2016年11月03日

歴代カローラとその時代 (2)

 

歴代カローラとその時代 (2) 歴代カローラとその時代 (2)
2016年11月3日

歴代カローラとその時代 (2)

7代目カローラ:「セルシオ」を意識した上質カローラ

7代目カローラ:「セルシオ」を意識した上質カローラ

 6代目からの高級化路線をさらに推し進め、内外装とも極めて高品質に仕上がった7代目カローラ。ボリュームたっぷりのボディスタイルは、当時のフラッグシップ車のようであり、「ミニ・セルシオ」的雰囲気すら醸し出していた。エンジンは1.3リッター/1.5リッター/2リッターディーゼルに加え、2種類の1.6リッターエンジンを用意。ひとつは従来からあった160psのスポーツツインカム、もうひとつは115psながら、パワーではなく効率を重視した「ハイメカツインカム」と呼ぶDOHCエンジン。ハイメカツインカムは、その後クラスを超えてトヨタ車の主力エンジンへと成長していく。1991年には4WDモデルも追加された。

1991年:バブル経済崩壊

 正確にはバブルが崩壊した年だが、まだ世間的には景気もよく、華やかなニュースも多かった。なかでも、若貴として相撲人気を牽引していた貴乃花の電撃婚約発表(1992年)は大きなニュースになった。そのほかスポーツ界では、翌年のバルセロナ五輪で中学生ながら金メダルを獲得し「今まで生きてきたなかで一番幸せです」と微笑ましく答えた水泳の岩崎恭子選手にも注目が集まった。ヒット商品としては、エアジョーダンやGショックなど、若者向けアイテムの人気が高く、プレミアが付くほどのヒットに。翌年の流行語にもなった「きんは100歳、ぎんも100歳」で100歳の双子に注目が集まった。

8代目カローラ:徹底したスリム化と新たな派生モデルの拡充

8代目カローラ:徹底したスリム化と新たな派生モデルの拡充

 ともすると華美になりすぎた印象のあった7代目から、カローラ本来のシンプルで使い勝手のいいコンパクトセダンへと回帰したのが8代目カローラ。コンポーネンツの多くは7代目からキャリーオーバーされたものの、約50キロの軽量化に成功している。搭載エンジンはフラッグシップの4A-G型1.6リッターDOHC&VVT(165ps)以外はすべてハイメカツインカムとなり、1.3リッター/1.5リッター/1.6リッターをラインナップ。基本の4ドアセダンに加え、派生モデルも多数生まれた。2ドアクーペのお馴染みカローラ・レビンやワゴン&バンに加え、4ドアハードトップのカローラ・セレス、ミニバンのカローラ・スパシオなど、カローラの名を冠した大家族を形成した。

1995年:期待と不安が交錯するポストバブル期

 ライバルの曙が登場してもなお若貴ブームは続いていたが、スポーツ界でのビッグニュースといえば、トルネード投法を武器にメジャーリーグへ移籍した野茂英雄の活躍だ。今に続く、日本人メジャーリーガーの先駆けとなった。生中継も行なわれ、一挙手一投足に注目が集まり、この年に新人賞を獲得。日本だけでなく、本場アメリカでも評価されたのは日本人としてうれしい出来事だった。一方、阪神大震災という未曽有の災害や、地下鉄サリン事件など、社会を揺るがす出来事が続いた年でもある。

9代目カローラ:「ゼロからの再出発」で流麗・モダンに

9代目カローラ:「ゼロからの再出発」で流麗・モダンに

 保守的な印象の強い歴代カローラから、流麗でモダンな印象へ生まれ変わった9代目。1972年から続いていたスポーツモデル、レビンが廃止され、人気のワゴンはこのモデルより「フィールダー」という名称に改められた。プラットフォームを新開発し、ボディは5ナンバー枠いっぱいまで大きくなる。加えて、ホイールベースも135ミリも伸ばされたことで、室内の居住性は格段に向上した。エンジンも一新され、すべて可変バルブタイミングリフト機構(VVT-i)付きの1.3リッター/1.5リッター/1.8リッターに加え、2.2リッターディーゼルも用意。カローラでは初となる横滑り防止機構(VSC)やトラクションコントロール(TRC)を装備したのもこの9代目である。

2000年:希望に満ちた新世紀前夜

 流行語はもちろんミレニアム。21世紀が始まるのは2001年からとされていたが、キリのよさもあって日本でも各地でイベントなどが開催され、大いに盛り上がった。記念として2000円札も発行された。同時に、コンピューターの日付が2000年を認識できずに、1900年として誤作動を起こすのではという2000年問題も話題になった。シドニー五輪では、女子選手の活躍に大きな注目が集まり、「最高でも金、最低でも金」「Qちゃん」などの流行語も生まれた。

10代目カローラ:日本専用モデルの導入

10代目カローラ:日本専用モデルの導入

 9代目までのカローラは全世界共通のプラットフォームだったが、10代目では「アクシオ」というサブネームが付き、海外向け仕様とは異なる日本専用設計車とした。ラインナップは4ドアセダンのアクシオ、ステーションワゴンのフィールダーを設定し、基本的には9代目モデルのイメージを踏襲した。エンジンは1.3リッターが廃止され、VVT-i付きの1.5リッターに加え、デュアルVVT-i付きの1.8リッターの2本立て構成。ミッションはスーパーCVTだが、1.8リッターモデルには7速シーケンシャルモードが装備された。後退時や車庫入れ時に絶大な威力を発揮するバックモニターを全車標準装備としたのは「実用車の雄」としての自負だった。

2006年:世界で躍進したスポーツ界

 トリノ冬季五輪が開催され、フィギュアの荒川静香選手が日本人初の金メダルを獲得。後ろにのけぞりながら滑る「イナバウワー」は流行語になっただけでなく、実際に真似されるなど、社会現象にもなったほど。野球ではワールドベースボールクラシックでは、王監督が率いる日本代表が初代王者に。ドイツで行なわれたサッカーワールドカップでは、惜しくも決勝トーナメント進出を逃した。

11代目カローラ:史上初のダウンサイズとハイブリッドモデルの導入

11代目カローラ:史上初のダウンサイズとハイブリッドモデルの導入

 5ナンバー枠いっぱいまで拡大した9代目&10代目カローラに対して、コンパクトで使いやすい、カローラ本来の魅力に回帰したのが11代目。プラットフォームが一新され、全長は50ミリ短縮された。小さくなったのはカローラのモデルチェンジ史上、初のこと。ラインナップは従来通り4ドアセダンのアクシオ、ワゴンのフィールダーで、エンジンは大幅に改良された1.5リッターと1.8リッターに加え、新開発のデュアルVVT-i付き1NR-FE型1.3リッターDOHCも搭載。2013年にはアクア用のシステムを最適化させたハイブリッドモデルをアクシオ&フィールダーともに設定。燃費は33km/L(JC08モード)を誇っている。

2012年:新たな時代を象徴する「東京スカイツリー」開業

 この年のトピックスはなんと言っても、東京墨田区に完成した「東京スカイツリー」だ。高さ634メートルで、自立式の電波塔としては世界一の高さを誇る。超高速のエレベーターなど、日本ならではの技術も満載で、周辺エリアも含めて観光スポットとして人気を博している。また京都大学の山中伸弥教授によるiPS細胞作製の成功はノーベル賞受賞となり、日本中が大いに湧いた。そのほか、低価格を武器にした航空会社、LLCの参入も相次いだ。