2016年11月05日
愛しのカローラストーリー 人生を素敵にしてくれた私の赤いカローラ
1970年式の赤いカローラを新車で手に入れ、今も大切に所有している宮崎登茂子さん。購入したのは、初代カローラが最初のフルモデルチェンジを受け、2代目となって登場したばかりのころだった。
「実はその前は初代のカローラに乗っていたんです。そのときもボディカラーは赤でした。でも、2代目が出たら、そっちの赤色の方が素敵に見えたんです。そんな理由で買い替えて、それからは、このカローラ一筋なんですよ」
2代目カローラに乗っているうち、運転の楽しさに目覚めてしまったという宮崎さん。当時は、会社へ出勤する夫をカローラで駅まで送ることが日課だったが、週に1度はそのまま箱根に寄り道し、ワインディングロードをドライブしてから横浜市の自宅(当時)に帰っていたそうだ。
「特に下りの道を走るのが好きだったわ。ひらりひらりと走って。本当に楽しかった」
そのころは自動車運転免許を所有する女性がまだまだ少なかった時代。赤いカローラを颯爽と走らせる宮崎さんの姿は魅力的だったに違いない。
「魅力的だったかは分からないけれど、若かったですからね。カローラと一緒のときには何度も男性から声をかけられました。あの頃は、帰宅が遅くなった夫を駅までカローラで迎えに行っていたんですが、駅前で待っていると知らない男性がさりげなく近づいてくるんです。『よかったら自分のクルマと2台で、箱根あたりに走りに行きませんか』って。今ならナンパって言うのかしら。すごく紳士的に誘われたのを憶えています。もちろん、丁重にお断りしましたよ(笑)」
購入から46年。大事にされてきたカローラは、何度かボディの塗装もやり直している。けれど、色を変えたことは一度もない。
「本当にこの赤が好きなんです。今では使われていない色だそうですね。塗装屋さんに聞くと、この赤を再現するのはなかなか手間がかかるらしいですよ。でも、頑張って同じ色に塗ってもらっているんです」
カローラと一緒に思い出もたくさん作った。親戚が結婚したときには、式に出席するため、長野県まで長距離をドライブ。帰りは、新幹線が運休してしまうほどの土砂降りの雨の中を自分で運転して帰ってきたそうだ。
「カローラって、ボディの大きさも私にぴったりで、少しも不安を感じることなく運転できるんです。乗っていて楽しいから、長距離を走ってもぜんぜん疲れませんしね。……でも、夏だけは大変だったわ。クーラーがついていないから暑くて暑くて。足元にアイスノンを置いて運転していたんですよ(笑)」
愛車の整備は、いつもカローラ店に依頼してきた。特にこの20年ほどは、この人と決めた整備士にお願いしているのだそうだ。
「その整備士さんが別のカローラ店に転勤になると、私が整備をお願いするお店もその転勤先に変えてしまうんです。大切な主治医さんですね」
購入以来、一度も調子を崩したことのないカローラだったが、46年目にしてはじめて不調を訴えるようになった。現在は『主治医』が勤務するカローラ店に修理のために入庫中。ちょっとさびしい気分を味わっているという。
「代車をお借りして乗っているんですけど、知り合いに会うたび、みなさん残念そうな顔で『買い替えちゃったんですか?』って聞いてくるんです。みんなの目には、私とカローラが1セットになっているみたいです(笑)」
カローラのおかげで人生がとても楽しくなったと語る宮崎さん。愛車の不調は少し深刻なようだが、「必ず治してくれると信じています」と話す宮崎さんの期待に応えるべく、主治医の整備士が全力で奮闘中だ。