トヨタ自動車(株)は、2021年3月期 決算説明会を本日2021年5月12日(水)に発表しました。
同日13時30分より開催した決算説明(Ⅰ部)および14時25分より開催した当社の取組み説明(Ⅱ部)の模様を動画でご覧いただけます。

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2021年3月期 決算説明会 Ⅰ部(決算説明および質疑)

当社出席者

2021年3月期 決算説明会 Ⅱ部(当社の取組みおよび質疑)

当社出席者

James Kuffnerスピーチ「トヨタの戦略とカーボンニュートラルへのコミットメント」

  1. はじめに

みなさん、こんにちは。

本日、私からは、カーボンニュートラル実現に向けたトヨタの技術と戦略についてお話させていただきます。

本題に入る前に、これまでトヨタの商品やサービスをお選びくださり、トヨタを信頼・ご支援下さっているすべてのお客様に対しまして、心より感謝を申し上げます。

新型コロナウイルスのグローバルな感染拡大は多くの方に困難をもたらしました。

第1部でご説明した決算内容は、コロナ禍においても、トヨタグループの社員に加えて、サプライヤーやディーラー、パートナーの皆様に大変なご尽力をいただいた賜物です。

関係者の皆様とともに、トヨタは先進的な技術や、優れた商品、サービスを継続的に開発し、世界中のお客様が求めているものをお届けしてまいりました。

  1. カーボンニュートラル

トヨタフィロソフィーは、創業時からのトヨタのブレない軸を明文化したものです。そのミッションとして「幸せの量産」、ビジョンとして「可動性(モビリティ)を社会の可能性に変える」を掲げております。

80年以上にわたってトヨタはこのミッションとビジョンのもとで、安全で持続可能なモビリティ技術を世界中のお客様にお届けし、幸せの量産に取り組んでまいりました。

その一環として、トヨタはすべての国・地域で、私たちの製品を通じてカーボンニュートラル実現への貢献に尽力してまいりました。

加えて、トヨタは2050年もしくはそれより前に、企業としてカーボンニュートラルを実現することを100%コミットしております。

カーボンニュートラルとは、どのような状態を意味するものでしょうか。

自動車産業におけるカーボンニュートラルとは、自動車の「製造」「輸送」「走行」「充電・給油」「廃棄・リサイクル」など、そのライフサイクルのすべてのプロセスにおいて、CO2排出量を実質ゼロにすることです。

トヨタの技術革新の歴史、成果、カーボンニュートラルへの歩み

トヨタは、30年以上にわたりCO2排出量を削減し、カーボンニュートラルを実現するための技術革新と投資を行ってまいりました。

1990年代前半、トヨタは、お客様が期待する高い信頼性と低価格を維持しながら、カローラクラスの2倍の燃費性能を持つ、プラクティカルな量産車を作るという挑戦的な目標を掲げました。

当時は、懐疑的な意見も数多くありました。

1996年、トヨタは初の電気自動車となるRAV4 EVを開発し、市場に導入いたしました。

その後、航続距離の短さ、充電時間の長さ、充電インフラの不足などの課題に直面いたしましたが、トヨタのエンジニアはRAV4 EVの開発からの学びと、お客様からのフィードバックを活かし、バッテリー技術や電子制御技術の改善につなげたのです。

1997年には、世界初の量産型ハイブリッド車として、ベストセラーとなったプリウスを発売いたしました。

プラクティカルなハイブリッド車を市場に送り出すことは、簡単なことではありませんでした。

そこには、モーター、インバーター、エンジン、バッテリー、エレクトロニクスにおいて、数多くのイノベーションがありました。

バッテリー技術においては、材料、製造プロセス、安全性の向上、高出力性能、リサイクル性の向上などを実現し、サステナブルなモノづくりに取り組んでまいりました。

このような経験を活かし、25年以上にわたって、トヨタは、CO2排出削減に貢献する新しい技術、商品を開発してまいりました。

私たちは、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCEV)など、様々な新しい製品を世に送り出してまいりました。

世界をリードするトヨタの電動化技術

プリウスの成功は、私たちのカーボンニュートラルへのコミットメントが、技術を革新し、市場でリーダーシップを取るために、またとない機会でもあることを示しています。

現在、トヨタは世界中で、55モデルにおよぶ、プラクティカルで信頼性が高く、手頃な価格の電動車ラインナップを提供しております。そして今後、さらに投入してまいります。

HEV、BEV、PHEV、FCEVの電動車の合計販売台数は、現在、年間200万台を超えています。

トヨタのHEV、PHEVに搭載するアトキンソンサイクルエンジンの熱効率は40%に迫るものであり、非常に高いレベルにあります。

これらの効率改善は、世界の様々な地域、特にグリーン電力のインフラがない地域においても、CO2排出量の削減に貢献しています。

電動車の普及をはじめ、こうした技術革新により、20年以上の期間で、累計約1億4000万トンのCO2排出量を削減することができた計算になります。

これは、その期間において毎年、150万台程度の一般的な乗用車によるCO2排出をゼロにしてきたことに相当します。

私たちはこの成果を誇りに思っておりますが、まだやれること、これからやらなければならないことはもっとあります。

その一例として、トヨタは2025年までに、先日発表したbZシリーズの7モデルを含む15モデルのBEVをグローバルに導入する予定です。

また、HEV、PHEV、FCEVの商品ラインナップもさらに充実させる予定です。

これらの新しい商品をサポートするために、全固体電池をはじめとする、可能性を秘めた新しいバッテリー技術に、グローバルで投資を続けてまいります。

より高効率なモーターと組み合わせることで、新しい電池は、BEVをよりプラクティカルに、安全に、そしてサステナブルにできると考えております。

トヨタの戦略、現在の投資、カーボンニュートラル達成へのコミットメント

トヨタは、カーボンニュートラルは実現できるものだと考えておりますが、その目標にたどり着くには、まだまだ多くの課題があります。

たとえ優れたバッテリー技術があっても、石炭や非再生可能エネルギー由来の電気を使っている限り、BEVはその使用期間において、CO2を排出し続けることになります。

さらに、誰もが充電インフラをすぐに使えるわけではありません。

私もその一人です。私は東京のマンションに住んでいますが、そこには車用の充電設備がありません。

幸いなことに、トヨタはその他の選択肢も提供しています。

PHEVは、原材料が少なくて済む、比較的、小容量の電池でつくることができます。日常の大半を占める短距離で使う際は、ゼロエミッションの電気走行ができ、長距離の場合はハイブリッド・モードでも走行できます。

水素燃料電池

また、カーボンニュートラル達成に資する、他の新しいグリーンエネルギー技術にも、トヨタは積極的に投資し続けております。

トヨタは燃料電池技術において世界をリードしてまいりました。

水素は地球上で最も豊富な元素であり、再生可能エネルギーと水があれば、使う場所で生産することができます。

さらに、水素は、ピーク時の使用に備えて再生可能エネルギーを長期貯蔵することもできます。

20年以上の研究開発を経て、2014年にトヨタは初の量産型FCV「MIRAI」の販売を開始し、この初代MIRAIは、2016年のWorld Green Car of the Yearを受賞いたしました。

燃料電池技術は素晴らしいものだと思います。

車両が動くとともに、外部の空気を取り込んで燃料電池内で水素と結合し、電気と水をつくりだします。

ピュアでシンプルなゼロエミッション車であり、しかも3分で燃料を満充填することができます。

昨年12月、第2世代のMIRAIを発表いたしました。

基本性能、快適性、効率性を向上させ、米国基準で402マイルの航続距離を実現いたしました。

これらの性能向上の一方で、水素エネルギーには、インフラ整備、エネルギー効率、低価格でのグリーン水素の製造など、解決すべき問題が残っています。

トヨタは今後も技術への投資を続け、これらの課題の解決に取り組んでまいります。

乗用車は、水素のポテンシャルを活かすほんの一例です。

トヨタの燃料電池技術は、輸送分野のエコシステムの大部分をクリーンにすることにも役立ちます。

トラック、大型輸送車両、鉄道、バス、タクシー、航空機、船舶、フォークリフト、産業プロセスにおけるカーボンニュートラルの達成にも、水素が貢献できるからです。これらのCO2排出量の合計は、乗用車の全CO2排出量を上回るものです。

さらに、トヨタはモジュール型の燃料電池システムと、定置式の燃料電池発電機にも取り組んでおります。これは、どこでも需要に応じて発電ができるものです。

例えば、この定置式燃料電池発電機を使えば、BEVやPHEV用の充電ステーションを好きなところに設置することもできるのです。

内燃エンジンのクリーン化

しかし、「新車」販売をクリーンにしていくことは、取り組みの序章に過ぎません。

現在、世界には14億台以上の保有車両があり、そのほとんどは内燃機関を搭載しています。

トヨタは、今後10~15年間稼働し続ける数多くのエンジン車をクリーンにする方法も模索しています。

水素燃料は、クリーン燃料として内燃機関に使うこともできます。

ちょうど先月、トヨタはカーボンニュートラルの早期実現に向けて選択肢を広げる可能性のある、新しい水素エンジンのプロトタイプを発表いたしました。

モータースポ―ツの世界は、技術開発のスピードが早く、マスタードライバーをつとめる豊田社長も自らハンドルを握り、何度も車両や技術をテストしています。

トヨタの「もっといいクルマ」をつくり続ける姿勢は、もっと環境にやさしいモータースポーツを実現することにもつながる可能性があるのです。

カーボンニュートラルの達成に向けた取り組み

トヨタは、そのすべての行動において、カーボンニュートラルにしっかりとコミットしてまいりました。

トヨタは、BEV、HEV、PHEV、FCEVという電動化のラインナップではトップを走っていると思いますし、今後さらに拡充もしてまいります。

電動化に取り組んできた25年にわたる歴史をベースに、トヨタの技術は世界有数であり、各国・各地域がカーボンニュートラルを早期に実現するうえで、トヨタにはお役に立てる力があると思っております。

最近の政府による規制や、カーボンニュートラル達成に向けた世界的なムーブメントや問題意識の高まりが起こる前からずっと、これに取り組んできたからです。

世の中に貢献し、クリーンな未来をつくることは、トヨタのDNAだと思っております。

まとめ

私たちは、カーボンニュートラル達成というゴールに向けた電動モビリティの未来、そして、グリーンエコノミーが実現する新しい商品やビジネスの可能性に非常にワクワクしています。

トヨタを含め、この目標を単独で達成できる企業はありません。

すべての業界で、科学者や研究者、地方自治体や国の政府と協力して、新しい技術やインフラの開発を加速していく必要があります。

これは前向きに取り組むべきチャレンジだと思っております。なぜならこれは、より良い商品づくりだけではなく、私たちの大切な地球を守ることにもなるからです。

トヨタは、各国それぞれで、信頼できるパートナーとして、トヨタの品質、信頼性、低価格、長期的な車両価値を維持しながら、各国のお客様に最適な商品をお届けし、カーボンニュートラルの達成に貢献してまいりたいと思います。

トヨタは、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという世界的な目標に、100%コミットしております。そして、その結果、すべての人にとって、より明るく、より幸せな未来づくりに貢献してまいります。

ご清聴ありがとうございました。

以上

Sustainable Development Goals

トヨタは、革新的で安全かつ高品質なモノづくりやサービスの提供を通じ「幸せを量産する」ことに取り組んでいます。1937年の創業以来80年あまり、「豊田綱領」のもと、お客様、パートナー、従業員、そして地域社会の皆さまの幸せをサポートすることが、企業の成長にも繋がると考え、安全で、環境に優しく、誰もが参画できる住みやすい社会の実現を目指してきました。現在トヨタは、コネクティッド・自動化・電動化などの新しい技術分野にも一層力を入れ、モビリティカンパニーへと生まれ変わろうとしています。この変革の中において、引き続き創業の精神および国連が定めたSDGsを尊重し、すべての人が自由に移動できるより良いモビリティ社会の実現に向けて努力してまいります。

SDGsへの取り組み
https://global.toyota/jp/sustainability/sdgs/

ダウンロード(動画)

2021年3月期 決算説明会 Ⅰ部(決算説明および質疑)
2021年3月期 決算説明会 Ⅰ部(決算説明および質疑)
2021年3月期 決算説明会 Ⅱ部(当社の取組みおよび質疑)
2021年3月期 決算説明会 Ⅱ部(当社の取組みおよび質疑)

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  • 取締役・執行役員 James Kuffner
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  • 執行役員 岡田 政道
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  • 執行役員 長田 准
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  • 執行役員 近 健太
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  • 執行役員 前田 昌彦
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