Oct. 26, 2016

藤田 博也(10・11代目カローラ開発責任者)

 

藤田 博也(10・11代目カローラ開発責任者) 藤田 博也(10・11代目カローラ開発責任者)
2016年10月26日

藤田 博也
(10・11代目カローラ開発責任者)

会社生活の半分以上をカローラとともに

 私にとってカローラは、会社生活の多くをともに過ごしてきた古くからの友人のような存在です。約20年前からカローラの開発に携わってきて、いまもトヨタ自動車東日本で、生産に加えて一部地域向けのカローラの開発も担うという立場で関係が続いています。

 カローラ開発に任命された当時、すでにカローラは世界中に多くの生産工場を持ち、世界各地で販売されていたわけですが、そのバリエーションの多さにまず驚かされました。例えば担当したエンジンルームの種類ですと、搭載エンジンの種類やハンドル位置の違いなどもあり、50種類以上のエンジンルームの配置を考えなければならなかったのです。

 毎年100万台以上を生産・販売しているわけですから、当然、世界中のお客様から多くの“声”が届きます。開発責任者になった時、この期待に一つ一つきちんとお応えしていくようなクルマをつくらなければならない、そんな重責をあらためて感じました。

 カローラの開発を担当するスタッフは「伝統」や大変多くのお客様にご愛顧いただいていることを源にして、みなモチベーションが非常に高いのです。「歴代モデルに負けないような新しい価値を提供するぞ」という自信や誇りに満ち溢れています。開発責任者としては、そのような思いもしっかりと受け止めてまとめあげ、形にしていくことを心がけました。

 私が開発に携わった9・10・11代目モデルでは、モデルチェンジのたびに「カローラという車名をどうするか」という議論がありました。カローラは非常に大きなものを背負っています。まず「カローラ」という看板を掲げた販売店があります。その背後には多くのカローラに乗られるお客様がいます。そのお客様の多くは「次も新しい“カローラ”を見せてくれるだろう」と期待しています。毎回そのようなお客様のご期待に応えるべきだという声が優勢となり、「カローラ」の車名は存続しているのだと思います。

10代目カローラ

10代目カローラ

11代目カローラ

11代目カローラ

お客様ニーズに最大限応えるクルマづくり

 日本で販売される現行型(11代目)は国内専売モデルです。日本のお客様にベストなカローラをつくることに照準を定めました。例えばアクアのハイブリッドユニットを共用して荷室スペースを損なうことなく、ハイブリッド車を投入したり、日本人の体格に合うような視界性能の確保や操作性のチューニングも可能になりました。今後も、各地域のニーズに応じたクルマづくりがどこまでできるかが、カローラが生き残るためのキーポイントの一つだと思います。

藤田 博也

プラスアルファを追求するクルマであり続けたい

 今後のカローラに期待することの一つは、「プラスアルファの先進価値を大事にする」ということです。自動運転やPHV(プラグイン・ハイブリッド車)、燃料電池自動車などの次世代技術を、世界のトレンドを見極め、必要とあらば、一気呵成に展開していくクルマであり続けて欲しいですね。私自身も、今後とも微力ながらその一翼を担っていきたいと考えています。

藤田 博也

藤田 博也(10・11代目カローラ開発責任者)

1980年トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)に入社。エンジン開発部署でV8エンジンの開発などを担当した後に1997年から9代目カローラやウィッシュなどの製品企画を担当。10代目・11代目カローラの開発責任者を務める。製品原価企画部長を経て2015年からトヨタ自動車東日本執行役員。

藤田 博也