日本では、特に地方都市で見られるように、過疎化により公共交通が縮小しており、免許を持たない子供や免許返納後の高齢者の方にとって、通学や通院、買い物といった、日々の生活において欠かせない移動に支障を来すケースが増加しています。また、地域を問わず、誰もが利用しやすい便利な移動手段を実現することは重要な課題です。

そこで、一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(Toyota Mobility Foundation。以下「TMF」)は、一般社団法人 日本自動車販売協会連合会(以下「自販連」)と連携し、地域の事情に精通している自動車販売店各社を対象に、事業の枠を超えて地域貢献を目的とした活動や仕組みづくりを目指す事業案の公募を行った結果、51件の応募をいただきました。

応募案件について、募集時に発表した以下の選考基準に基づき、地域経営や地域の移動課題解決に取り組む大学教授、NPO法人の代表等の有識者による選考を行い、29案件を採択しました。

選考基準

  1. 移動課題の解決など、豊かな暮らしの実現貢献する活動である
  2. 対象地域の市民の意向に合致している
  3. 全国の他の地域や団体に波及し、モデルとなりうる

地方別 採択案件数

北海道 3件
東北 3件
関東 7件
中部 5件
近畿 5件
四国 2件
九州・沖縄 4件
合計 29件

採択案件には、オンディマンドでのコミュニティバスの運行により、利便性の向上と経済的な負担を軽減して外出を促進するような仕組みづくりや、販売店が所有する試乗車の未使用時間を活用して、外出意欲はあるが移動手段がない高齢者等の移動支援を行う等、地域の移動に長く携わってこられた自動車販売店の経験やノウハウを生かした活動が多く含まれています。4月下旬より、順次助成を開始し、全ての活動が地域課題解決に貢献し、助成終了後も活動を継続していけるよう、適切な進捗確認、アドバイスをしてまいります。

【注】 自販連は、昭和34年に設立された自動車販売事業者の全国組織であり、全都道府県に支部を設置しております。国内外自動車メーカー各系列のメインディーラー中心に構成され、昭和34年に設立、平成24年に一般社団法人に移行しました。健全な車社会の形成と流通の改善等を図り、日本経済の発展に寄与することを目的として、広く会員の意見と叡智を結集し、政治、行政、経済関係の各機関と連携して各種の事業を展開しております。わが国の基幹産業である自動車産業の一翼を担う伝統ある自動車販売業の団体として、会員の経営の安定化、消費者利益の拡大、交通安全の推進、環境の保全そして地域社会の発展を常に図り、広く社会に奉仕するよう着実に前進しております。

TMFは、2014年8月の設立以来、豊かなモビリティ社会の実現とモビリティ格差の解消に貢献することを目的に、タイやベトナム、インド、ブラジルでの交通手段の多様化や、日本の様々な移動課題解決に向けたプロジェクトのほか、障害者向けの補装具開発を支援するアイデアコンテストの実施、水素研究の助成、人工知能による交通流最適化の共同研究など、世界のモビリティ分野における課題に取り組んでいます。

今後も、トヨタの技術・安全・環境に関する専門知識を活用しながら、大学や政府、NPOや調査研究機関等と連携し、都市部の交通課題の解消、パーソナル・モビリティ活用の拡大、次世代モビリティ開発に資する研究などの取り組みをすすめていきます。

以上

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