Nov. 04, 2016

カローラトリビア

 

カローラトリビア カローラトリビア
2016年11月4日

カローラトリビア

初代のオレンジウインカー導入も先進的なものであった

 初代カローラのカタログを見てみると、リアテールランプのウインカーがオレンジになっている。「当たり前のことなのに、それがなにか?」と思われるかもしれないが、初代カローラのデビュー当時はオレンジ色のウインカーが珍しく、多くのクルマのウインカーは赤(ブレーキランプやテールランプと共用のケースも多かった)。日本国内で日本車のウインカーでオレンジ色が多数派となるのは70年も半ばごろになってから。アメリカ国内が赤いウインカー(いまでも多数派)だったこともあったが、欧州車はすでにオレンジウインカー化が進んでおり、このような細かいトレンドもしっかり先んじて採り入れていた。

初代のオレンジウインカー導入も先進的なものであった

歩行者にも気配りが十分だった3代目

歩行者にも気配りが十分だった3代目

 何気なく気になるのが、3代目のバンパーの端っこについていたゴム。ポールなどにぶつけたときに、鉄製だったので、バンパー変形によりボディを傷つけないためのものかなと思いきや、実はボディとバンパーの端の隙間に歩行者の衣服などを引っかけないためのものだった。他にもカドのないエンブレムの採用も歩行者保護のため。今では歩行者安全保護の対策は当然行われているが、当時は公害問題が深刻で厳しい排気ガス規制などへの対応に追われながら、ベストセラーカーの使命として、歩行者への細かい気配りも行なわれていた。

歩行者にも気配りが十分だった3代目

4代目の廉価グレードのグローブボックスにフタがない本当のワケ

 4代目カローラセダンでは、1300スタンダード、1300カスタムDX、1300DXのグローブボックスにはフタがなく、大きな穴が開いているだけの“固定式(フタがあるのは可動式)”だった。廉価グレードだけの設定なのでコスト調整の一環と思うのは早合点。廉価グレードは法人の営業車などの需要があり、そのような使われ方の場合はグローブボックスに、それぞれの業種に必要となる色々な書類などの仕事道具を入れ、それを頻繁に出し入れすることが多いため、かえって“フタがあったほうが邪魔”との意見も聞かれたことを受けフタなしの固定式にしている。

4代目の廉価グレードのグローブボックスにフタがない本当のワケ

4代目「ジウジアーロデザイン」説!?

 4代目、つまりセダンとしてはFR最後のカローラのデザインはジウジアーロさん(注:自動車のデザインも多数手がけたイタリアの著名デザイナー)が行ったとの話は今も都市伝説のように語り継がれている。オーソドックスな3ボックススタイルなのだが、面構成が滑らかで飽きのこないエクステリアデザイン、GL以下のグレードのフェンダーミラーが、当時主流だったタルボ型や平型ではない独特の洒落たデザインだったこと。さらにインテリアでは、ドアの内張りでドア開閉ハンドルがアームレストの下にあり、ウインドウを開閉するレギュレーターハンドルがかなり上にレイアウトされ、異彩を放っていた。さらにはタコメーター付きのSEやGTとは異なる独特のオリジナルレイアウトのタコメーターレス計器盤をGL以下に採用するなど、トヨタのデザインらしくない部分があまりにも多かったゆえに、“ジウジアーロデザイン説”がまことしやかに語られるようになった。果たして真相は…というと、残念ながら(?)、ジウジアーロさんではなくトヨタのデザイナーが手がけていたのでした。

4代目「ジウジアーロデザイン」説!?

ダミースペースのOKモニターはGTにだけ許された専用オプション

ダミースペースのOKモニターはGTにだけ許された専用オプション

 4代目のインパネには、ラジオとエア吹き出し口の横に、“COROLLA”とロゴの入った、ダミーのフタがある。このスペースにはオプション設定となっているOKモニターが設置されたが、このOKモニターをオプション選択できるのはGTだけだった。OKモニターは、例えばブレーキランプのバルブ切れ、バッテリー液量、エンジンオイル、ラジエター冷却水をチェックし、バルブ切れや液量不足などが発生したら警告灯がつくというもの。限られたグレードの、しかもオプションのためのスペースなだけに、4代目オーナーの間では「ここには何がつくんだろう」と思いをめぐらせた人も多かったようだ。

ダミースペースのOKモニターはGTにだけ許された専用オプション

分割可倒式リアシートは上級グレードの証!?だった(5代目)

分割可倒式リアシートは上級グレードの証!?だった(5代目)

 シリーズ初のFFとなった5代目では、デビュー時にSEサルーン、SEそしてSRに“3ウェイトランク”が標準装備された。これは“分割可倒式リアシート”や“トランクスルーシート”などと呼ばれているもので、たいていは後席背もたれが左右分割して前に倒れるようにして、トランクと車内がつながり長尺な荷物の搭載などを可能にするもの。5代目以降、6代目、7代目ではGTのみ、8代目ではSクルーズ(前期モデル)、9・10・11代目ではラグゼール(11代目ラグゼールは前期で廃止)に標準装備された。つまりカローラにおいて分割可倒式リアシートは上級グレードだけに許された装備であったが、それゆえにその存在を知る人も少なかったようだ。

分割可倒式リアシートは上級グレードの証!?だった(5代目)

5代目途中でGT追加

 5代目カローラでは、1984年10月にFR方式を採用する86シリーズに搭載されていた4A-GEU型エンジンを横置きに搭載する“セダンGT”が追加設定されている。この時、同時に“2ボックス上級生”としてカローラシリーズのハッチバック版“FX”がデビューしており、FXがFF方式を採用しGTグレードには4A-GEU型が横置きで搭載されたので、セダンにも追加設定となった。5代目はデビュー当初こそ、若い世代を意識したラインナップやキャラクター作りをしていたが、1985年のマイナーチェンジで従来シリーズのようなゴージャス路線に回帰。それでもGTグレードは引き続き設定され、6代目、7代目、8代目(後期型で復活)まで設定された。

5代目途中でGT追加

6代目は1300㏄が実はおすすめだった

 1600ccと1500ccに「ハイメカツインカムエンジン」と呼ばれた新たなエンジンを搭載して話題となった6代目カローラだが、ガソリンエンジンのなかで1300㏄だけはSOHCエンジン(従来2本だったカムシャフトを1本にして吸気と排気の両方を動かすエンジン)を搭載していた。1500ccと1600ccがともにA型系であるのに対し、1300㏄は当時のターセル、コルサ、カローラⅡに搭載されていたE型系のエンジンを搭載。絶対的なパワーは1500ccにはかなわないものの、高回転志向で軽快にまわるとされていたことから、ハイメカツインカムとは味わいも少々異なり、予算的に1500ccにわずかに手が届かない人や、はじめから“排気量が大きい”として1500ccを敬遠するひとには、「実は1300㏄もおすすめなんですよ」とすすめるセールスマンもいたようだ。

6代目は1300㏄が実はおすすめだった

10代目ラグゼールにリアスポイラー標準装備

 10代目はセダンに“アクシオ”というサブネームがついたが、基本的には9代目のキャラクターを引き継いでいる。ラグゼールではインテリジェントキーシステムや、インテリジェントパーキングアシストなど、クラスを超えた装備がさらに充実していたが、隠れた注目点はリアスポイラーが標準装備されたこと。小さめでさほど目立たないのだが、木目調ステアリングや木目パネルを多用するラグゼールのキャラクターからすると、少々“浮いた”装備でもあった。折しもカローラユーザーの年齢層上昇が課題となっていたころで、若いお客様への訴求もねらっていたゆえの装備だったのだ。

10代目ラグゼールにリアスポイラー標準装備

11代目ブラウン内装はこだわり派

 日本国内専売となった11代目は“原点回帰”ということで、実用性向上に重きをおいて開発されたが、内装色を選ぶことができるというお洒落な設定にもなっている。通常、内装色が複数あると、ボディカラーごとに組み合わせパターンが決まっているが、11代目アクシオの場合は、ハイブリッドGと1.5Gは設定されている外板色すべてでシート地の色が黒かフラクセン(タンレザーのようなブラウン系の色)を選ぶことができる。ただし、注文時に特に希望しなければ黒が標準シート色となるため、街なかでフラクセン色シートのカローラを見かけた場合はそのオーナーは“こだわり派”と言っても良いだろう。

11代目ブラウン内装はこだわり派