Jan. 01, 2008
年 頭 所 感
取締役社長
渡辺 捷昭
新しい年を迎えるにあたり、本年の抱負と取り組みについて述べさせていただきます。
近年、企業を取り巻く環境は大きく変化しております。なかでも最大の変化は、地球温暖化や資源枯渇、地球環境問題を契機とした、企業の社会的責任に対する要求の高まりであると認識しております。本年7月には「洞爺湖サミット」が開催され、「ポスト京都」の枠組みについて具体的な議論が行われるなど、地球環境問題は世界の関心を集め、自動車業界におきましても、「地球・社会との共生」が最重要課題となっております。
そうした中、私どもは、昨年、地球や社会の将来にわたる持続的な発展に貢献するための取り組みとして、「3つのサステイナビリティ」を追求していくことを発表させていただきました。3つとは、「研究開発」、「モノづくり」、「社会貢献」の分野ですが、本年につきましても、引き続き、この「3つのサステイナビリティ」を中心に「環境問題への対応」に取り組んでまいりたいと思います。
まず、「研究開発」すなわち「サステイナブル・モビリティ」の追求ですが、その役割の中心を担うのは、やはりハイブリッド技術です。1997年に発売したプリウス以来、弊社ではハイブリッド車の普及拡大に努めており、世界累計販売は125万台(*2007年11月末現在)に達しています。これによるCO2の排出抑制効果は、推定で500万トンにも及びます。今後は、2010年代のできるだけ早い時期に、年間100万台のハイブリッド車販売を実現させ、その先には「ハイブリッド技術の全モデル展開」を目指していきたいと考えています。また現在、日・米・欧で実証実験を行っていますプラグインハイブリッド車の実用化準備も着々と進めております。こうしたハイブリッド技術を支えているのが電池です。現在、プリウスなどに搭載しているニッケル水素電池に加え、エネルギー密度、出力密度に優れたリチウムイオン電池の開発・生産までの対応を精力的に進めております。さらに、エネルギー面の研究については、弊社のバイオ技術を活用した「セルロース系エタノール」の開発にも着手しています。トヨタでは、このように、クルマだけでなく、インフラやエネルギーも含め、総合的に捉えた「サステイナブル・モビリティ」のあり方を研究しております。
次に「モノづくり」においては、「自然を活用し、自然と調和する工場づくり」を目指す「サステイナブル・プラント」活動を、現在プリウスを生産する堤工場をモデル工場と位置付け、取り組みを進めています。その特徴は、「革新技術の導入とカイゼンによる飛躍的な環境パフォーマンスの実現」、「太陽光・風力などの自然エネルギーやバイオマス等の再生可能エネルギーの活用」、「工場での緑化や森作りを通じた、地域貢献と生態系保護」という3つの観点を踏まえた工場づくりです。こうした「サステイナブル・プラント」活動をグローバルに展開すべく、このほど各地域のモデル工場を決定しました。まず、米州では現在建設中のミシシッピ工場を、欧州ではイギリス工場とフランス工場、アジア地域ではタイのバンポー工場をモデル工場とし、「サステイナブル・プラント」活動をグローバルに展開してまいります。
次に「サステイナブル社会」に向けての「社会貢献活動」です。弊社では以前より、「トヨタの森活動」として、自然ふれあい体験型の環境教育に力を注ぎ、この10年間で、約2万5千人のお子様方に自然教育を受けていただきました。また、中国やフイリピンといった海外では、積極的に植林活動も行っております。
弊社では、このサステイナビリティを追求していく諸活動を、トヨタ「Tomorrowプロジェクト」と名付けることにいたしました。「Tomorrowプロジェクト」というのは、「明日の豊かな地球社会のために、企業としてあらゆる努力をしていこう」という気持ちを込めたものです。この名のもとに、活動を一層強化してまいりたいと思います。
自動車業界は今、いろいろな意味で、大きな転換点を迎えていると認識しております。例えば、BRICSなど新興国・資源国での市場拡大への対応、そして、先だって相次いで提示された米国のCAFE法案や、欧州のCO2規制案といった新たな規制強化の動きにも対応し得る、地球規模での環境・エネルギー問題への取り組みなどです。こうした情勢の変化に対応し、「変えるべくは変える、守るべくは守る」という判断を、一つ一つ行うことが極めて重要な時期であろうと認識しております。「質の向上なくして成長なし」と常々申し上げておりますとおり、量的な成長は、質的向上の結果としてついてくるものと考えております。そのためにも、「環境保全」と「企業活動」のバランス、また「品質」と「台数」のバランス、こうしたバランスを前提とした成長が企業経営に求められていると実感しております。
以上



