2025年05月31日
S耐富士24時間レースで「マルチパスウェイ」を推進-スーパー耐久にて、クルマと燃料All Japanで“共挑”-
トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)は、5月30日~6月1日に行われる、「ENEOS スーパー耐久シリーズ 2025 Empowered by BRIDGESTONE 第3戦 NAPAC富士24時間レース」に、「低炭素ガソリン(E20)」を燃料として搭載した「#28 TGRR GR86 Future FR concept」と、液体水素を燃料として搭載した「#32 TGRR GR Corolla H2 concept」(以下、液体水素エンジンGRカローラ)で参戦します。
28号車GR86は、ENEOS株式会社(以下、ENEOS)が製造した「低炭素ガソリン(E20)」燃料を耐久レースの厳しい環境下で使用し、技術視点でのフィードバックを行います。
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、想いをともにするENEOSと自動車メーカーのAll Japanで“共挑”して「燃料を鍛える」ことで、普及を加速させることに貢献していきます。
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- STMO
- スーパー耐久レースの企画・運営を行い、実験車両の走るST-Qクラスを創設した、一般社団法人スーパー耐久未来機構
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- 共挑
- スーパー耐久のST-Qクラスにおいて、カーボンニュートラル社会の実現に向けて「共に挑む」想いを同じくする自動車メーカー5社の枠組み
液体水素エンジンGRカローラでは、2023年から世界で初めて液体水素を直噴エンジン*1の燃料として搭載し、“開発の前半ステージ”として液体水素ポンプの耐久性や航続距離向上のため楕円タンクの技術などを磨いてきました。
昨年の24時間耐久レースでは、目標である連続航続距離30ラップを達成した一方、電気系のトラブルでピットストップを繰り返し、十分な時間を走行することができませんでした。
今回のレースでは、さらに信頼性を高めた車両と液体水素システムによって24時間を走り切り、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を目指し、得られたデータを開発に活かしていきます。
*1 | 燃料をシリンダー内に高圧で直接噴射するエンジン |
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トヨタは、液体水素や低炭素ガソリン燃料で走るエンジン搭載車両がカーボンニュートラルに向けたモビリティの重要な選択肢であることを発信し、仲間とともにマルチパスウェイの取り組みを進めています。
引き続き、モータースポーツの厳しい環境を通じてクルマと人を鍛え、カーボンニュートラルの実現に向けて仲間とともに進化を続けていきます。
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- 28号車GR86
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- 液体水素エンジンGRカローラ
28号車GR86への「低炭素ガソリン(E20)」燃料の搭載に向けて
クルマが社会で必要な存在であり続けるための喫緊の課題がカーボンニュートラルであり、実現のための手段として多様な選択肢が求められています。トヨタは、カーボンニュートラルの実現に向けて「マルチパスウェイ」の考え方のもと、高効率かつ多様な燃料に対応するエンジンやハイブリッドシステムの進化に挑戦し続け、世界中のお客様に選択肢を提供していきます。
液体燃料は、エネルギー密度が高く運搬や貯蔵が容易なことが特徴です。保有車のカーボンニュートラル実現に向けては、低炭素のガソリンを皮切りに、将来的にはカーボンニュートラルな液体燃料の普及を加速させていくことが重要です。
「低炭素ガソリン(E20)」はガソリンにバイオエタノールを約20%混合した低炭素燃料です。バイオエタノールは、主にトウモロコシやサトウキビといった植物資源に含まれるグルコースなどを発酵させて製造するもので、原料の植物などが成長過程で大気中のCO2を吸収するため、化石燃料と比べて低炭素な燃料です。特に、最大濃度20%の低炭素ガソリン供給に向けて知見を蓄積していくために、スーパー耐久シリーズにおいて複数の「低炭素ガソリン(E20)」を評価し、技術視点でのフィードバックを行っていきます。
液体水素エンジンGRカローラの更なる進化
液体水素エンジンGRカローラの“前半ステージ”集大成として、昨年の結果を踏まえ、今回のレースで以下の技術改良を行いました。
- 高出力と燃費を両立させる水素エンジン燃焼切り替え技術への挑戦
今回のレースから、高出力が得られるストイキ燃焼*2と、低燃費での走行が可能なリーン燃焼*3を、ドライバーの出力要求(アクセル操作)に合わせて自動的に切り替える技術に挑戦していきます。
これまでのレースでは、ガソリンと同等の高出力を実現するためにストイキ燃焼のレベルアップを続けてきました。
今回から、高出力を必要としない領域ではスムーズにリーン燃焼へ切り替える技術に挑戦し、将来の市販車両の開発に繋げていきます。
*2 | 酸素と燃料が過不足なく燃焼する際の空気と燃料の比率。λ(ラムダ)=1とも呼ぶ |
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*3 | 理論空燃比よりも燃料が薄い状態での燃焼 |
- 水素充填速度と安全性の向上、小型軽量化に寄与する新充填バルブの開発
給水素時の充填バルブには新構造を採用しました。
これまではバルブ開閉を外部からのアクチュエータ*4により操作していましたが、給水素時の流路面積拡大に限界があることに加え、マイナス253℃の環境下における密閉性向上に課題がありました。
今回、新たな内部ピストン構造を採用することで流路面積の拡大が可能となり、充填スピードが約3割向上しました。また、新構造採用により外部アクチュエータが不要となったことで2kg軽量化したことに加え、外部からの開閉工程をなくしたことで密閉性を向上させ、水素が漏れ出すリスクを抑制しました。
*4 | エネルギーをもとに機械的な動きを生み出す装置 |
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従来構造 | 新構造 | |
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技術の進化ポイント | ![]() |
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- ワイヤーハーネスの一部アルミ電線化による車両軽量化
主に電力供給と信号伝達のため、車両の隅々に配索されている複数の電線を束ねたワイヤーハーネスの一部を銅線からアルミへと変更しました。これまで、ワイヤーハーネスのアルミ電線化にあたっては、端子部などへの水掛かりによる腐食が課題でした。
今回、古河電気工業株式会社が開発したファイバーレーザー溶接技術を用いた密閉構造端子(α端子®)を採用することで、量産性とコスト競争力を落とすことなく水の侵入を防ぐことが可能になり、課題であった腐食を防止します。
また、この変更により従来のワイヤーハーネス重量から18%の軽量化を実現しました。
2025年もやりますトヨタイムズスポーツ生中継!
5月31日(土)14:00~ 富士スピードウェイから24時間生放送します。
レースの様子だけでなく、ドライバーの生出演や、ピット中継などを配信予定です。
https://toyotatimes.jp/24h_race_2025/
過去のトヨタイムズスポーツの記事などは下記サイトより。
https://toyotatimes.jp/sports/
以上
~マイナスからゼロへ、ゼロを超えた新たな価値を~
トヨタは、「地球という美しい故郷(Home Planet)を次世代に引き継ぐ」ために、社会や個人が抱える様々な課題の解決(マイナスをゼロにする)に取り組むだけではなく、ゼロを超えた新たな価値の創出・提供を目指し、「回答のない未来へ弛まぬ挑戦」を続けていきます。
- BEYOND ZERO
- https://global.toyota/jp/mobility/beyond-zero/
トヨタは、革新的で安全かつ高品質なモノづくりやサービスの提供を通じ「幸せを量産する」ことに取り組んでいます。1937年の創業以来80年あまり、「豊田綱領」のもと、お客様、パートナー、従業員、そして地域社会の皆さまの幸せをサポートすることが、企業の成長にも繋がると考え、安全で、環境に優しく、誰もが参画できる住みやすい社会の実現を目指してきました。現在トヨタは、コネクティッド・自動化・電動化などの新しい技術分野にも一層力を入れ、モビリティカンパニーへと生まれ変わろうとしています。この変革の中において、引き続き創業の精神および国連が定めたSDGsを尊重し、すべての人が自由に移動できるより良いモビリティ社会の実現に向けて努力してまいります。