ステークホルダーへの技術紹介を通じた仲間づくりと、トヨタの技術資産の記録を目的に「トヨタテクニカルレビュー(TTR)」を発行しています。

トヨタテクニカルレビュー(TTR)Vol.70 No.2

最新号Vol.70 No.2

発行日

  • (日本語版)2025年3月21日
  • (英語版)2025年7月下旬予定
TTR Vol.70-2 全PDF(PDF7MB)

目次

特集「続・トヨタが取り組むサーキュラーエコノミーとは」

  • サーキュラーエコノミーへの取り組み
    大量生産、大量消費、大量廃棄を前提としたリニアエコノミーから資源や製品の循環を前提としたサーキュラーエコノミー(Circular Economy : CE)への転換が世界規模で始まっている。前誌ではCEへの取り組みとして全体像、材料のリサイクル、使用済み自動車の易解体性に配慮した設計に向けた方法論、電動車に搭載する電池の適正処理や最適利用について述べた。本誌では、CEへの取り組みがなぜ必要なのかを改めて述べたあと、CEを支える基盤的な取り組みについて、二つの視点で検討している内容を述べる。
  • 自動車のCE指標の提案
    自動車のサーキュラーエコノミーを実現するためには、資源循環や経済性を含めて評価していく必要がある。多種多様な材料が使用されている自動車は、重量ベースのリサイクル率だけでは十分な評価ができない。そこで、環境負荷を考慮した資源循環性を評価するため、資源採掘時の影響を加味しているTMR(Total Material Requirement : 関与物質総量)を用いたCE評価手法を考案した。TMRを使用することで、使用量は少ないが、環境負荷が高い材料の資源循環の重要性が評価できる。今回、CEとして評価する項目が多数あるなかで、環境負荷を考慮した資源循環性を評価できるCE指標案としてその中身を紹介する。
  • 自動車サーキュラーエコノミーの受容性
    トヨタはリニア経済からの脱却を目指して循環経済(サーキュラーエコノミー : CE)を推進している。そこで、自動車などの使用年数が長い耐久消費財で中古部品や再生材が使用されることに対する受容性を明らかにするため、2022年より産業技術総合研究所と豊田中央研究所とともに研究を実施してきた。本稿でその研究成果の一部を紹介する。

論文/解説

  • 人共存型自律搬送ロボット「Potaro」と多台数統括システムによるリーンな病院内物流の実現
    病院内の物品をロボットで搬送代行する事例の多くは夜間や日中の少量搬送にとどまっている。本技術ではTPS視点から院内物流を見直し、ニーズが高い4種の物品を自律移動技術や多台数統括システムによって、人手による搬送からロボット搬送へ大規模に置き換えた。現在24台のロボットを運用中で、搬送回数は約170回/日、搬送成功率は平均98%であり、開院後1.5年での累計搬送回数は100,000回、搬送距離は10,000kmを超えた。導入効果は人件費換算で約2,500万円/年である。

受賞技術概要

社外発表論文一覧