2017年09月27日

4. 自動運転技術を開発する理由

 

トヨタでは「グローバルビジョン」を通じ、「人々に安全・安心な移動を提供し、世界中で人々の生活を豊かにし、未来のモビリティ社会をリードする」ことを目指しています。このミッションは、高品質のクルマを製造することから、絶え間ないイノベーション、そして環境保護に至るまで、当社の業務の全てに関連します。

モビリティ企業として、自動運転技術を実現していくことは、モビリティの次のステップとして自然な流れです。それは、従来からクルマが持つ、人々を行きたい、または行く必要のある場所へ、より理想的な移動を提供するというクルマの役割の延長線上にあります。トヨタでは、自動運転車が、交通事故死傷者ゼロ、スムーズな交通や、排出ガス削減に貢献し、ひいては全ての人にモビリティを提供するという究極の目標を達成し、社会全体に恩恵をもたらすと考えています。

安全性の向上
安全性の向上

トヨタが自動運転車の開発に取り組む理由は、何よりもまず、この技術が、交通事故死傷者がほぼゼロの世界をもたらすために有望だと考えているためです。現在、毎年世界中で約130万人以上の交通事故による死亡者、これを超える数の負傷者が生じています。自動運転技術は、これらの数字を大幅に減らす可能性を秘めています。この技術の開発は、安全に関する当社のコミットメントに沿ったものです。つまり、事故を起こさない自動運転車、そして他の車両や路上の他の要因による数多くの衝突を回避できる自動運転車を開発していきたいと考えています。

新しい自動運転システムの開発と導入など、トヨタの自動運転にかかる研究の全てにおいて、安全性に焦点が当てられています。そのためトヨタでは、市場に導入する前に、新技術の適切なパフォーマンスを保証するための実験や検証を徹底的に行うだけでなく、貴重な命を救える可能性のある機能を可能な限り普及させることに重点を置いています。

より効率的な交通
より効率的な交通

自動運転車は、その中核となる安全上の利点以外に、高速道路等での交通の流れをよりスムーズにし、効率的にするという面で役立ちます。具体的には、排出ガスの削減を通して大気の状態を改善したり、ドライバーの生活の質を大幅に向上させたりすることができます。後者については、日常の通勤や長時間にわたるドライブなど、クルマの中で過ごしている時間の質を大幅に改善しながら、ドライバーは、引き続き運転を楽しむことができるという可能性を秘めているという意味です。

自動運転は、手頃な価格でのオンデマンドモビリティを通して、世界中のより多くの人たちの路上での移動を容易にします。「サービスとしてのモビリティ : Mobility-as-a-Service(MaaS)」、すなわちオンデマンドのモビリティは、特に身体に障がいを持った人など、一人一人の移動を可能にし、経済的により活性化、効率化した社会をもたらす一助となります。こうしたオンデマンドモビリティは、都市を変貌させます。例えば、現状都心にある駐車場は、クルマのためではなく、人々のために利用されるようになると思われます。また、自動化されたMaaS車両は、排出ガス、交通量、騒音を大幅に削減し、都市をより環境にやさしい場所に発展させるでしょう。

自動車を超えた革命
自動車を超えた革命

トヨタは、自動運転技術が現在道路を走る車両をはるかに超える、広範な恩恵をもたらすと考えます。人工知能(AI)は、新たなカテゴリーの技術とサービスを創出して、何百万人もの人々の日常生活を一変させ、改善をもたらす可能性を持っています。

トヨタは、自動運転技術の研究を生かし、高齢、または身体が不自由なために移動制約がある人々が、より自由に移動できるようになるための新しいソリューションを生み出していきます。

たとえば、介助ロボットは、ロボットの助けがなければ自宅周辺のみに移動が制限され、遠出できない人たちの自立を助けることができます。とりわけ高齢化が進んで65歳以上の人口が増える社会において、介護者がいる場所に移住しなければいけないという状況から、住み慣れた場所で生活ができるように支援するという点でも、こうした技術は期待されます。