2000年07月25日

トヨタ、ディーゼル車用新触媒システムの基本技術を確立

-画期的な浄化メカニズムによりPM、NOxを同時に低減-

 

 トヨタ自動車(株)(以下トヨタ)は、NOx吸蔵還元型三元触媒技術を活用し、ディーゼル車の排出ガスに含まれるPM(Particulate Matter : ススなどの粒子状物質)、NOx(窒素酸化物)を同時に連続浄化する画期的触媒システムDPNRの基本技術を確立した。

 トヨタでは、従来からディーゼルエンジンの排出ガス浄化技術の開発を行なってきており、燃料直接噴射、電子制御EGR(排気再循環)、電子制御燃料噴射システムなどの燃焼改善技術、および酸化触媒技術などにより、排出ガスに含まれるHC、CO、NOx、PMの各成分を低減してきた。

 今回確立した基本技術は、さらなるPM、NOx低減に向けて、最新のコモンレール式電子制御燃料噴射システムを搭載した直噴ディーゼルエンジンをベースに、シンプルかつ、コンパクトな構成の触媒システムを組み合わせることで、排出ガス中のPMおよびNOxを同時に、しかも連続的に浄化できる点を特長としている。

 この触媒システムDPNRは、新開発の多孔質のセラミックフィルターに、トヨタが希薄(リーン)燃焼ガソリンエンジン用として独自に開発したNOx吸蔵還元型三元触媒を担持したものである。浄化メカニズムは、まず、エンジンが酸素の多い希薄(リーン)燃焼を行っている時には、触媒内でNOxを一旦吸蔵する際に発生する酸素および排出ガス中の酸素によりPMを酸化。その後、エンジン側で酸素が少ない理論空燃比または濃空燃比(リッチ)燃焼を瞬間的に行い、触媒内に吸蔵されたNOxを還元浄化するとともに、NOx還元浄化時に発生する酸素を活用することにより、酸素の少ない排出ガス中であっても、触媒内でPMを酸化する。この結果、PM、NOxともに初期浄化性能として80%以上(平成10年規制対応の2トン積トラック比)の低減が可能となる。

 さらに、この排出ガスの流入方向を交互に切り変えることにより、触媒内のPM酸化反応を促進し、大排気量の大型車でも、より高い効率でPMを浄化することが可能となる。

DPNR
Diesel Particulate-NOx Reduction System

 なお、このシステムは燃料に含まれる硫黄分による浄化能力の低下が不可避であり、今後供給開始が予定されている硫黄分の少ない燃料が必要である。本システムは、既販車用の後付けPM浄化装置としては、燃料供給系をコモンレール式に全面的に替える必要があるため、適用はできない。

 トヨタは、浄化性能、耐久性、信頼性などの性能確認を行なったうえで、このシステムを2003年から順次ディーゼルエンジン車に導入していく予定である。

システム図
【システム図】
触媒断面図
【触媒断面図】
NOx、PM浄化メカニズム説明
【NOx、PM浄化メカニズム説明】

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