Jun. 27, 2000
トヨタ、大英科学博物館に「豊田G型自動織機」を寄贈
トヨタ自動車(以下、トヨタ)は、豊田佐吉(とよださきち)翁が発明・完成させた無停止杼換式(ひかえしき)自動織機「豊田G型自動織機」(1926年 株式会社豊田自動織機製作所製 以下、豊田G型)1台を大英科学博物館(ロンドン サウスケンジントン)の常設展示品として寄贈した。
寄贈された豊田G型は、大英科学博物館においてエリザベス2世陛下・エジンバラ公フィリップ殿下ご臨席の下公式にオープンしたギャラリー“現代社会の形成”(Making the Modern World)において展示される。
同ギャラリーは、産業革命・工業化以降における過去250年にわたる文化・技術史に焦点を当て、産業の発展に大きく寄与した「世界初」の技術を中心に年次・年代毎の展示を行う。
今回の寄贈は大英科学博物館の要望を受け、トヨタと株式会社豊田自動織機製作所(以下、豊田自動織機)が協力して実現したもの。
展示機は、1926年に豊田自動織機において製造され、国内で使用されてきたもので、1929年に、当時世界一の紡織機メーカーであった英国・プラット社(Platt Brothers & Co., Ltd.)に特許権を譲渡した直後に見本台として送られたものと同一仕様となっている。
また、寄贈にあたっては動態展示可能状態に整備され、同ギャラリーで唯一、時間帯を決めて運転し、実際の機能を見学者に見ていただけるものとなる。
豊田G型はトヨタグループの始祖である発明者、豊田佐吉が世界で最初に発明・完成させた、当時最高性能の無停止杼換式自動織機である。
佐吉は織機の発明を志した当初から、その動力化・自動化に取り組み、1896年に日本で最初の動力織機を発明・完成させた。自動織機については、1903年のよこ糸を自動的に補給する「自動杼換装置」をはじめ、たて糸・よこ糸の切断自動停止装置のほか、各種の自働化・保護・安全装置などを次々と発明、その全てを自ら製作し、試験・研究を重ねた。
その上、「創造的なものは、完全なる営業的試験を行うにあらざれば、発明の真価を世に問うべからず」との強い発明信念のもと、紡織一貫の大規模で長期にわたる試験を続け、1920年からは息子の喜一郎(トヨタ創業者)も参画し、1924年11月、ついに高速運転中に少しもスピードを落とすことなく円滑に杼を交換する、画期的で完全な自動織機として完成させた。
その結果、従来の普通織機に比べ生産性を一躍15倍とし、製織能率・織物の品質なども画期的に向上させたうえ、取り扱いを容易にするなど、人件費と設備費を大幅に減少させた。これは、当時のアメリカ・イギリス製の自動織機を総合的な性能と経済性ではるかに凌駕するものであった。
1926年には豊田G型を製造・販売する、豊田自動織機を設立し、最初の1年で約6,000台を受注、1937年までに6万台以上の豊田G型が生産され、その販路は国内はもちろん、中国、インド、アメリカなど広く各国にわたった。
国際労働会議の決議に基づく工場法の改正、「女子年少者の深夜業禁止」の実施に控え、また第一次大戦後の世界的産業・経営合理化対策が進められた当時、時代を先取りしたともいえるこの自動織機は、日本の織布業の発展に多大な貢献をするとともに、トヨタグループの生成発展の元となった。
こうした中、当時世界一の紡織機メーカーであったイギリスのプラット社は豊田G型の性能を高く評価し、日本・中国及び米国を除く全ての国において豊田G型を独占的に製作、販売できる特許権を10万ポンドで取得した。日本の特許が世界的に認められ高額で外国へ譲渡されることがまれであった当時のこの出来事は、わが国の技術史上に特筆される光輝であり、その後多くの人々に大きな自信と励みを与えることになった。
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