2017年08月04日
2代目プリウス 2003-2009
初代のセミノッチバック4ドアセダンから5ドアハッチバックへボデースタイルを変更。ホイールベースを150mm伸ばし、ボデーサイズは全長で135mm、全幅で30mmと大きくし、室内スペースを拡大した。
ハイブリッドシステムは、先代の“THS”(トヨタハイブリッドシステム)を発展させた“THS Ⅱ”で、エンジン(1NZ-FXE)の回転数を高めたほか、モーター(3CM)の出力を50%増しの50kWとし、走行性能を向上。10・15モード燃費は世界トップレベルの35.5km/Lに向上したほか、駐車時のハンドル操作を自動化できるインテリジェントパーキングアシストや、横滑り防止機構と電動パワーステアリングを統合制御する「S-VSC」など、世界初の先進技術を搭載した。
スタイリングとパッケージの革新
「5ドア+ハイデッキ」の新セダンスタイル
─トライアングルモノフォルム─
「トライアングルモノフォルム」と名付けた、キャビンを中心に三角形をモチーフとするエクステリアデザインで、優れた空力性能とゆとりの室内空間の両立を実現。クルマ本来の魅力である走る楽しさを予感させ、ワクワクと胸踊るエモーショナルなデザインでありながら、さわやかで飽きのこないクリーンなデザインに仕上げています。
機能・装備の革新
ステアリングを握らなくてもラクラク駐車
─インテリジェントパーキングアシスト─
車庫入れや縦列駐車は苦手な人が多く、JAFなどで行われているアンケートでも、苦手な運転のワースト3に入るほどです。そんな人にとても便利な、周囲の安全確認とブレーキによる速度調整さえ行えば、ステアリングを操作することなく後退駐車できるシステムが「インテリジェントパーキングアシスト」です。
機能美と使いやすさを備えたスタートシステム
─スマートエントリー&スタート─
キーを取り出すことなくドアの施錠・解錠ができます。
─プッシュボタンスタート─
キーを回すのではなく、スイッチを押す操作でスタートできます。
アイドリング・ストップ時でも快適
─電動インバーターオートエアコン─
ハイブリッド用バッテリーを電源としたインバーター制御の電動コンプレッサーを採用。エンジン停止時でも、冷房・除湿を可能にしました。
モーターのみで、静かな走行
─EVドライブモード─
スイッチを押すことにより、時速約55km以下で数百mから2km程度をモーターだけで走行。早朝・深夜などの低騒音、クリーン走行に配慮できます。
表示系は見やすく遠くに、操作系は使いやすく手元に
─ヒューマン・マシン・インターフェース─
メーターや、よく使うスイッチはどこにあれば良いのか。シフトノブはどんな形で、どんな操作方法が良いのかなど、とことん見やすさ、使いやすさを追求しました。
指先で軽くシフト操作
─エレクトロシフトマチック─
シフトポジションを電気的に切り替えるシステムで、TVゲームのコントローラーに付いているジョイスティックのように指先で軽くレバーを動かすだけの新感覚の操作性を実現しています。また、プリウスにふさわしい斬新なインテリアデザインの構成にも一役買っています。
走りと環境性能の革新
エコとパワーを同時に進化
─ハイブリッド・シナジー・ドライブ─
新世代トヨタハイブリッドシステム「THSⅡ」により、エンジンパワーとモーターパワーとの相乗効果を革新。世界最高レベルの環境性能とスムーズで力強い走りを、同時に実現しました。
THSⅡのシステム構成
主要コンポーネントは、すべて自社開発したもので、パワーコントロールユニット、モーター、発電機、バッテリーなどを一新し、システムのさらなる進化を図りました
THSとTHSⅡの性能比較
項目 | THSⅡ(新型車) | THS(従来型車) | |
---|---|---|---|
エンジン | 最高出力(kW[PS]/rpm) | 57[77]/5,000 | 53[72]/4,500 |
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) | 115[11.7]/4,200 | ← | |
モーター | 最高出力(kW[PS]/rpm) | 50[68]/1,200~1,540 | 33[45]/1,040~5,600 |
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) | 400[40.8]/0~1,200 | 350[35.7]/0~400 | |
システム | 最高出力(kW[PS]/車速km/h) | 82[111]/85以上 | 74[101]/120以上 |
85km出力(kW[PS]) | 82[111] | 65[88] | |
最大トルク(N・m[kg・m]車速km/h) | 478[48.7]/22以下 | 421[42.9]/11以下 | |
22km/hトルク(N・m[kg・m]) | 478[48.7] | 378[38.5] |
既成概念にとらわれずステアリングを制御
─ステアリング協調車両安定性制御システム(S-VSC※)─
ブレーキ制御(VSC、ABSなど)と電動パワーステアリングを協調させた、世界初のシステムです。滑りやすい路面での旋回時などで、車両のバランスを立て直す方向へのステアリングのトルクアシストで、車両限界時の安全性を高めています。ステアリングを制御することは、危険なことと思われてきましたが、既成概念にとらわれることなく取り組み、先進の安全システムを築き上げることができました。
※ Steering-assisted Vehicle Stability Control
❶またぎ制動時制御
滑りやすさのことなる路面を左右輪またいで急制御した場合、左右の制動力差から車両が偏向しハンドル操作が必要になることがあります。協調制御では容易にハンドル操作ができるように操舵トルクアシストを行います。
❷オーバーステア時制御
急なハンドル操作や滑りやすい路面でのコーナーリング時に後輪の横滑りが発生した場合、横滑りを抑制する方向に容易にハンドル操作ができるよう操舵トルクアシストを行います。
❸アンダーステア時制御
急なハンドル操作や滑りやすい路面でのコーナーリング時に前輪の横滑りが発生した場合、わずかにハンドルが軽くなる方向に操舵トルクアシストを行い、車両が限界状態であることを知らせます。さらにハンドルを切り込むと前輪の横滑りが一層大きくなるため、わずかにハンドルが重くなる方向に操舵トルクアシストを行い切り過ぎ防止を促します。
ランドクルーザープラドで実証
─全方位コンパティビリティボディ構造(SUV対応)─
クラストップレベルの衝突安全性能を追求し、衝突試験の相手車両にセルシオなどの乗用車よりも更に条件が厳しいランドクルーザープラドを使用。前面・側面・後面のすべてで評価しました。軽量化しながらボディ強度を上げるための高剛性材の開発や、効率良く衝撃を吸収させるための度重なる解析を行うなど、更なる安全性向上に力を費やしてきました。
粘り強さが生み出した燃費性能
─世界最高レベルの低燃費35.5km/L─
ハイブリッド車は、燃費に関わる部品・制御の数が非常に多く、各パートでの損失をどれだけ減らすことができるかが勝負です。ハイブリッドだから魔法のように燃費が良くなる訳では決してありません。THSⅡをはじめとして、空力ボディ、インバーターオートエアコンなど数多くの先進技術、部品1点1点の軽量化など、設計者と共に高い目標に向かって粘り強く燃費向上に取り組んだのが実を結びました。
最も厳しい基準をクリア
─排出ガス低減─
世界各国で販売するプリウスは、国内の「超−低排出ガスレベル」をはじめ、各地域の厳しい排出ガス基準をクリアしています。中でも北米の排出ガス規制では、世界で最も厳しいとされているAT-PZEV※の認定を受けています。
※ 「ゼロ排出ガス車として部分換算される先進技術搭載車」という意味。米国カルフォルニア州大気資源局がハイブリッド車や天然ガス車などの先進技術搭載車を対象として行なっている認証制度
スペック
グレード | S | G |
---|---|---|
車両型式 | ZA-NHW20-AHEEB | ZA-NHW20-AHEGB |
重量(kg) | 1,250 | 1,270 |
全長(mm) | 4,445 | ← |
全幅(mm) | 1,725 | ← |
全高(mm) | 1,490 | ← |
ホイールベース(mm) | 2,700 | ← |
エンジン型式 | 1NZ-FXE | ← |
エンジン種類 | 水冷直列4気筒横置DOHC | ← |
排気量(cm3) | 1,496 | ← |
最高出力kW/(PS)/r.pm | 57/77/5,000 | ← |
エコとパワーを同時に進化させた
「ハイブリッド・シナジー・ドライブ」
「ハイブリッド車を広く世界に普及・浸透」させるため、新型プリウスには、これまで以上の環境性能に加えて、クルマ本来の魅力である、所有する喜び、運転する楽しさ、走る気持ち良さをお客様に存分に味わっていただけるクルマにしたいと考えました。
エコとパワーを同時にかつ、飛躍的に進化させる「ハイブリッド・シナジー・ドライブ」のコンセプトの下、新世代トヨタハイブリッドシステム「THSⅡ」をはじめ、未来的なスタイリングや心地よいハンドリングなど、数々の魅力的な先進機能、装備を採用しました。
“先駈け”に由来するプリウスの名にふさわしい、時代をリードする革新的なクルマに仕上がったと確信しています。