2017年全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦（最終戦）鈴鹿スーパーフォーミュラ最終戦は荒天により予選のみで中止石浦宏明が2度目のシリーズチャンピオンを獲得

2017年全日本スーパーフォーミュラ選手権チャンピオンを獲得した石浦宏明（P.MU/CERUMO・INGING）

　スーパーフォーミュラ最終戦は接近中の台風21号の影響により、土曜日の予選は行われたものの、日曜日に予定されていた決勝レースは中止に。この結果、石浦宏明（P.MU/CERUMO・INGING）が自身2度目となるスーパーフォーミュラチャンピオンに輝いた。

　10月21日（土）、三重県の鈴鹿サーキットで全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦「第16回JAF鈴鹿グランプリ」が開催された。

　全7戦で戦われている2017年のスーパーフォーミュラもいよいよ最終戦となり、タイトルを決定する天王山を迎えた。最終戦は例年どおり2レース制で行われ、優勝者には各レース3点のボーナスポイントが与えられるため、計算上8人がタイトル獲得の可能性を残してこの最終戦に臨んだ。

　この週末、サーキットは超大型の台風21号の接近に伴い、前日金曜日の専有走行からウェットコンディション。21日（土）に予定されていた予選が悪天候のため行われなかった場合は、予選前フリー走行のタイムでグリッドが決定されることとなり、朝9時10分開始のフリー走行から激しいアタックが繰り広げられ、クラッシュや赤旗が頻発。セッションスタートからまもなく中嶋一貴（VANTELIN TEAM TOM'S）がスプーンコーナーでクラッシュするなど、合計4回の赤旗中断という荒れた展開で終了した。

予選

　21日（土）午後1時55分、予定よりも5分遅れでQ1（20分間）が開始。しかしセッション開始と同時に雨が猛烈に強さを増し、開始2分半過ぎに赤旗。ほとんどの車両が1周も出来ないまま一旦ピットへ戻ることに。

　40分近い中断の後、午後2時40分にQ1が再開されたが、アタック開始直後にランキング3位で逆転タイトルを目指すフェリックス・ローゼンクヴィスト（SUNOCO TEAM LEMANS）が1コーナー入り口の川のように水が流れている部分で足をすくわれコースオフ。ローゼンクヴィストはここで予選アタックを諦めることとなり、ノータイムで最後尾グリッドが確定してしまった。

　これにより出された赤旗から、午後2時50分に再開。少しでも良いコンディションでアタックすべく、ピットロードから激しいポジション争いとなる中、今度は小林可夢偉（KCMG）が1コーナーでコースオフ。すぐに自力でコースへ復帰したが、これで予選3度目の赤旗が出された。

　午後3時にセッションが再開されると、僅差のランキング首位でタイトルを争っている石浦が先頭でアタックを開始し、ヘビーウェットのコンディションをものともせず懸命のアタック。まずトップタイムをマークすると、これをアンドレ・ロッテラー（VANTELIN TEAM TOM'S）、中嶋一貴らが塗り替えていった。

　もしQ2以降が行われなかった場合、Q1のベストタイムでレース1のグリッド、セカンドベストタイムでレース2のグリッドが決定されるため、各車アタックを続行。ロッテラーは更にタイムを更新するペースで走行を続けたが、シケイン進入で他車に阻まれる形となり、シケインをショートカット。翌周のアタックに賭けたが、その直後に他車が1コーナーでコースオフ。これにより予選4度目の赤旗が出され、セッションはその時点で終了。予選もQ1のみで終了することが決定された。

　この結果、ベストタイムをマークしたロッテラーがレース1で2015年の最終戦以来、2年ぶりのポールポジションを獲得。中嶋一貴が3番手。石浦が4番手。

　セカンドベストタイムはアタック出来なかったドライバーも多く、大きく顔ぶれが変わることとなり、レース2はルーキーのヤン・マーデンボロー（ITOCHU ENEX TEAM IMPUL）がキャリア初のポールポジションを獲得。中嶋一貴が5番手となった。

　予選後、午後5時15分に、台風の影響により翌22日（日）に予定されていた決勝レースを含む全ての走行が中止となることが決定。これにより、今季のスーパーフォーミュラのドライバーズタイトル争いでは、0.5ポイント差で逃げ切った石浦が2年ぶり2度目のドライバーズチャンピオンに輝き、P.MU/CERUMO・INGINGが2年連続のチームタイトルを獲得することとなった。

2017年のスーパーフォーミュラドライバーズチャンピオンに輝いた石浦宏明と、2年連続のチームタイトルを獲得したP.MU/CERUMO・INGING

P.MU/CERUMO・INGING 2号車ドライバー石浦宏明: 本当についさっき聞いたばかりで、まだ全然実感がない。明日は全力でやるつもりで、どうやって戦おうかということばかり考えていた。最終的にこういう結果になって、チャンピオンは素直に嬉しいし、今シーズンを考えると、1戦1戦しっかり戦えたことがこの結果に繋がったと思う。本当に才能のあるドライバー達と戦えたのは自分にとっても良い経験になったし、自信にも繋がった。今大会は残念だったが、良いシーズンを送ることが出来て、本当にチームに感謝している。チームは毎レース万全の状態ですごく良いクルマを用意してくれた。そういう小さな積み重ねがチャンピオンシップに繋がったと思う。チームにとっては3年連続のドライバー、2年連続のチームタイトルということで、チームも、自分も含めてしっかり実力がついてきたことを証明出来たのは嬉しいし、皆に本当に感謝したい。

全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦レース1 予選結果

順位	No.	ドライバー	チーム	予選タイム	トップ差	エンジン
1	36	アンドレ・ロッテラー	VANTELIN TEAM TOM'S	1'54.395		TOYOTA RI4A
2	40	野尻　智紀	DOCOMO TEAM DANDELION RACING	1'54.454	0.059	Honda HR-417E
3	37	中嶋　一貴	VANTELIN TEAM TOM'S	1'54.606	0.211	TOYOTA RI4A
4	2	石浦　宏明	P.MU/CERUMO・INGING	1'54.698	0.303	TOYOTA RI4A
5	64	中嶋　大祐	TCS NAKAJIMA RACING	1'54.865	0.470	Honda HR-417E
6	1	国本　雄資	P.MU/CERUMO・INGING	1'55.665	1.270	TOYOTA RI4A
7	20	ヤン・マーデンボロー	ITOCHU ENEX TEAM IMPUL	1'55.946	1.551	TOYOTA RI4A
8	15	ピエール・ガスリー	TEAM MUGEN	1'55.997	1.602	Honda HR-417E
9	18	小林　可夢偉	KCMG	1'56.095	1.700	TOYOTA RI4A
10	41	伊沢　拓也	DOCOMO TEAM DANDELION RACING	1'56.394	1.999	Honda HR-417E
11	65	ナレイン・カーティケヤン	TCS NAKAJIMA RACING	1'56.400	2.005	Honda HR-417E
12	10	塚越　広大	REAL RACING	1'56.453	2.058	Honda HR-417E
13	19	関口　雄飛	ITOCHU ENEX TEAM IMPUL	1'56.479	2.084	TOYOTA RI4A
14	16	山本　尚貴	TEAM MUGEN	1'57.208	2.813	Honda HR-417E
15	8	大嶋　和也	SUNOCO TEAM LEMANS	2'00.378	5.983	TOYOTA RI4A
16	3	ニック・キャシディ	KONDO RACING	2'05.161	10.766	TOYOTA RI4A
17	4	山下　健太	KONDO RACING	2'06.742	12.347	TOYOTA RI4A
18	50	小暮　卓史	B-Max Racing team	2'06.796	12.401	Honda HR-417E
	7	フェリックス・ローゼンクヴィスト	SUNOCO TEAM LEMANS	計測できず		TOYOTA RI4A

全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦レース2 予選結果

順位	No.	ドライバー	チーム	予選タイム	トップ差	エンジン
1	20	ヤン・マーデンボロー	ITOCHU ENEX TEAM IMPUL	1'56.961		TOYOTA RI4A
2	40	野尻　智紀	DOCOMO TEAM DANDELION RACING	1'57.144	0.183	Honda HR-417E
3	41	伊沢　拓也	DOCOMO TEAM DANDELION RACING	1'57.744	0.783	Honda HR-417E
4	64	中嶋　大祐	TCS NAKAJIMA RACING	1'58.236	1.275	Honda HR-417E
5	37	中嶋　一貴	VANTELIN TEAM TOM'S	1'59.382	2.421	TOYOTA RI4A
6	15	ピエール・ガスリー	TEAM MUGEN	2'00.238	3.277	Honda HR-417E
7	1	国本　雄資	P.MU/CERUMO・INGING	2'01.676	4.715	TOYOTA RI4A
8	65	ナレイン・カーティケヤン	TCS NAKAJIMA RACING	2'01.820	4.859	Honda HR-417E
9	2	石浦　宏明	P.MU/CERUMO・INGING	2'02.064	5.103	TOYOTA RI4A
10	19	関口　雄飛	ITOCHU ENEX TEAM IMPUL	2'02.392	5.431	TOYOTA RI4A
11	36	アンドレ・ロッテラー	VANTELIN TEAM TOM'S	2'04.014	7.053	TOYOTA RI4A
12	16	山本　尚貴	TEAM MUGEN	2'04.112	7.151	Honda HR-417E
13	10	塚越　広大	REAL RACING	2'05.804	8.843	Honda HR-417E
14	50	小暮　卓史	B-Max Racing team	2'07.023	10.062	Honda HR-417E
15	8	大嶋　和也	SUNOCO TEAM LEMANS	2'07.141	10.180	TOYOTA RI4A
16	4	山下　健太	KONDO RACING	2'07.731	10.770	TOYOTA RI4A
17	18	小林　可夢偉	KCMG	2'10.239	13.278	TOYOTA RI4A
18	3	ニック・キャシディ	KONDO RACING	9'42.957	7'45.996	TOYOTA RI4A
	7	フェリックス・ローゼンクヴィスト	SUNOCO TEAM LEMANS	計測できず		TOYOTA RI4A

ドライバーズポイント

（最終結果）

順位	ドライバー名	エンジン	ポイント
1	石浦　宏明	TOYOTA RI4A	33.5
2	ピエール・ガスリー	Honda HR-417E	33
3	フェリックス・ローゼンクヴィスト	TOYOTA RI4A	28.5
4	関口　雄飛	TOYOTA RI4A	25
5	中嶋　一貴	TOYOTA RI4A	22
6	アンドレ・ロッテラー	TOYOTA RI4A	21
7	小林　可夢偉	TOYOTA RI4A	16.5
8	国本　雄資	TOYOTA RI4A	16
10	ニック・キャシディ	TOYOTA RI4A	8
11	山下　健太	TOYOTA RI4A	6.5
12	大嶋　和也	TOYOTA RI4A	6
14	ヤン・マーデンボロー	TOYOTA RI4A	4.5

チームポイント

（最終結果）

順位	チーム名	エンジン	ポイント
1	P.MU/CERUMO・INGING	TOYOTA RI4A	47.5
2	TEAM MUGEN	Honda HR-417E	43.5
3	VANTELIN TEAM TOM'S	TOYOTA RI4A	42
4	SUNOCO TEAM LEMANS	TOYOTA RI4A	34.5
5	ITOCHU ENEX TEAM IMPUL	TOYOTA RI4A	28.5
6	KCMG	TOYOTA RI4A	16.5
7	KONDO RACING	TOYOTA RI4A	12.5