2007年11月26日

トヨタ自動車、限りなく実走行に近い試験環境を追求した
世界最高レベルの「ドライビングシミュレーター」を開発

-予防安全技術の研究開発を一層推進-

 

 トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、交通事故の低減を目指し、予防安全技術の開発を促進するために、ドライバーの運転特性の解析および事故低減技術の開発とその効果の検証に有効な「ドライビングシミュレーター」を開発し、この程、トヨタの東富士研究所(静岡県裾野市)に設置した。

 ドライビングシミュレーターは、映像や加減速度発生装置などを活用して自動車の走行を模擬する装置であり、自動車の研究開発においては、実車での走行では危険が伴う実験や、特定の条件下で自動車を走行させる実験などに主に活用されている。

 トヨタが開発したドライビングシミュレーターは、運転特性を正確に把握するため、ドライバーに模擬運転であることを極力感じさせない、限りなく実走行に近い試験環境を追求し、世界最高レベルの性能を実現している。
 具体的には、ドライバーは、直径7.1mのドーム内に設置された実車に搭乗し、ドーム内の球面スクリーン全体(360度)に映し出される映像に合わせて運転操作を行う。その際ドームは、精密なコンピューター制御のもと、ターンテーブル・傾斜装置・振動装置などを作動させながら、縦35m・横20mの世界最大級の範囲で移動することで、右左折時を始めとした様々な運転パターンにおいて、走行時の速度感、加減速感、乗り心地を忠実に模擬する。さらに、走行音の効果も加わり、ドライバーは、限りなく実走行に近い走行感覚を体感することが可能となる。

 今後トヨタは、安全技術・車両開発の方向性を示す「統合安全コンセプト」に基づき、車両に搭載される個々の予防安全システムに加え、クルマと道路インフラなどとの連携を可能とする安全運転支援システムの研究開発を一層推進するために、今回開発したドライビングシミュレーターを積極的に活用していく。

ドライビングシミュレーターの主な活用方法は以下のとおりである。
  1. 運転特性の解析と予防安全技術の開発
    • 運転意識低下(居眠り、ぼんやり)、危険に対する不注意(わき見、安全未確認)、運転不適(飲酒、疲労、病気)といった状態でのドライバーの運転特性を解析し、効果的に事故を低減する予防安全技術を開発

  2. 予防安全技術の効果検証
    • 上記を踏まえ、ドライバーへの警報および車両制御システムとの連携による、交通事故低減効果とその持続性を評価し、予防安全技術の効果を検証
<ドライビングシミュレーターの概要>
ドームの大きさ 高さ4.5m、直径7.1m 振動規模 最大 上下に50mmずつ
ドームの移動範囲 最大 縦35m、横20m 体感加速度 最大 0.5G
ドームの傾斜角 最大 25度 ターンテーブル回転角 最大 左右に330度ずつ
以上