TOYOTA GAZOO Racing

豊田 章男会長(モリゾウ)

豊田でございます。

私はレーシングドライバーではありません。
ですが一緒に走ってくれるレーシングドライバーは周りにたくさんいます。
最近ではホンダで育ってきたドライバーたちもいれば、ずっとトヨタにいるレーシングドライバーもいます。

レーシングドライバーたちと話していると感じること…
それは…やっぱりみんな「“世界一速いクルマ”に乗りたい」と思っているということです。
ドライバーとは“そういう生き物”なんだと思います。

ですが、私はF1をやめた人…
ドライバー達は、私の前で、その思いを素直に話すことができなかったんだと思います。
そんな“わだかまり”みたいなものが、我々のピットにはずっとありました。

今年の1月、やっと…
普通のクルマ好きおじさんに戻れたと皆さんの前でお話ししました。

普通のクルマ好きおじさんの豊田 章男は、
F1撤退で、日本の若者が
一番速いクルマに乗る道筋を閉ざしてしまっていたことを、
心のどこかでずっと悔やんでいたのだと思います。

ただ…記者の皆さんが目を光らせているので、
あえて付け足しますが
トヨタの社長としては、
F1撤退の決断は間違っていなかったと今でも思っております。

先日、小松代表とお話しをさせていただきました。
小松さん自身、大きな夢を切り拓いていらっしゃる方ですが、
その後ろには、
自由に夢を追いかけさせてくれた
お父様がいらしたとのことでした。

小松さんも私も、「今度は、我々が子供達に
夢を追いかけさせてあげられる“お父さん”になりたい」
という気持ちを共有しました。
小松さん、本当にありがとうございます。

今あちらにいる
スーパーフォーミュラのドライバーたちは
トヨタ勢もホンダ勢も、みんな子供の頃からカートに乗って育ってきました。

彼ら彼女らに憧れてカートに乗っている子供たちも
全国にたくさんいると思います。

そんな子供たちを小松さんたちと一緒にもっと増やしていければと思っております。

その前に、スーパーフォーミュラドライバーの誰かが、
世界一速いクルマに乗る日も、
実現していきたいとも思っております。
小松さんMoneyGram Haas F1 Teamの皆さん、日本のモータースポーツ界のために、
ぜひ一緒によろしくお願いいたします。

そして…、メディアの皆さん!
くれぐれも明日の見出しは「トヨタついにF1復帰」ではなく
“世界一速いクルマに自分も乗れるかもしれない”と
日本の子供たちが夢を見られるような見出しと記事をお願いします。

これが本日の豊田 章男の“思い”と“お願い”です。
皆様どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

GAZOO Racing Company 高橋 智也プレジデント

おはようございます!
GAZOO Racing Companyの高橋です。
本日は、お集まりいただきありがとうございます。

皆様、いかがでしょうか?
こちらのMoneyGram Haas F1 Teamのレーシングカーには、
TOYOTA GAZOO Racingのロゴが貼られています。

「トヨタF1復帰!」
と思われた方がいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。

私たちTOYOTA GAZOO Racingは
MoneyGram Haas F1 Teamと若手ドライバーなどの人材育成および
MoneyGram Haas F1 Teamの車両開発分野における業務提携に合意しました。

私からは、今回、なぜ業務提携をしたのか?について説明します。

私たちは、昨今、モリゾウこと会長の豊田の想いの下、
レースの現場でクルマを「壊しては直す」を繰り返し、
プロドライバーからのフィードバックを徹底的に市販車開発へ織り込む
「ドライバーファーストのクルマづくり」を行ってきました。

そこで重要になってくるのが3つの要素、
People、Pipeline、そしてProductです。

Peopleは、ドライバーやエンジニア・メカニックの人材育成、
Pipelineはデータ解析・活用術、
Productは車両の開発です。

私たちは、今回の業務提携を通じて

「People」をさらに強化し、
MoneyGram Haas F1 TeamがF1で強みを持つ
「Pipeline」を学び、
「Product」の開発に活かしていきます。

これらPから始まる3つの要素のうち、「People」と「Pipeline」に関して、
みなさまに補足説明いたします。

まずは「People」についてです。
みなさまもよくご存じの通り、F1は世界最高峰のモータースポーツです。
F1でのドライバー、エンジニア、メカニックの活躍は
子ども達にとって、夢や憧れ、目標となります。

将来の自動車産業を担う子どもたちに、そのような希望を与えることは
非常に重要なことだと考えています。

そのために、TOYOTA GAZOO Racingは、
MoneyGram Haas F1 Teamとともに、「ドライバー育成プログラム」を新設し、
世界の頂点を目指すドライバーを育てていくことにしました。

具体的には、TGRの育成ドライバーが
MoneyGram Haas F1 Teamのテスト走行に参加して、
F1での走行経験を積みます。

この提携を通じて、将来的に
F1のレギュラーシートを獲得できるようなドライバーを育成出来たら
素晴らしいと考えています。

また今回、チャレンジするのはドライバーだけではありません。
TGRのメカニックやエンジニアも世界最高峰のF1の舞台に、
MoneyGram Haas F1 Teamの仲間として加わります。

具体的には、MoneyGram Haas F1 Teamから評価をいただいている
私たちの「ものづくりの力」を生かして
F1レーシングカーの空力開発に参画し、
極限の使用環境下を想定したシミュレーション、
カーボン部品の設計・製造を行います。

続いて「Pipeline」について説明します。
今回の提携を通じMoneyGram Haas F1 Teamが強みをもつ「データの活用術」、

たとえば、レース中に収集する膨大なデータを
世界のさまざまな拠点へ共有し、即座に解析、
レースの戦略立案へタイムリーに活かすノウハウなどを学びます。

さて、ここまで「People」と「Pipeline」を
強化する話を差し上げましたが、

これらは世界最高峰のレースの現場でMoneyGram Haas F1 Teamと共に戦うことで
初めて培うことのできる技術や知見です。

その先に「Product」つまり、市販車へ学びをフィードバックできる人材が
育つのだと信じています。

以上

Sustainable Development Goals

トヨタは、革新的で安全かつ高品質なモノづくりやサービスの提供を通じ「幸せを量産する」ことに取り組んでいます。1937年の創業以来80年あまり、「豊田綱領」のもと、お客様、パートナー、従業員、そして地域社会の皆さまの幸せをサポートすることが、企業の成長にも繋がると考え、安全で、環境に優しく、誰もが参画できる住みやすい社会の実現を目指してきました。現在トヨタは、コネクティッド・自動化・電動化などの新しい技術分野にも一層力を入れ、モビリティカンパニーへと生まれ変わろうとしています。この変革の中において、引き続き創業の精神および国連が定めたSDGsを尊重し、すべての人が自由に移動できるより良いモビリティ社会の実現に向けて努力してまいります。

SDGsへの取り組み
https://global.toyota/jp/sustainability/sdgs/

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