Jan. 01, 2006

年 頭 所 感

 

 新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。


取締役社長
渡辺 捷昭

 新しい年を迎えるにあたり、本年の抱負と取り組みについて述べさせていただきます。

 さて、自動車業界においては、これからも世界規模での競争が一層激しくなることは確実であり、また同時に、地球環境の保護、エネルギー問題や交通安全対策といった課題に、 高い次元で取り組むことが、一層強く求められております。従って本年も、昨年と同様、「成長を続けながら、足元を固めていく1年」と位置付け、「成長に向けた戦略的な取り組みを強化すること」、「成長のために足元をしっかりと固めること」、 を2本の柱として取り組んでまいります。

 「成長に向けた戦略的取り組みの強化」には、「技術開発」と「現地化」の2つのテーマがあります。
 まず、「技術開発」ですが、常に攻める姿勢を失わず、環境・安全・品質・原価の4つの観点より、他社に負けない研究開発・製品設計や生産技術開発を進めてまいります。
 特に、「環境対応」については、従来より、経営の最重要課題として、全力で取り組んでおり、昨年は、第2世代のハイブリッドシステムを搭載したSUVを発売し、ラインナップを一層充実させました。世界の多くのお客様にご支持いただき、ハイブリッド車の世界累計販売は50万台を超えております。今春には、レクサスブランドのGSにハイブリッド車を設定いたしますが、レクサスはハイブリッドシステムをキ-テクノロジーとすることにより、他のプレミアムブランドとの差別化を図ってまいります。本年のハイブリッド車の生産計画は40万台程度とし、2010年代のできるだけ早い時期における年間100万台販売の 実現に向け、ハイブリッド技術のさらなる進化を目指すとともに、コスト低減にも努めてまいります。

 「安全」についても、春には、運転者の状態に応じて作動する新しいプリクラッシュセーフティシステムを搭載した車を発売する予定であり、「より安全な車両開発」はもとより、「人に対する交通安全の啓発活動」「交通環境整備への参画」を通じ、交通安全への取り組みを強化してまいります。
 また、商品面では、レクサスブランドのフラッグシップとなるLSを投入し、グローバルなプレミアムブランドとしての確固たる地位を確立したいと考えております。
 2つ目のテーマの「現地化」ですが、北米では、新設のテキサス工場でピックアップトラック・タンドラの生産を、また、ケンタッキー工場では、北米初のハイブリッド車生産となるカムリハイブリッドを、さらに中国では広州でカムリの生産をそれぞれ開始いたします。
 このように海外事業がさらに拡大するなか、グローバルな視点での人材育成や現地事業体の自律化を含め、なお一層の現地化を進めてまいります。その過程では、それぞれの地域の特性や身の丈を踏まえ、それぞれに最適な手法を見出し実行するとともに、こうした取り組みを通じて、各地域の雇用の増加や産業の育成・振興、ひいては地域の経済・社会の発展に 貢献していく、各地域で市民権を得て「現地の企業」として認められることが、さらなる成長のためには不可欠だと考えております。

 一方、「成長のための足元固め」という観点からは、次の三つがポイントだと考えます。
 1つ目は、「品質向上活動の再徹底」です。品質管理の一層の強化に努め、品質の確保に万全の体制で取り組んでまいります。「品質は工程で造り込む」という一人ひとりの強い意識と仕組みをきちんとしていくことが大切だと思います。
 2つ目は、「コスト競争力の向上」です。現在の取り組みを強力に推し進めるとともに、一人ひとりの原価意識を向上、さらには全く新しい発想やアプローチでの技術開発や原価 低減に取り組み、性能・品質面で優れた商品の低コストな開発にも取り組んでいきたいと思います。
 3つ目は、「基礎体力の強化」です。どのような需要の変動にも即応できる柔軟な生産・供給体制をグローバルなレベルで整えてまいります。同時に基礎体力の強化には人づくりが 重要です。現地現物で身の丈を評価することにより、問題の見える化を図り、変えるべきものについては思い切って変える、維持すべきものについてはしっかりと維持することを 一人ひとりが実行できるような従業員の意識改革と、チームとして最大限の効果を発揮するような風土作りを進めてまいります。

 最後になりますが、かねてより申し上げておりますとおり、自動車のプレゼンスが高まり、社会的な要請が益々大きくなる中、これからは企業の「存在意義」自体が問われます。トヨタが存続し、事業活動を展開すること自体が世界の人々の幸せにつながるよう、「もう一段の飛躍」に向け、引き続き「愚直に、地道に、徹底的に」前進してまいりたいと思います。

 今後とも、一層のご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

以上

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  • 取締役社長渡辺 捷昭
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