Dec. 06, 1999

トヨタ、福祉施設の送迎車両運行管理システム“TIME・w”を新開発

 

 トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、福祉施設の巡回送迎用車両の運行管理システム“TIME・w(タイム・ダブリュ)*1”を開発した。

 “TIME・w”は、老人保健施設やデイサービスセンターに代表される福祉施設で行われている巡回送迎サービスにITS(高度道路交通システム)技術を導入することで、利用者の利便性を高め、より快適な送迎の実現を開発の狙いとしたもので、トヨタは、昨年開発したTIME・t(TAXI)、TIME・d(DELIVERY)を含め様々な分野にITS技術の導入を積極的に行っている。

 高齢化の進展に伴い、介護者および被介護者双方から介護サービスの質向上のニーズが高まっており、各方面から様々な介護支援策が講じられている。トヨタもこれまで福祉車両ウエルキャブシリーズの開発を通じて自動車メーカーの立場から介護支援に積極的に取り組んできた。
今回はこの車両開発に加え、車両の使い方という観点からITS技術を応用して開発した“TIME・w”により、被介護者やその家族がより安心して利用できる送迎運行を提案するものである。

 このシステムの特長は、送迎用車両に搭載したGPSボイスナビゲーションによりドライバーは不案内な場所でも正確な送迎が可能となることや、車両と施設間をデータ通信ユニットで結ぶことで施設においてリアルタイムに車両位置や送迎状況を把握できる点にある。これにより急な巡回先の変更、交通渋滞などによる送迎の遅れ、利用者の容態変化など様々な状況変化にも施設から車両に迅速かつ的確な指示が行え、きめ細かく柔軟な送迎サービスが可能となる。
 なお、車両と施設間の通信は通話料金や基本料金が割安なパケット通信方式*2を採用している。

 そのほか、従来人手により作成されていた送迎の配車計画をシステム化することで、より利用者の希望条件に沿った送迎スケジュールが作成できるほか、利用者数の増減に応じた適切な配車・保有台数の算出や既存の経理システムとの連携も可能であり施設側での管理業務の効率化も図れる。
 また、本システムは在宅介護サービスの巡回訪問への展開など、送迎サービス以外の介護サービスへの応用も提案する予定である。

 なお、このシステムは第1号として近々医療法人豊和会 老人保健施設かずえの郷(愛知県豊田市)に納入予定である。

*1
TIME・w
TOYOTA INTELLIGENT MOBILITY ENHANCEMENT for WELFARE
*2
パケット通信
送信されたデータ量に応じて料金課金される通信方式

以上

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