2011年06月08日
トヨタ自動車、バーチャル人体モデル“THUMS”に新バリエーションを追加
― “THUMS Version 4”に新たに“小柄女性”と“大柄男性”モデル が完成 ―
トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、ダミー人形だけでは困難な事故傷害解析をコンピューター上でシミュレートできるバーチャル人体モデル"THUMS(サムス)*1"に、2010年に発表した"THUMS Version 4"の新バリエーションである"小柄女性"と"大柄男性"モデルを追加する。
"THUMS Version 4"では、(株)豊田中央研究所との共同開発のもと、大学など外部研究機関と連携し、高精度CT*2スキャンを用いて、人体の内部構造の形状を詳細に計測。内臓の形状をはじめ内臓間の位置関係や連結状態まで精密にモデル化し、従来型の約14倍もの情報量をもつ人体モデルを完成。その結果、衝突時の胸腹部の変形状況および内臓の受傷メカニズムがより詳細に解明できるようになった。 今回追加の"小柄女性"モデル(身長153cm相当)と"大柄男性"モデル(189cm相当)は、昨年発表した平均体格の成人男性モデル(179cm相当)と同様、乗員と歩行者の姿勢を模擬した2タイプが完成(計6タイプ)している。これにより、実際の衝突事故を想定し、各々の体格差による影響まで考慮した、より幅広い内臓傷害解析が可能となる。 トヨタは、モビリティ社会の究極の願いである「交通死傷者ゼロ」に貢献するため、今後も"THUMS"を用いて、車両衝突時の内臓傷害等を解析し、シートベルトやエアバッグなどの安全装備の開発・改良に活用していく。また、今後は"高齢者"モデルや"子ども"モデルも追加していく方針である。 なお、"小柄女性"と"大柄男性"モデルは、大学向けにはトヨタテクニカルディベロップメント(株)(愛知県豊田市)を通じ、企業向けには(株)JSOL(東京都中央区)を通じ、今夏に発売を予定している 。 |
【 THUMS Version 4 シリーズ 】(内側から小柄女性⇒平均男性⇒大柄男性)
*1 THUMS(サムス): | Total HUman Model for Safety 人体の形状はもとより骨や皮膚に至るまで、身体各部位の特性を模擬することで、車両衝突時の骨折・靭帯断裂などの詳細な解析が可能。 1997年に(株)豊田中央研究所とトヨタ自動車(株)で共同開発に着手。2000年にVersion 1を完成・市販開始。2004年に顔面・骨を精密にモデル化したVersion 2を完成。2006年に脳を精密にモデル化したVersion 3を完成。2010年に内臓を精密にモデル化したVersion 4を完成・市販開始 |
*2 CT: | Computed Tomography(コンピューター断層撮影法) |
以上