Oct. 06, 2000

ECO.

トヨタ、EVコミューターシステム“Crayon”の運用範囲を拡大

 

 トヨタ自動車(株)(以下トヨタ)は、2人乗り小型電気自動車「e-com」を多人数で共同利用するシステム『Crayon※1』の運用実験を、今年10月末より、従来のトヨタ社内から、関係取引先4社((株)豊田自動織機製作所、アイシン精機(株)、(株)デンソー、アイシン・エィ・ダブリュ(株))に拡大する。
 Crayonの運用実験は99年7月に開始された。実験ではトヨタの事業所内に8ヵ所、豊田市役所に1ヵ所のデポターミナル(デポ : 充電・予約機能を備えた駐車場)が設置され、会員として登録されたトヨタの従業員及び豊田市役所職員計約600名が、計50台のe-comを出張や社内での移動、毎日の通勤手段として共同利用している。
 今回の運用拡大では、Crayon会員にトヨタの取引先4社の従業員約100人を加え、各社にそれぞれ1つのデポを設置、会員700名と50台の車両、13ヵ所のデポを抱えるシステムとして、より実用に近い運用実験を行うことにしている。

  Crayonは、(1)イントラネットに接続されたパソコンやデポに設置された専用端末機による「予約・充電管理システム」、(2)端末機での予約や車両キーとして会員カードを利用する「ICカードシステム」、(3)運行管理センターでのITS技術を利用した「ロケーション管理システム」、(4)VICS※2とMONET※3による「リアルタイム情報提供システム」、(5)利用時間や利用距離に応じた料金請求を行う「料金請求システム」などで構築されている。
 このような「EV共同利用システム」は、環境問題や交通問題を解決する手段として注目されており、都市部でのビジネス利用やリゾート地での観光、住宅地、団地等コミュニティでの買い物や最寄り駅までの通勤用途を想定した近距離移動手段として、各地で導入実験や導入の検討が行われている。
 トヨタではこの運用実験を通じ、車両やシステムの完成度をより高めるとともに、実験を広く公開して多方面からの意見を参考にし、将来の実用化に繋げていく考えである。
 なお、1年に及ぶ実験の成果を活かし、片道利用を原則として車両の乗り捨て・デポへの車両偏在を認めたり、デポに情報提供端末としての機能を搭載するなど、実験拡大に合わせて新たな利用システムを開発し導入している。

※1
Crayon(クレヨン)
21世紀に向け「夢のあるモビリティの絵を描く」イメージからネーミング
※2
MONET(モネ)
MOBILE NETWORK(トヨタ情報通信ネットワーク)
※3
VICS
Vehicle Information and Communication System(道路交通情報通信システム)

以上

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