2014年08月11日

SUPER GT 第5戦 FUJI GT 300km RACE
台風による天候急変に翻弄されセーフティカー先導でレース終了
中嶋一貴/ジェームス・ロシター組LEXUS RC Fが追い上げ5位

 

SUPER GT 第5戦 FUJI GT 300km RACE

8月9日(土)、10日(日)の両日、静岡県の富士スピードウェイでSUPER GT 第5戦「FUJI GT 300km RACE」が開催された。台風接近に伴い、めまぐるしく変わる天候の中で2度にわたってセーフティーカーが導入。ハンデに苦しんだLEXUS RC F勢は終盤スリックタイヤを導入するなどのギャンブルに出たが天候は味方せず、中嶋一貴/ジェームス・ロシター組のPETRONAS TOM'S RC F 36号車が最上位の5位という結果に終わった。

SUPER GT 第5戦 FUJI GT 300km RACE

SUPER GT第5戦「FUJI GT 300km RACE」が8月9日(土)、10日(日)の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催された。

ゴールデンウィーク開催の第2戦に続き、今季2度目の富士でのSUPER GT戦。例年では9月の第6戦として行われてきたが、今年は鈴鹿と入れ替わる形で夏休みまっただ中の開催となった。第2戦は500kmレースとして行われたが、今大会は300kmレース。

全8戦で行われる今季のSUPER GTも後半戦に入った。前半の4戦を終え、シリーズランキングでは伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ組のKeePer TOM'S RC F 37号車が首位、前戦SUGOで見事勝利を挙げたディフェンディングチャンピオンの立川祐路/平手晃平組ZENT CERUMO RC F 1号車が3位、大嶋和也/国本雄資の若手コンビ ENEOS SUSTINA RC F 6号車が僅差の4位につけている。

ランキング上位の3台は、ウェイトハンデが50kgを超え、燃料リストリクター制限が適用されるため、長いストレートでのスピードが重要な富士での影響、加えて、首位の37号車はほぼ最高値となる48kgのウェイトを搭載することとなり、厳しい戦いが予想された。

GT300クラスのOGT Panasonic PRIUS 31号車は、今季4戦中3回リタイアと苦しい戦いを強いられているが、唯一の完走及び入賞が第2戦の富士。ホームである富士では、昨年春の大会で優勝、夏の大会でも2位と得意にしており、好成績が期待された。

◆予選◆

台風接近による天候の悪化が心配されるレースウィークとなったが、9日(土)は午後2時の予選開始の時点では所々小雨はぱらつくもののまだスリックタイヤで走れる状態。気温25度、路面温度31度とこの季節としては予想外に低いコンディションでノックアウト方式予選のQ1が開始された。

SUPER GT 第5戦 FUJI GT 300km RACE

GT500クラスは全車セッション開始から7分ほど待機。残り8分ほどでコースインしたが、直前のGT300セッション時にトラブルに見舞われた車両がピットに戻れずコース上に止まってしまったため赤旗中断に。

残り10分でセッションが再開されると、再びアタックが開始され、次々に各車タイムアップを図っていった。そんな中、重いウェイトハンデと燃料リストリクター制限を受けた、ランキング上位勢はタイムを縮めることが出来ず苦戦。1号車が12番手、6号車が13番手、 37号車が14番手と厳しい結果に。WedsSport ADVAN RC F 19号車はわずか100分の1秒及ばず惜しくもトップ8入りならず9番手。LEXUS RC Fは4台がQ1敗退となってしまった。

一方で、午前中の公式練習でも2番手と好調なDENSO KOBELCO SARD RC F 39号車はオリバー・ジャービスがドライブしトップタイムをマーク。ジェームス・ロシターのPETRONAS TOM'S RC F 36号車も6位につけ、2台がQ2へと進出した。

Q2は今にも雨が降りそうな状況となり、各車セッション開始と共にコースイン。しかし、走り始めと共に降り始めた雨は強さを増し、コースアウトやスピンが続出。36号車の中嶋一貴は、先陣を切ってピットインし、レインタイヤへと交換した。

SUPER GT 第5戦 FUJI GT 300km RACE

翌周には39号車の石浦を含め、ほとんどの車両がタイヤを交換。先に交換した36号車の中嶋からタイムを縮めていったが、その後路面は回復方向へ。終盤にかけてめまぐるしくタイムが塗り替えられていった。

最後はスリックタイヤのまま走り続けた車両がトップタイムをマークするほど路面は乾いていき、早めにタイヤを交換した36号車にとっては厳しい展開に。最終的に39号車が5番手、36号車は7番手グリッドとなり、明日の決勝に臨むこととなった。

GT300クラスでは、プリウス31号車は嵯峨が担当したQ1で11番手につけ、上位13台が残るQ2への進出を決めた。

Q2では、ベテランの新田が残り2分ほどでその時点でのトップタイムをマーク。更にアタックを続けたが、他の車両に引っかかりタイムアップならず。終盤ライバルがこのタイムを上回ったため、惜しくもポールポジション獲得は成らなかったものの、31号車は得意とする「ホーム」富士で見事最前列2番手グリッドを獲得した。

◆決勝◆

10日(日)は朝方四国に上陸した台風11号の影響もあり、富士スピードウェイも朝から降ったり止んだりの天候。そんな中でも、2万6千人以上のレースファンが熱いバトルを満喫すべく、サーキットへと足を運んだ。

SUPER GT 第5戦 FUJI GT 300km RACE

午後3時の決勝レーススタート時には、雨は止んでいたものの、路面はヘビーウェット、気温25度と夏らしくないコンディションで、セーフティカーの先導の下でスタートが切られた。

2周のセーフティカーランを経て、3周目に水煙を上げて本格戦が開始された。5番手スタートの39号車がひとつポジションを落とし、これに7番手スタートの36号車が続く展開。

レースが8周目を過ぎたあたりで降り始めた雨は、あっという間に強さを増し、土砂降り状態に。そんな中、果敢に先行車を攻めた39号車のジャービスは、競り合う2台の中に割って入り、3ワイドの中で5位へとポジションアップ。翌周には36号車のロシターもひとつポジションを上げた。

しかし、更に雨が強くなり、レース続行は危険という判断からセーフティカーが導入。その直後にはGT300の車両が数台スピンを喫するような状態となった。

隊列を整え、セーフティカー先導での周回を続けたが、状況はなかなか回復せず、17周終了事典でレースは一旦赤旗中断となった。

SUPER GT 第5戦 FUJI GT 300km RACE

30分ほどの中断を経て、セーフティカー先導で走行が再開され、20周目に再スタート。6位につけていた36号車は好ダッシュを見せひとつ順位を上げたが、これがスタート違反と見なされ、ドライブスルーペナルティを受けることとなってしまった。

中盤戦に入ると徐々にドライバー交代のためのピットが始まったが、上位勢はピット作業を引っ張り、40周目過ぎから各車ピットへ。

全車がピットを終えた時点で石浦に代わった39号車は7位、ペナルティを受け後退していた36号車は、固めのレインタイヤを選択していたこともあり、タイヤ無交換という作戦に出た。これが功を奏し、中嶋一貴が39号車よりも前でコースに復帰。アウトラップでかわされたものの、39号車と共に、僅差の4位争いグループに加わった。

残りが20周ほどになると、路面の一部には乾いた場所が出来始めた。このため、この時点で立川が14位を走行していた1号車は急遽ピットインしスリックタイヤに交換。立川はファステストラップをマークしながら追い上げを開始した。

SUPER GT 第5戦 FUJI GT 300km RACE

36号車の中嶋一貴は未交換のタイヤながら、見事な追い上げを続け、残り10周で5位に浮上。

激しいバトルで一時は6位に上がった石浦の39号車だったが、後半装着したソフトのレインタイヤの摩耗が激しく、乾いていく路面でペースが落ち、残り10周でスリックタイヤに交換するためにピットイン。同様にソフトのレインタイヤで12位を走行していた6号車国本もスリックへと交換した。

しかし、その直後に再び雨が降り始め、LEXUS RC F勢のスリックへの交換作戦は裏目に。雨は一気に強さを増し、残り8周で再びセーフティカーが導入されることとなった。

そのまま周回が重ねられたが、天候の回復はならず、30分ほどの赤旗中断を含んで、トータル3時間にも及んだレースは、最後はセーフティカー先導でチェッカーフラッグ。LEXUS RC Fは中嶋/ロシター組の36号車が最上位の5位フィニッシュ。36号車同様に、堅めのタイヤで無交換作戦を採り、14番手スタートから追い上げた伊藤/カルダレッリ組37号車は9位に入り、2ポイントを追加。ドライバーとチームのランキングでは首位を守っている。

SUPER GT 第5戦 FUJI GT 300km RACE

GT300クラスでは、最前列2番手からスタートしたプリウス31号車が、1コーナーで首位に並びかけるもパスするまでには至らず。序盤は2位を守っていたが、雨が強くなり始めると後続の追撃を受け、ポジションダウン。

ライバルよりもやや早めにドライバー交代を行った31号車は、一時20位まで順位を落としたが、その後ライバルもピット作業を行うことでポジションを戻していった。途中、スピンを喫するシーンもあったが、難コンディションでのレースを最後まで走り抜き、6位でチェッカー。今季2度目の完走、ポイント獲得を果たした。

PETRONAS TOM'S RC F 36号車 ドライバー 中嶋一貴:
「ウェットの中、ペースも悪くなかったし、タイヤ選択も正解だったと思う。ペナルティを受けたのは残念だったが、結果として次のレースで燃料リストリクターを着けずに済むため、大きなポイントを狙えればとポジティブに捉えている。ホームの富士で勝てなかったことで、ドライバー、チーム、LEXUS Racing全体で頑張らなくてはならないと強く感じた」
PETRONAS TOM'S RC F 36号車 ドライバー ジェームス・ロシター:
「クルマの仕上がりもとても良く、常に速かったが、期待に応えることが出来なかった。再スタートでミスし、チャンスを逃してしまった。その分、(中嶋)一貴が挽回してくれた。良い戦いが出来ていただけに、申し訳なく思っている。次の鈴鹿では、絶対表彰台に上がりたい」

■第5戦 リザルト

GT500クラス
順位 No. 車名 ドライバー名 所要時間/差 周回 グリッド WH
18 ウイダー モデューロ
NSX CONCEPT-GT
山本 尚貴/F.マコヴィッキィ 2:56'20.543 66 28
23 MOTUL AUTECH GT-R 松田 次生/ロニー・クインタレッリ 2.129 66 54
32 Epson NSX CONCEPT-GT 中嶋 大祐/ベルトラン・バゲット 3.57 66 11
17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT 塚越 広大/金石 年弘 5.106 66 32
36 PETRONAS TOM'S RC F 中嶋 一貴/ジェームス・ロシター 5.775 66 32
46 S Road MOLA GT-R 本山 哲/柳田 真孝 6.804 66 15 40
100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT 小暮 卓史/武藤 英紀 8.081 66 14
12 カルソニックIMPUL GT-R 安田 裕信/J.P.デ・オリベイラ 11.51 66 10 88
37 KeePer TOM'S RC F 伊藤 大輔/アンドレア・カルダレッリ 13.663 66 14 98
10 ARTA NSX CONCEPT-GT ヴィタントニオ・リウッツィ/松浦 孝亮 16.878 66
11 19 WedsSport ADVAN RC F 脇阪 寿一/関口 雄飛 1Lap 65 14
12 39 DENSO KOBELCO SARD RC F 石浦 宏明/オリバー・ジャービス 1Lap 65 36
13 ENEOS SUSTINA RC F 大嶋 和也/国本 雄資 1Lap 65 13 68
14 ZENT CERUMO RC F 立川 祐路/平手 晃平 1Lap 65 12 70

※WH:ウェイトハンデ(kg)

GT300クラス
順位 No. 車名 ドライバー名 所要時間/差 周回 グリッド WH
61 SUBARU BRZ R&D SPORT 佐々木 孝太/井口 卓人 2:56'39.765 62 30
11 GAINER DIXCEL SLS 平中 克幸/ビヨン・ビルドハイム 3.32 62 19 74
86 クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3 細川 慎弥/山西 康司 5.362 62 28
グッドスマイル 初音ミク Z4 谷口 信輝/片岡 龍也 8.457 62 80
60 TWS LM corsa BMW Z4 飯田 章/吉本 大樹 12.466 62 15 10
31 OGT Panasonic PRIUS 新田 守男/嵯峨 宏紀 14.514 62 10
Studie BMW Z4 ヨルグ・ミューラー/荒 聖治 16.619 62 52
65 LEON SLS 黒澤 治樹/黒澤 翼 17.844 62 11 50
33 PUMA KRH PORSCHE 都筑 晶裕/峰尾 恭輔 19.462 62 14 12
10 B-MAX NDDP GT-R 星野 一樹/ルーカス・オルドネス 21.039 62 48

※WH:ウェイトハンデ(kg)

ドライバーズポイント(GT500)
順位 No. ドライバー名 ポイント
1 37 伊藤 大輔/アンドレア・カルダレッリ 51
12 安田 裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ 47
23 松田 次生/ロニー・クインタレッリ 42
立川 祐路/平手 晃平 35
大嶋 和也/国本 雄資 34
10 36 ジェームス・ロシター 22
11 39 石浦 宏明/オリバー・ジャービス 18
12 36 中嶋 一貴 14
17 36 平川 亮
18 19 脇阪 寿一/関口 雄飛
チームポイント(GT500)
順位 No. チーム名 ポイント
37 LEXUS TEAM KeePer TOM'S 66
12 TEAM IMPUL 60
23 NISMO 54
LEXUS TEAM ZENT CERUMO 46
LEXUS TEAM LeMans ENEOS 46
36 LEXUS TEAM PETRONAS TOM'S 33
10 39 LEXUS TEAM SARD 30
14 19 LEXUS TEAM WedsSport BANDOH 16

以上

ダウンロード

  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
  • SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race
    SUPER GT Round 5 FUJI GT 300km Race