May. 27, 2010
トヨタ自動車、バーチャル人体モデル“THUMS”を進化
―内臓傷害の解析まで可能な“THUMS Version 4”を開発―
トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、車両衝突時の傷害を解析できるバーチャル人体全身モデル“THUMS(サムス)*1”を進化させ、骨格や脳に加え、新たに内臓も詳細にモデル化し、内臓傷害の解析まで可能な“THUMS Version 4(サムス・ヴァージョン・フォー)”を開発した。 “THUMS Version 4”では、大学など外部研究機関と連携し、高精度CT*2スキャンを用いて、人体の内部構造の形状を詳細に計測。内臓の形状をはじめ内臓間の位置関係や連結状態まで精密にモデル化し、従来型の約14倍もの情報量をもつ人体モデルを完成。その結果、衝突時の胸腹部の変形状況および内臓の受傷メカニズムがより詳細に解明できるようになり、内臓傷害の解析が可能となった。脳・内臓は車両衝突時に受傷しやすく、衝突事故時の受傷部位の約半数を占めるとされており、“THUMS Version 4”により、こうした傷害の解析も可能となった。 トヨタは、今後も“THUMS”を用いて、車両衝突時の内臓傷害等を解析し、シートベルトやエアバッグなどの安全装備の開発・改良に活用していく。また、平均体格の成人男性のモデルのみならず、小柄女性や大柄男性のモデルなどのバリエーションを揃え、より様々な事故実態に対応していく。 なお“THUMS Version 4”は、トヨタテクニカルディベロップメント(株)を通じて、今秋に発売を予定している。 |
【 THUMS Version 4 】
*1 | THUMS(サムス): | Total HUman Model for Safety 人体の形状はもとより骨や皮膚に至るまで、身体各部位の特性を模擬することで、車両衝突時の骨折・靭帯断裂などの詳細な解析が可能。 1997年に(株)豊田中央研究所とトヨタ自動車(株)で共同開発に着手。2000年にVersion 1を完成・市販開始。2004年に顔面・骨を精密にモデル化したVersion 2を完成。2006年に脳を精密にモデル化したVersion 3を完成させ、2008年に市販開始。 |
*2 | CT : | Computed Tomography(コンピューター断層撮影法) |
以上