May. 23, 2000
トヨタ自動車株式会社
バーチャル人体モデル“THUMS(サムス)”を開発
-事故時の乗員の傷害について、きめ細かく再現・解析が可能-
株式会社豊田中央研究所(代表取締役所長 : 高橋 理一)とトヨタ自動車株式会社(社長 : 張 富士夫、以下 : トヨタ)は共同で、車両衝突時の傷害が再現・解析できるコンピューター解析用人体全身モデル“THUMS*”を開発した。
“THUMS”は、人体の形状はもとより骨の強度、皮膚の柔軟性など人体の力学特性を再現したコンピューターモデルであり、特に脊椎や手足の関節部は、靭帯・腱などを含め詳細にモデル化した点に特長がある。また、8万を超える有限要素数を有しつつ、特定した部位に注目した傷害解析により解析計算時間を短縮し、車両衝突シミュレーションと組み合わせた迅速な傷害解析を可能にしている。
今後トヨタは、このモデルを用いて車両衝突時における様々な傷害の発生メカニズムを明らかにすることで、事故解析や実車試験とあわせて、より高度な衝突安全性を追求した車両開発を行っていく。
従来から、衝突安全性の試験・研究では、衝突ダミーが使用されている。しかし、市場の事故は様々であるため人体各部の傷害程度や内容を正確に予測するには衝突ダミーでは限界がある。
これに対し、コンピューター上のバーチャル人体モデルである“THUMS”は、全身を骨・皮膚・靭帯・腱にいたるまで形状や強度をより人体に近いものに再現しており、車両衝突シミュレーションと組み合わせることで、衝突時の人体の挙動や傷害の発生をコンピューター上で予測・評価できる。
このため、骨折や関節部の傷害について様々な衝突を模擬したよりきめ細かい再現・解析が可能になる。さらに“THUMS”は、乗員の傷害評価だけでなく、歩行者事故の傷害評価にも応用可能である。
今後は、骨格・皮膚・靭帯のみでなく、内臓や筋肉なども順次組み込んでいきながら“THUMS”をさらに進化させる予定である。
なお“THUMS”は、5月24日から始まる自動車技術会春季大会で展示発表した後、株式会社トヨタシステムリサーチなどを通じて研究機関への提供を予定している。
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以上
ご参考