Dec. 22, 2016

CV Companyの取り組みについて

 

トヨタでは、2016年4月より製品軸のカンパニー制を導入していますが、そのうちのひとつ、商用車などを主に扱う「CV Company」の概要と取り組みについて、12月22日の新型コースターの発表とあわせてご説明いたしました。「世のため、人のため」をミッションに掲げるCV Companyの詳細は以下をご覧ください。

新型コースターの詳細はこちら
http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/14572758/

CV Company Presidentの増井です。
本日はお忙しい中、新型コースター・CV Companyの説明会にお越しいただき、誠にありがとうございます。
私からはCV Companyの概要と取り組みについてお話させていただきます。

ご案内のとおり、トヨタでは、今年の4月に製品軸のカンパニー組織を新たに作りました。
狙いは、一気通貫な機能を製品軸で集約することで、意思決定のスピードと質を高め、持続的成長に向けたもっといいクルマづくりを推進することです。
4月に発足した7つの製品軸カンパニーに加えて、来年1月には、ダイハツを主体とした「新興国小型車カンパニー」が発足します。また、EV事業を加速させるべく「EV事業企画室」を立ち上げるなど、環境変化に強い危機感を持ち、全包囲で体制を整えています。
そのなかで、CV Companyは、いわゆる「商用車」に加えて、SUV・トラック・ミニバンなどの車種群に責任を持つカンパニーです。
また、CV Companyは、トヨタグループでCVの開発・生産を数多く手掛けるトヨタ車体が中核メンバーとなっており、私自身はカンパニーのプレジデントに加えて、トヨタ車体の社長も兼任しています。

CV Companyは「物流」そして「人を運ぶ」という、人々の生活に欠かせないクルマを担当しています。
だからこそ、「世のため、人のため」という思いを胸に、世界中の人々の生活を支え続ける「もっといいCVづくり」に取り組むこと。これが私たちの1つ目のミッションです。
また、CV Companyのクルマは、台数規模で言えば、2015年実績で全体の919万台のうち、262万台、およそ3割に及びます。
全体収益への貢献度は大きく、トヨタの「屋台骨」として、「地盤をしっかりと固める」ミッションを担っていきたいと思います。

CV Companyのクルマをいくつかご紹介します。
まずは代表選手である「ランドクルーザー」シリーズです。
高い走破性能で道なき道を切り拓き、圧倒的な耐久性を誇るランドクルーザーはまさに世界各地の生活を支えているクルマです。

トヨタで「IMV」と呼んでいる「ハイラックス」「フォーチュナー」「イノーバ」も、CV Companyの「ベストセラーカー」として、ランドクルーザーに近い役割を担い、世界中のお客様にご愛顧いただいています。

米国を主戦場とする「タンドラ」や「タコマ」は昨今のトラック需要の高まりもあり、大変重要なクルマです。

「ヴォクシー」「ノア」「エスクァイア」などの日本で生まれたMINIVANも担当しています。
メインマーケットは日本ですが、大人数でクルマに乗ることが多い新興国などでも販売されています。

「コースター」や「ハイエース」などのVANは、一見地味かもしれませんが、送迎を中心に、様々なシーンで人々の移動や物流を支える「縁の下の力持ち」という存在です。

CV Companyは福祉車両であるウェルキャブ架装も担当しています。
「すべてのお客様に移動の自由」をご提供できる、大変重要なクルマです。

ここからは、CV Companyのこれからの取り組みについて大きく3つお話しします。

ひとつめは「もっといいCVづくり」についてです。

お客様や社会が望むクルマをスピーディーにお届けするために、まず「タイムリーな商品強化」に取り組みます。
そして、中長期の目線では、「ラインナップ拡充」と「新技術けん引による未来対応」に取り組みます。

タイムリーな商品強化について具体的に申し上げます。
今までは、トヨタ全体の優先順位のなかで商用車系には陽が当たりにくく、必ずしもタイムリーな商品強化ができていないこともありました。
今後は、一定の条件はあるものの、カンパニー内で優先順位をつけて開発を推進いたします。
人々の生活を支えるクルマだからこそ、地道に商品強化を図っていきたいと考えています。
本日発表する新型コースターは24年ぶりのフルモデルチェンジであり、「タイムリーな商品強化」を進めていく象徴となる第1号車です。

地道な商品強化の一例です。
CV Companyのクルマのなかで、ご自分で外出することが難しい方々の「地域の足」として使われるクルマがあります。
そこで、「地域の足」としての利便性をさらに高めるべく、2列目シートの一部を外して乗降サポート用の手すりを装備した車両を開発しました。
今後ミニバンの一部に設定する予定です。

ウェルキャブ開発では、乗降性向上を実現した新開発リフトアップチルトシートを当初の計画よりも2年近く前出しして、今後ミニバンの一部に設定する予定です。

続いてラインナップ拡充についてです。
これまでは、ある部分では個々の車種ごとの「点」で戦ってきましたが、これからは、カンパニー制になったことで CV Company担当車種を俯瞰(ふかん)し、それぞれも車種の特性や担うべき役割を踏まえ、車種群での全体最適を考えた、いわゆる「『面』でのラインナップ戦略」に取り組んでいきます。
そして、ラインナップ戦略をもとに、フレームシルエットの統一やプラットフォーム共用化などで商品力と開発効率を同時に向上させることにより、限られたリソーセスのなかであっても、お客様にとって魅力のあるCV商品ラインアップをスピーディーに拡充することができると考えています。

次に新技術けん引です。
CV Companyのクルマは、環境や安全など、実は「社会的な負のインパクトが大きい」という課題を抱えています。
また、商用車系は、コストや車両の構造などにより先進技術導入で乗用車に遅れを取ることが多いのも事実です。
本来は、「生活や仕事を支える」クルマだからこそ、FCVや自動運転関連技術など「社会問題を解決しうる技術」を積極的に導入する必要があります。
「世のため、人のため」に向けたひとつの方法として、「CV車種から先進技術の普及をリードするんだ」という気概を持って、検討を進めたいと考えております。

次はバリューチェーンについてです。

B to Bを中心としたお客様が多いCV Companyでは、新車のご提供に加え、バリューチェーン全体に目を向けると、お客様のさらなるニーズに応える余地が大きいと考えています。
ある一例では、お客様がクルマに支払う費用の内訳を見ると、新車購入費用は約3割で、残りの7割は用品・特装や保険、サービスなどのバリューチェーンが占めています。
海外でも、車両販売に加えて運行管理などを要望されるケースもあります。
ですから、私どもでは、単にクルマというハードを売るだけではなく、ソフトの面、あるいはバリューチェーンの部分でもお客様の嬉しさにつながる取り組みを進めていきたいと考えております。

具体的な方向性としては、日本では、今後販売店と連携して、バリューチェーン全体での「トータルサービス」の拡充に取り組みたいと考えております。
海外では、国・地域により状況が大きく異なるため、各国の状況を分析したうえで、地域ニーズに合ったビジネスモデルを検討していきます。
そして、これらの取り組みを進めるため、バリューチェーンの事業企画を検討する組織をカンパニー内に立ち上げます。
来年以降、カンパニー以外の関係者も巻き込んで全社レベルで議論を深めながら、様々な検討・準備を進めたいと考えております。

最後に仕事の変革についてです。

仕事の変革で最も重視しているのが「意思決定の迅速化」です。
まず、カンパニーの「機能一気通貫」の特徴を活かし、「機能を跨いだ」企画提案・実行の迅速化を進めます。
そして、私自身がトヨタ車体の社長を務めている強みを最大限活かして、トヨタ車体との一体経営により、「会社を跨いだ」経営と執行の迅速化を進めます。
また、これらを加速させるため「権限委譲」も進めていきたいと考えております。
トヨタのカンパニー制が目指す“仕事の変革”を進め、カンパニーの競争力を強化し、CV Companyの商品・事業の持続的成長につなげていきます。

迅速な意思決定の事例として、今年の9月に発表した「メキシコ工場でのタコマの生産能力増強」についてご紹介します。
従来の組織では、企画検討から決定・実行までかなりの時間がかかっていましたが、今回はCV Companyが主体となり、北米地域と連携してスピードを意識して進めたことで、わずか3ケ月で生産能力増強を決め、実行に移すことができました。
もちろん、スピードだけではなく、知恵を絞って投資額は抑制しています。
このように、「自分たちで意思決定を完結させる」くらいの気概を持ち、事業も商品もスピーディに取り組んでいきます。

最後にコースターについて一言申し上げます。
新型コースターは、CV Companyとして初のフルモデルチェンジ車で、「もっといいCVづくり」の第1号車です。
日本・海外で人々の生活や移動を支えるクルマでありながらこれまで長く大きな改良ができていませんでしたが、今回のフルモデルチェンジでは様々な技術を織り込み、快適性や安全性を大幅に向上させました。
商品だけではありません。
コースターはトヨタ車体の吉原工場で長年生産してきましたが、今回を機に、トヨタ車体グループの「岐阜車体」に生産を移管します。
新技術や新工法をふんだんに取り入れた「新しい生産ライン」を岐阜車体に新設いたしました。
このように、生産面も商品も「すべてが一新」された新型コースターは、CV Companyが今後進むべき道を象徴するクルマになったと考えております。

以上、CV Companyの概要をご説明申し上げてきました。
私たちは、カンパニー発足をオポチュニティと捉え、これからいっそう、「世のため、人のため」に、「もっといいCVづくり」を進めてまいります。
今後も、ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
ご清聴ありがとうございました。

ダウンロード(PDF)

  • プレゼン資料
    プレゼン資料