2011年04月07日

マイクロソフトコーポレーション
トヨタ自動車株式会社

マイクロソフトとトヨタ、次世代テレマティクスの
プラットフォーム構築に向けた戦略的提携について基本合意

 

 マイクロソフト コーポレーション(以下、マイクロソフト、本社:米国ワシントン州レドモンド市、最高経営責任者:スティーブ・バルマー)とトヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ、本社:愛知県豊田市、代表取締役社長:豊田章男)は、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Windows AzureTM」をベースとしたトヨタの次世代テレマティクス向けグローバルクラウドプラットフォームの構築に向けた戦略的提携について基本合意した。

 具体的には、トヨタは2012年市販予定のEV及びPHVのテレマティクスサービスの展開にあたり、マイクロソフトの「Windows Azure」を採用。2015年までにトヨタとマイクロソフトが共同で独自のグローバルクラウドプラットフォームの構築を目指していく。
 現在トヨタは、低炭素・省エネルギー社会の実現を目指したスマートグリッドへの取り組みの一環として、人と車と住宅をつなぎ、エネルギー消費を統合的にコントロールするシステム「トヨタスマートセンター」の実証実験を日本で実施しているが、将来的にはこのグローバルクラウドプラットフォームを活用し、「トヨタスマートセンター」のグローバル展開を図っていく。

 今回の提携を受けて、トヨタの顧客向けIT事業会社であるトヨタメディアサービス株式会社(以下、TM、本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:友山茂樹)は10億円の増資を実施し、グローバルクラウドプラットフォーム構築の業務をトヨタから請け負う。マイクロソフト、トヨタの両社はTMの増資に応じ出資する。具体的な出資金額などの詳細については今後調整していく。

 マイクロソフトは長年、自動車産業に向けたプラットフォームやサービスの開発を行っている。例えば、Windows Embedded Automotive platformをベースとした車載システムやBingなどをベースとした車載地図サービス、さらに多くのコンシューマー向けソリューションを提供している。

 提携にあたり、マイクロソフトのスティーブ・バルマー最高経営責任者は「今回のトヨタ自動車との戦略的提携は、『お客様の車内でのコネクテッドエクスペリエンス』の実現に向けた、我々の自動車産業への継続的な投資である。また、『Windows Azure』が、トヨタが世界中の自動車にテレマティクスサービスを提供するために必要な大規模なプラットフォームを構築することにより、クラウドのさらなる可能性を実証することにもなる」と述べた。

 また、トヨタの豊田社長は「先月発表した『トヨタグローバルビジョン』で『新たなモビリティ社会の実現』に貢献したいと述べたが、今回の提携はその具体策の1つである。トヨタはクルマと家と情報をつなぐスマートコミュニティサービスをクルマの新しい付加価値と位置付け、『トヨタスマートセンター』のグローバル展開を推進していく。」と述べた。
<ウェブサイト上での共同記者会見について>
時 間 米国西部時間4月6日(水)13時~14時(日本時間4月7日(木)5時~6時)
出席者 マイクロソフト 最高経営責任者 スティーブ・バルマー
トヨタ 代表取締役社長 豊田章男
アクセス http://www.microsoft.com/presspass/presskits/cloud/liveevent.aspx にて記者会見の模様をご覧いただけます。
トヨタが考える未来の一端をご覧いただけます。
http://www.toyota.co.jp/jpn/news/video_news/asx/110407_01_jp.asx

以上


[豊田社長スピーチ(日本語)]


本日の発表についてお話しさせていただく前に、今回の大震災に際し、ご支援をいただいております米国政府、マイクロソフトを
はじめとする米国の皆さまに、心より御礼申し上げます。

また、今回の大震災で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

トヨタとしても、復興に向けて、被災地への救援活動を実施するとともに、従業員、販売店、サプライヤーの皆さまとそのご家族の
安全確保を第一に努めております。

日本の状況を鑑み、今回の訪米についても、ぎりぎりまで 悩みました。先日、私も現地に入り、被災地の方々にお話を伺って
まいりました。
そして、現在の日本、被災地の方々に必要なものは、復興に向けた取り組みとともに、明日への希望であり、未来に向けた
着実な歩みであると考え、渡米を決断しました。
本日、マイクロソフトとよりよい未来を築くために、ここにまいりました。

今回、マイクロソフトと提携し、「エネルギーマネジメント」を進化させることによって、「未来のクルマ社会」に向けた重要な一歩を
踏み出したと言えます。

また今回の提携は、(先月発表いたしました)トヨタの「グローバルビジョン」の具体策の一つです。

先月、今後のトヨタの目指すべき姿について、ビジョンとしてまとめ、発表いたしました。

トヨタは、お客様の期待を少しでも上回り、お客様に驚きや感動の笑顔を浮かべていただけるクルマとサービスをお届けし、
お客様に喜んでいただける会社でありたいと思います。
そして、より先進的な環境性能をもつ商品の開発を通じて、社会に貢献していきたいと考えています。

その実現のためには、人とクルマの「つながり」を強めると同時に、エネルギー消費を統合的にコントロールする「スマートセンター」を
導入することが重要となります。これにより、エネルギー消費を抑え、且つクルマの新たな付加価値を生むことが可能になるのです。
本日、今回の提携をバルマーさんと発表できることを大変嬉しく思います。

トヨタは、これまで、マイクロソフトとテレマティクス分野において、十数年に渡って密接な協力関係を築いてまいりました。
日本でのGAZOOプロジェクトも、その一つです。

マイクロソフトとトヨタは、これまでも成功を分かち合ってきましたが、今回の提携は、今までにも増して素晴らしいものになると
確信しています。

Windows Azure(ウィンドウズ・アジュール)とマイクロソフトの持つ広大な情報インフラを活用し、現在のGPSナビゲーションや
交通安全に関する通信システムを超えた「情報端末機」としての機能を加えることが、クルマの更なる付加価値となると考えています。

例えば、自動音声認識とバーチャルオペレーターを用いた先進テレマティクスや、エネルギー需給状況に応じた充電制御、
さらには暖房・照明など住宅の電化製品の遠隔操作を盛り込む考えです。

そして来年のPHVやEVの導入により、「スマートセンター」の普及が更に進んでいくと考えています。

「スマートグリッド」時代の到来に向け、マイクロソフトとの提携を通じて、経済的であり、かつ環境や安全にも配慮した、
持続可能なモビリティ社会の実現に向け、一層貢献できるものと考えております。

今回の提携は、お客様、クルマ、そして社会全体にとって、よりよい未来を築くことを目指すものです。

私は今回の提携をトヨタの未来にとって極めて重要なもので あると位置付けております。
そして今後とも、未来のクルマ社会を実現するために必要な提携については、私たちは常にオープンです。

マイクロソフトの皆さまに、あらためて御礼申し上げるとともに、今回の提携が、今後ますます進展することを祈念しています。