Sep. 27, 2017

9. 自動運転技術に関するプログラム、パートナーシップおよび投資

 

自動運転技術開発へのトヨタの全体的な取り組み

自動運転技術開発へのトヨタの全体的な取り組み
自動運転技術に携わるトヨタの企業

日本

  • トヨタ自動車
    トヨタ自動車の先進技術開発カンパニーは、トヨタ全社として、全ての部門において関係する技術の調査、開発、試験を調整すると共に、以下に記載している全ての他の組織のリソースと作業を統括し、世界規模で社内の自動運転技術開発の取り組みを主導しています。
  • 豊田中央研究所
    幅広い分野での研究を手掛け、トヨタグループの現在、および将来の事業に貢献します。併せて世界の技術動向調査や新たな科学分野への挑戦を通じて、新事業につながる将来ビジョンを提示し、科学技術と産業の発展に寄与します。

北米

  • トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)
    ギル・プラット博士が率いるトヨタ・リサーチ・インスティテュートは、北米トヨタの100%子会社です。2015年に設立された同社は、トヨタの研究体制を強化することを目指し、1)クルマの安全性の向上、2)運転できない人の車の利用、3)屋外モビリティ開発技術を生かした屋内モビリティへの取り組み、4)人工知能およびマシーンラーニングの技術を利用した科学研究・発見の強化、の4つの目標を掲げています。
  • トヨタ・モーター・ノース・アメリカ リサーチ&デベロップメント(TMNA R&D)
    TMNA R&Dは、トヨタの北米におけるエンジニアリングおよび研究・開発活動の原動力となっています。ミシガン州のヨーク・タウンシップを拠点とするTMNA R&Dのエンジニア、科学者、技術者は、主に、車両開発、先進技術研究・車両の評価と衝突安全性の3つの分野に取り組んでいます。
  • トヨタ先進安全技術研究センター(CSRC : Toyota Collaborative Safety Research Center)
    トヨタ先進安全技術研究センターは、先端安全技術の開発と実用化を目的とした安全研究プロジェクトに焦点を当て、著名な大学、病院、研究機関、連邦機関と連携しています。研究分野には、予防安全/衝突安全の統合、安全にかかわる人間の経験に関する調査、ドライバーの状態検知とビッグデータ、安全性分析が含まれます。
  • トヨタコネクティッド
    トヨタコネクティッドは2016年に設立され、1)シームレスなコンテンツ連動型サービスの提供、2)顧客・ディーラー・販売代理店・およびパートナーに向けた最先端のデータ分析による製品開発サポートの提供という2つの主要な分野に取り組んでいます。また、AIやロボット工学に関する継続的な研究やトヨタ リサーチ インスティテュートの支援などを含む、トヨタの業務全般にわたる様々なデータおよびコンピュータサイエンスサービスも提供しています。同社はテキサス州と日本に拠点を置いています。
  • トヨタ IT開発センター(Toyota Info Technology Center)
    トヨタ自動車の子会社であり、次世代モビリティ社会研究、クラウドインフラアーキテクチャー、インテリジェントコンピューティング、ネットワーク、システム&ソフトウェアの5部門で構成されています。手掛けるプロジェクトには、次世代クラウドプラットフォーム研究、AIを用いた分散処理・解析基盤研究、車用通信ネットワークの知能化研究、などが含まれます。同社はカリフォルニア州と日本に本社を置いています。

欧州

  • 欧州トヨタ自動運転車研究所(TRACE)
    ブリュッセルの欧州トヨタ自動車先進研究チームは、TRACE(欧州トヨタ自動運転車研究所)と名付けられた、緩やかに組織された研究体制を中心に、欧州の専門家と自動運転車のコンピュータビジョンの分野で協力しています。現在の提携校は、ルーヴェン・カトリック大学、ケンブリッジ大学、チェコ工科大学プラハ校、マックス・プランク大学ザールブリュッケン校、スイス連邦工科大学チューリッヒ校です。それぞれの提携校は独自の研究手法で研究に貢献しており、全ての研究要素は、ルーヴェン・カトリック大学が所管する実験車両に統合されています。現在の研究活動としては、物体検知、強力かつ精密なトラッキング、全体状況分割および分類にかかる最先端のラーニングアルゴリズムなどがあります。単眼およびステレオカメラのアルゴリズムは、長距離深度の測定ができるようにします。通行計画と、車両制御のための即時の空間推計を目的としています。

自動運転技術開発におけるトヨタのパートナーシップ

トヨタ リサーチ インスティテュート(TRI)との連携

  • マサチューセッツ工科大学
    CSAIL(Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory)-トヨタ共同研究センターでは、自動運転から自己認識にいたるまで幅広い分野のプロジェクトに取り組んでいます。自動運転技術の一層の発展を目的として研究に取り組んでいます。
  • スタンフォード大学
    スタンフォード人工知能研究所(SAIL)は、人とコンピュータのインタラクションや人間とロボットのインタラクションの研究プロジェクトに従事し、画期的かつインパクトのあるアプローチ、アルゴリズム、データの開発に重点を置いています。このアプローチには、知覚、学習、推論、インタラクションの研究が含まれます。
  • ミシガン大学
    ミシガン州アナーバーのTRI研究施設は、ミシガン大学(U-M)と共同で、運転の安全性向上、パートナーロボット工学と屋内モビリティ、自動運転、学生の学習と多様性に焦点を当てた研究をしています。

トヨタ先進安全技術研究センター(CSRC)との連携

  • フィラデルフィア小児病院、バージニア大学、オハイオ州立大学
    大人と子供を被験者として、テストコース上で、事故回避行動や緊急ブレーキに対する主要な乗員の反応(運動学、動力学および筋活動)を定量測定するプロジェクトを進めています。
  • バージニア工科大学
    2025年の統合安全システム(ISS)導入後の残留安全問題を推定するための調査研究をしています。ISSには、全て予防安全システム(事故予防システム : 車両、歩行者、自転車との衝突を回避する自動ブレーキや車線逸脱防止など)と衝突安全システム(衝突被害軽減 : 高度エアバッグ、カーテンシールドエアバッグ、車体ルーフの補強、歩行者を保護するアクティブフードなど)が含まれます。
  • ミシガン大学、交通研究所
    自動緊急ブレーキ(AEB : Automatic Emergency Braking)や回避行動が作動した場合において、緊急事態をほとんど意識していなかった成人乗員の運動学的調査をテストコース上で行っています。
  • アイオワ大学
    運転者と歩行者/自転車の双方のシミュレーター調査により、歩行者と自転車利用者を検出して照らし出すアダプティブヘッドライトシステムの反応特性と、推定される負傷/死亡件数の低減効果を測定する研究をしています。
  • TASI-インディアナ大学パデュー大学インディナポリス校
    テストコース上で車両の道路逸脱時の警報、補助および制御システムの評価を行なうためのテストシナリオ、および手法を開発するプロジェクトを進めています。
  • マサチューセッツ工科大学、高齢化研究所
    このプロジェクトの目標は、視覚センサーから得られた車両環境の全方位認識に基づいて、ディープラーニングの開発をすることです。例えば、車両、歩行者、自転車、交通標識、建物、縁石などがディープラーニングの対象になります。
  • ウィスコンシン大学
    交差点での運転者同士のコミュニケーションの理論的および数学的構造を提供するプロジェクトを進めています。
  • カリフォルニア大学サンディエゴ校
    自動運転と人による運転との間での切り替えに関する計算予測モデルを提供するプロジェクトに取り組んでいます。このモデルでは、人間の運動や知覚行動、またシナリオや環境に起因する要因を取り込んでいます。
  • アイオワ大学-ナショナル・アドバンスド・ドライビング・シミュレーター
    自動運転と人による運転の切り替えが必要な際に、重要かつ有用な運転者の行動データ一式を提供するためのプロジェクトを進めています。

トヨタによる自動運転技術関連企業への投資

トヨタは、直接的な資本投資や、金融機関と提携して設立された投資ファンド、またToyota Research Instituteに属する企業ベンチャーキャピタル組織であるToyota AI Venturesを通じ、様々な企業に投資を行っています。投資ポートフォリオには以下の企業が含まれます。

Nauto
Nautoは、プロのドライバーとフリート管理者に向けて設計された、テクノロジーシステムを提供し、運転者と道路環境を監視して衝突回避や運転者の行動を向上させ、Nautoのスマートクラウドネットワーク上で共有された多様なデータから学習します。NautoのデバイスにはAIを装備したセンサーが搭載されており、車両フロントガラスの内側に取り付けることにより、車内外の非常に有益な視覚情報を提供するとともに、鋭い知見を提供するためのデータを収集します。
Intuition Robotics
Intuition Roboticsは、アクティブエイジング(活動的な老後)ためのロボット コンパニオンである「ElliQ」の開発など、ソーシャル コンパニオン技術開発の有数の企業です。多くの高齢者の生活向上のため設計された同社の技術は、高齢者とその家族や友人とのシームレスな交流、高齢者にとって便利でわかりやすい技術、活動的なライフスタイルの推進を目指しています。
SLAMcore
SLAMcoreは、自動運転車、ドローン、AR/VRシステムなどのテクノロジープラットフォームが、周辺地図を作成し、その地図上に自身の位置情報を生成するために使用される、高度アルゴリズムを開発しています。電力をできる限り移動に使用する必要があることから、SLAMcoreは自動モビリティの実用化の重要な要素として、電力効率に焦点を当てこの課題に取り組んでいます。