2017年07月06日
トヨタ、米国テキサス州プレイノ市で北米新本社屋のオープニング式典を実施
トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)の北米事業体であるToyota Motor North America(以下、TMNA)は本日、米国テキサス州プレイノ市において、北米新本社屋のオープニング式典を実施する。長きに亘るトヨタの米国に対するコミットメントを新たにする場として、式典には地元政府や地域団体、協力企業などから300名以上が来賓として出席予定。
TMNAのCEOであるジム・レンツ(Jim Lentz)は「ここプレイノの北米新本社設立は、トヨタの60年に亘る米国事業における大変重要な一歩である。4つの米国事業体の従業員が一つの拠点で共に働くことで、お客様を第一に考え将来のモビリティを牽引しつつ、これまで以上に連携やイノベーションを生み出し、意思決定を加速できると信じている」と述べた。また、「トヨタの米国投資や雇用確保の継続的な取り組みに対する、アメリカ合衆国トランプ大統領のご支援に感謝申し上げる」と語った。今回、北米新本社屋開所にあたり、トランプ大統領が署名したステートメントをホワイトハウスより受領した。[ステートメント(英語)はこちら]
TMNAは2014年4月、北米の製造、販売、金融などの本社機能の拠点一元化などを通じて各機能間の一層の連携を推し進める「北米ワントヨタ」活動を公表。それ以降、約10億ドルを投じ、プレイノ市内の100エーカーに上る敷地に新本社屋を建設してきた。また、カリフォルニア州やケンタッキー州などから、数千名の従業員やその家族が、テキサス州北部への転居を進めてきた。建設がほぼ完了した今年の晩春に従業員の異動を開始、以降も週に約200名のペースで、年内にかけて段階的に異動を進めていく予定。
トヨタは、今年に米国事業60周年を迎える中、米国社会・経済・文化に深く根ざした事業活動を展開してきた。これまでの米国における直接投資額は約234億ドルに上り、米国内に10か所の工場、1,500か所近くの販売店があるほか、約13万6,000名もの雇用(直接・販売店)を創出している。また、今年1月には、今回の新本社屋建設や既存工場の競争力強化に向け、5年間で米国に約100億ドルを投資予定と公表している。
新本社屋では約4,000名の従業員が勤務予定。各拠点からの異動を選択した従業員に加え、テキサス州北部などで1,000名以上を新たに雇用する計画で、現時点でその75%以上を採用済み。現状では、テキサス州北部の居住者が、採用済み人員の90%以上を占めている。
テキサス州のグレッグ・アボット(Greg Abbott)知事は「優れた労働力こそテキサス州が誇る最大の資産であり、トヨタのようなグローバル企業を日々惹きつけている。この素晴らしい新本社屋や、4,000名もの社員が新たにテキサス州で働くという事実が、同州の経済が目覚しい勢いで成長を続けていることを示している。トヨタのテキサス州への移転を誇りに思うと同時に、地域社会で重要な役割を担おうとしてくれていることに感謝したい」と語った。
また、プレイノ市のハリー・ラロシリエル(Harry LaRosiliere)市長は「ついにトヨタ従業員の皆さんをプレイノに迎え、この素晴らしい新社屋の開所をお祝いすることができ、大変うれしく思っている。地域に寄り添う良き企業市民であるトヨタが、今後もプレイノやテキサス州北部に良い影響を与えてくれると期待している」と述べた。
新本社屋では「北米ワントヨタ」実現に向け、従業員が日々連携を深め、高め合いたいと思うような場を提供すべく、カフェテリアやジム、会議室を備えているほか、中央の広大な中庭スペースを囲むように7棟のビルを配置。環境保護にも配慮し、雨水を活用した灌漑設備や、2万枚以上のソーラーパネルなどを設置している。太陽光発電で賄えない使用電力については州内の風力発電による電力を調達することで、使用電力の全てを再生可能エネルギーで賄う予定。
以上
- 参考抄訳
- トヨタ北米CEOジム・レンツ オープニング式典あいさつ文
本日ご列席の皆さま、記念式典にようこそおいでくださいました。
なぜトヨタがテキサスに移転したのか、不思議に思っている方もいらっしゃると思います。これは、2013年に私が豊田章男社長と交わした会話まで遡ります。その時私たちは、北米の市場や事業など、ビジネスについて普通の会話をしていました。
そこで豊田社長は私に、トヨタのグローバルビジョンの話をしました。彼は、トヨタを将来のモビリティを牽引し世界中の人々の暮らしを豊かにする会社にしたいという思いでいます。そして私は、「トヨタが将来に亘って持続的に成長していくために、今変えなければならないことを一つ挙げるとしたら何か?」と聞かれました。私は、3~5年先のことを言っているのかと思いましたが、実は50年先を見据えた質問だったのです。
その後、私は豊田社長に、今後もお客様により良いサービスを提供していくためには、米国内の各拠点を一つのチームに集約するべきだ、と伝えました。
豊田社長の強力なサポートを得て、私たちは、カリフォルニア、ケンタッキー、ニューヨークの各拠点を、テキサスへ移転・集約する計画を考案しました。さらに、調達部門をミシガン州アナーバーの技術開発拠点に、生産技術部門をケンタッキー州ジョージタウンに集約することとしました。
全従業員が一つの拠点に異動するわけではありませんが、これらの集約により、私たちは真に一つの会社「ワン・トヨタ」になることができると考えました。今回の移転を通じ、連携を強化し、イノベーションを加速し、市場の変化により迅速に対応することができます。そして何よりも、お客様のご要望にお応えするための意思決定をよりタイムリーに行うことができます。私たちは正しい方向に向かっていると確信しています。
移転を決定してからの3年間、トヨタ従業員の尽力はもちろん、ビジネスパートナーや政府関係者、地域の皆様から多大なご支援をいただきました。そして今夜、ついにその集大成を祝うことができました。トヨタがここ米国で新たなチャレンジに取り組むことを発表して以来、テキサス州や地域社会の皆様が、トヨタや従業員を暖かく迎えてくださいました。今日、私たちがそのご恩に対し、皆さまをこの新本社にご招待することができ、大変うれしく思っております。
私自身、それまで草に覆われていたこの敷地で起工式を行った日のことを、決して忘れることはないでしょう。起工式の後もこの敷地には多くの草が生え、土砂が堆積したままでしたが、「北米トヨタの新しい故郷(home)」という看板が立てられました。当時、このような美しい新本社キャンパスがここにできるとは想像しがたいものがありました。しかし、素晴らしいパートナーが、私たちのビジョンを、今皆さんがご覧になっている新本社屋という形で実現してくれました。建築士や建設作業員の方々が次々と、ブルドーザーやクレーンとともにやってくる中で、トヨタの輝かしい未来が、ここテキサス州北部に根を下ろしはじめました。
今夜、来賓の皆さまには新本社屋内をご案内いたしますが、ここでいくつか、新本社屋の特長をご説明いたします。
トヨタは長きに亘り自然環境保護に取り組んでまいりました。新本社においても、使用電力の30%以上を発電できるソーラーパネル、テキサス北部の自然環境に近い敷地造成を通じた生物多様性確保、干ばつに強い地元原産の樹木、最大40万ガロンの雨水を貯蔵できる灌漑設備などを通じ、米国グリーンビルディング協会の「LEEDプラチナ認証」取得を目指しています。
また、新本社屋ツアーでは、1,200トンにおよぶ世界的にも有名なLueders社の石灰石など、建材にもご注目ください。中庭に並べたクルマ、特に2000GTもぜひご覧いただければと思います。50年前、ジェームズ・ボンドがまさにこのような2000GTを操り、敵を振り切りました。今回展示している2000GTにはジェームズ・ボンドならではの道具・小物類はついていませんが…。
ここテキサス北部で新規採用した従業員も含め、米国内、さらには米国外からも、毎週のように次々と従業員がこの新本社に異動しています。コミュニケーションや意見交換を促進するオープンな職場環境のほか、食堂やジム、薬局などに、従業員は皆ワクワクしています。ジムに備え付けられたロッククライミングウォールにも!
60年前、トヨタは米国で、たった一つの販売店で事業を始めました。それが今日では、エモーショナルなクルマづくりへの情熱、モノづくりにおけるリーダーシップやイノベーションの数々が、米国文化に溶け込み、その一部となっています。将来に向けて、私たちは皆さまと共に、テキサス、そしてトヨタが世界のモビリティの発信源となれるように努力してまいりたいと思います。私たちはすでにその取り組みを始めています。
北米トヨタは、自動運転・安全技術、コネクティッド技術、電動化・燃料電池技術、ロボット技術、都市交通テレマティクスの領域で、研究・開発を強化していきます。従業員が一丸となって才能や情熱を注ぎ込み、世界中のより多くの皆さまに移動の自由をご提供していきたいと思っています。
この新本社は、何千もの人が力を合わせれば、確かに大掛かりな設備も要りますが、素晴らしいものを夢見て、築き上げることができることを示しています。しかし実は、この新本社で私が一番気に入っているのは、ガラスや金属、石で作られた建築物ではありません。
それは、新本社キャンパスの入り口でお客様を出迎える、大きな樫の木です。この木は樹齢100年以上とも言われており、このテキサスの地に深く根を下ろしています。新本社キャンパスには約1,300本もの樹木を植えましたが、とりわけこの樫の木こそが、トヨタがさらに成長できるチャンスのシンボルになると思っています。私たちトヨタも、この木のようにしっかりと根を張り、ここテキサス、ひいては北米で皆さまと共に成長していきたいと思っております。
改めまして、式典にご列席いただきありがとうございました。皆さまが再びここを訪れることを、いつでもお待ちしています。
以上