環境対応については、経営の最重要課題として、これまでも全力で取り組んでまいりました。
 特に、ハイブリッド車につきましては、プリウスに続いて昨年は、エスティマハイブリッド、クラウンマイルドハイブリッドと新しいタイプのハイブリッド車を投入し、これら三車種合せた全世界での累計販売台数は、これまでで8万5千台を超えております。中でも米国でのプリウスの評価は大変高く、本年の販売計画を当初の1万2千台から1万7千台と40%以上増やしました。今後も「2005年ハイブリッド車30万台生産」に向けて着実に開発を進めて行く所存です。
 燃料電池自動車については、昨年年央から日本及び米国で公道走行試験を実施しており、日米合せての累計走行距離は5万km近くにも達しております。その規模は、競合他社と比較してもかなり大きいものであり、ここから得られるデータを開発に反映し、2003年末までに、日本国内で限定的に市場導入を行いたいと思っております。

 私どもは、昨年年央に、今後のグローバルトヨタ発展のために、トヨタで働く全世界の人が共有すべき経営哲学や価値観などを「トヨタウェイ」として冊子にまとめ、グローバルトヨタ内に展開いたしました。
 そして、さらに、グローバルトヨタの人材育成の牽引役として「トヨタインスティテュート」を社内組織として本年よりスタートさせ、私が学長に就任いたしました。

 私どもは本年3月から、「パナソニック・トヨタ・レーシング」として、いよいよF1に参戦いたします。初めのうちは大変厳しい戦いを余儀なくされると思いますが、皆様には、世界最高峰のレースに果敢にチャレンジしていく我々の姿をご覧いただきたいと存じます。また、企業活動全般においても、F1と同様、挑戦者の気持ちで、アグレッシブな取組みを進めて行きたいと思っております。

 我々を取り巻く経営環境は、この先も決して楽観視できるものではなく、そうした中、皆様のご期待にお応えしていく企業として成長し続けるために、将来を視野においた「ポスト2005年ビジョン」の策定を現在、進めているところであります。
 
本年も、皆様の一層のご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。

以上

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  • 取締役社長張 富士夫
    取締役社長
    張 富士夫