Aug. 04, 2017

3代目プリウス 2009-2015

 

3代目プリウス 2009-2015 3代目プリウス 2009-2015
2017年8月4日

3代目プリウス 2009-2015

 2009年5月に発売した3代目で、2代目から採用しているトライアングル・シルエットのデザインを引き継いだ。ボデーサイズは若干大きくなったが、CD値はさらに向上して0.25となった。機構的には、システムを一新したリダクション機能付THS Ⅱを採用したほか、エンジンを1.8リッター(2ZR-FXE)に拡大し、モーターも3JM型に強化することで、高速走行時の燃費向上を図った。さらにエンジンのロスを減らすため、トヨタ初となる電動式冷却水ポンプ、排気熱再循環式ヒーターシステムを採用。これらの燃費向上対策により、10・15モードで38.0km/Lを達成した。バッテリーはニッケル水素タイプを改良して用いた。また、新たに太陽電池をルーフに搭載し、その電力で駐車中の車内の換気を行なうソーラーベンチレーションシステムの装着車も登場した。

機能美を追求したデザイン、パッケージ

プリウスの象徴である「トライアングルシルエット※1」を更に進化させ、「エアマネジメント」で世界トップ※2の燃費性能に貢献

デザインの細部に至るまで風の流れを徹底追求

デザインの細部に至るまで風の流れを徹底追求

 「エコアイコン※3」というデザインテーマの下、より様々な人に幅広く使っていただきたいという思いでデザインをしました。空力性能を向上させた上で、先進的スタイリングと優れた居住性も実現する「エアマネジメント」を実施。ルーフピークの位置変更(下図)でトライアングルを強調しつつ、バンパーサイド面に平面を設けて風を整流させるエアロコーナーなどで、世界トップレベルの空力性能(CD値0.25)と燃費に寄与しました。

デザインの細部に至るまで風の流れを徹底追求

デザインの細部に至るまで風の流れを徹底追求

※1 前後のバンパーとキャビンの頂点を結んだ三角形をイメージしたサイドプロポーション
※2 量産ガソリン乗用車での比較。2009年4月現在。トヨタ調べ
※3 独自のプリウスらしさの継承と進化により、誰が見てもプリウスがハイブリッド車、エコの象徴と分かること

機能美を追求したデザイン、パッケージ

より優れた居住性やユーティリティを実現

 ボディサイズはほぼ従来のままに、プラットフォームの最適化およびハイブリッドバッテリーの小型化・配置の工夫などにより、室内のゆとりを拡大、より優れた居住性やユーティリティを実現しました。

より優れた居住性やユーティリティを実現

より優れた居住性やユーティリティを実現

進化したハイブリッド性能

ハイブリッドシナジードライブの進化・熟成

 「圧倒的な環境性能」と「走る楽しさ」のより高いレベルでの両立を目指し、システム全体の90%以上を新開発した、1.8Lガソリンエンジンにモーターとリダクションギヤ※1を組み合わせたハイブリッドシステム「リダクション機構付のTHSⅡ※2」を搭載。また、車両全体でのエネルギー効率の向上との相乗効果により、世界トップとなる燃費性能38.0km/L※3と2.4L車並みの動力性能を両立。特に高速走行時、夏・冬場の実走行燃費にも配慮。

※1 モーターのトルクを増幅し、大きな駆動力を発生する機構
※2 THSⅡ : TOYOTA Hybrid SystemⅡ
※3 10・15モード走行燃費。国土交通省審査値/Lグレードの場合

進化したハイブリッド性能

THSⅡの強み

①世界のお客様のご意見をフィードバック

トヨタは、1997年初代プリウスの発売から累計180万台以上のハイブリッド車を販売してきました。世界のお客様のご意見は様々で、賞賛だけでなく、厳しいものもありましたが、プリウスやトヨタへの期待が高いからこそのご要望だと真摯に受け止め、開発にフィードバックしてきました。3代目プリウスは、特に高速走行時や夏・冬場のエアコン・ヒーター使用時の燃費向上というご要望にこたえるため、試験を重ねました。お客様のご意見に、知恵を絞り、改善し続けてきたことがTHSⅡの強み、そしてトヨタの強みでもあります。

②燃費、走りに対して効果が大きいシステム

②燃費、走りに対して効果が大きいシステム

トヨタ調べによる比較イメージ

THSとTHSⅡの性能比較

項目 新型プリウス 従来型プリウス
エンジン 排気量(CC) 1,797 1,496
最高出力(kW[PS]/rpm) 73[99]/5,200 57[77]/5,000
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) 142[14.5]/4,000 115[11.7]/4,200
モーター リダクション機構
最高出力(kW[PS]) 60[82] 50[68]
システム 最高出力(kW[PS]) 100[136] 82[111]
パワーコントロールユニット 最大昇圧電圧(V) 650V 500V
ハイブリッドバッテリー 種類 ニッケル水素

約20%の軽量化を実現
─主要ユニットの小型・軽量化─

小型・軽量化されたパワーコントロールユニット

小型・軽量化されたパワーコントロールユニット

 今回のハイブリッドシステムは、約10%の燃費向上を図るとともに、多くの車種に展開できるよう、ハイブリッドユニットの小型・軽量・低コスト化を図りました。そのため、ハイブリッドユニットの90%以上を新設計。パワーコントロールユニットは、自動車への適用は世界初の直冷方式という冷却構造を開発し、約40%小型化。モーターは、大きな駆動力を発生するリダクションギヤと、集中巻線の採用で小型化・高出力化を図りました。また、電池はセル以外はすべて新設計し、ラゲージスペースを約30Lも拡大。これにより、システム全体で約20%の軽量化を実現。

小型・軽量化されたパワーコントロールユニット

小型・軽量化されたパワーコントロールユニット

エンジンの効率化を追求
─新開発1.8Lエンジン─

1.8L・直列4気筒エンジン「2ZR-FXE」

1.8L・直列4気筒エンジン「2ZR-FXE」

 エンジンの開発目標は、燃費を良くして性能も上げることです。今回、そのためのアイテムをたくさん織り込みました。
 まず1つ目は排気量アップ。性能を上げると同時に、エンジン回転数を下げて燃費を向上させました。2つ目は電動ウォーターポンプの採用。エンジン冷却水を、必要な時に必要な量だけ循環させるので、無駄な力を使いません。3つ目がクールEGRシステム。排気ガスを高効率EGRクーラーで冷却、その後、吸気経路に再循環させることでエンジンの燃焼効率を向上させています。

※Exhaust Gas Recirculation(排気ガス再循環)

1.8L・直列4気筒エンジン「2ZR-FXE」

1.8L・直列4気筒エンジン「2ZR-FXE」

標準の走行モードに加え、走りのシーンに合わせて選べる
─3つの走行モード─

標準の走行モードに加え、走りのシーンに合わせて選べる─3つの走行モード─

パワーモード
アクセル操作に対するレスポンスが鋭くなり、より俊敏な走りを実現

エコドライブモード
アクセル操作に対する駆動力と空調制御を省エネ化し、実走行燃費の向上に寄与

EVドライブモード
モーターのみでの静かでクリーンな走行が可能

標準の走行モードに加え、走りのシーンに合わせて選べる─3つの走行モード─

燃費向上をサポート

エコドライブモニター

 お客様のエコドライブサポート機能として、アクセル操作の目安となる情報をセンターメーター内に表示。エコドライブを楽しみながら、クルマのポテンシャルを最大限に引き出します。

燃費向上をサポート

進化した基本性能

プラットフォームの最適化により、走りの喜びと高い利便性を提供

 優れた直進安定性、フラットな乗り心地、軽快なハンドリングを実現しました。また、ハイブリッドバッテリーの小型化と最適配置により、ラゲージ容量を従来型より約30L拡大。リヤシートを倒さずに、ゴルフバッグ3個が収納可能です。

バッグドアを閉めた状態で、前席スライド最後端のシートバッグからバッグドア内側までの数値[すべての数値はトヨタ測定値であり、シートの状態、測定箇所により異なります]

  • 進化した基本性能
  • 進化した基本性能

時代の先端をいく装備・機能

ソーラーベンチレーションシステム/リモートエアコンシステム

 炎天下のパーキングなどで上昇する車内の温度に配慮し、駐車中に換気を行うことで室温の上昇を抑制。乗車直前のリモコン操作で車外からエアコンを作動させて温度を下げる、先進的なエアコンシステムも採用しました。

ソーラーベンチレーションシステム/リモートエアコンシステム

❶ソーラーベンチレーションシステム
ソーラーパネルで発電した電力を使用して室内を換気

❷リモートエアコンシステム
ハイブリッドバッテリーに蓄えた電力によりエアコンを作動し、乗車するときの暑さを軽減

  • ソーラーパネル付ムーンルーフ
    ソーラーパネル付ムーンルーフ
  • 室内温度の比較イメージ
    室内温度の比較イメージ

タッチトレーサーディスプレイ

 ステアリングに設定されたスイッチでのオーディオや空調、「エコドライブモニター」などの操作状況を、センターメーターに表示。手元のスイッチを見るよりも視線移動が少なくて済むため、快適で安全なドライビングに貢献します。

タッチトレーサーディスプレイ

スペック

グレード G S L
車両型式 DAA-ZVW30-AHXGB DAA-ZVW30-AHXEB DAA-ZVW30-AHXBB
重量(kg) 1,350 1,310
全長(mm) 4,460
全幅(mm) 1,745
全高(mm) 1,490
ホイールベース(mm) 2,700
エンジン型式 2ZR-FXE
エンジン種類 水冷直列4気筒横置DOHC
排気量(cm3 1,797
最高出力kW/(PS)/r.pm 73/99/5,200
代表するグレードのスペックを表示しております。
エンジン最高出力はネット値です。
このクルマの型式は、ZVW30(1800)です。

クルマの価値観を革新し続ける先駆の1台、
プリウスのすべてが飛躍的に進化

 まだハイブリッドという言葉が一般的でなかった1993年、21世紀のクルマに何が求められるのかを探る中、初代プリウスの開発が本格化しました。以降、自動車を取り巻く環境は想像をはるかに超えるスピードで変化し、「環境問題」「都市部でのクルマ離れ」など、深刻な課題に直面しています。このような変化の中、プリウスは環境・燃費性能の高さ、ハイブリッド技術の信頼性で、世界中から絶大な支持をいただき、販売台数も飛躍的に伸ばすことができました。それは、プリウスが「環境に配慮する心地良さ」という新しい感性的価値を提示できた結果でもあります。

 3代目プリウスに課せられた大きな使命は、ハイブリッド車が次々と登場する中、「ハイブリッド=トヨタ」という評価と実績を更に確固たるものにすること。そのために、先代の持つ価値と魅力「圧倒的ハイブリッド性能」「先進的スタイリング」「時代の先端をいく装備群」を継承しつつ、一層の磨きをかけ、更に「クルマ本来の基本性能」をも向上させることで、プリウスという先駆のハイブリッド車を、ここに大きく飛躍させました。その名にふさわしく、これからのハイブリッド車の新たな指標となり、更に多くの方々にお乗りいただける1台となることを願っています。

3代目プリウス チーフエンジニア 大塚 明彦

3代目プリウス
チーフエンジニア
大塚 明彦