• 水素エンジンカローラの初戦である富士24時間レースから1年が経過し、水素やカーボンニュートラル燃料を「つくる」「はこぶ」「つかう」仲間が増加
  • 新たに、神戸製鋼とジャパンハイドロが仲間に加わり、カーボンニュートラル実現に向けた広がりがさらに加速
  • アジアのパートナー企業5社がORC ROOKIE Racingのスポンサーに参画し、アジアでのモータースポーツの盛り上げを目指す
  • スーパー耐久シリーズでの1年間の知見を生かし、水素エンジン車市販化に向けた取り組みと、液体水素搭載への挑戦を開始

トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)は、6月3日から5日に行われる「ENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第2戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」(以下、富士24時間レース)において、スーパー耐久シリーズでの取り組みの進捗を発表しました。

富士24時間レース 記者会見

  1. スーパー耐久シリーズで広がった仲間の取り組み

  1. スーパー耐久シリーズでの取り組みの振り返り

これまでスーパー耐久シリーズを支えてきたスーパー耐久機構はじめ、多くの関係者様、お客様にご協力いただき、水素エンジンカローラが初めてレースに参戦してから、1年が経過しました。今回の富士24時間レースを含む計6戦、レースを重ねるごとに、カーボンニュートラルという同じ目的を持つ、「意志ある情熱」に共感した仲間が集まり、スーパー耐久シリーズで水素やカーボンニュートラル燃料を「つくる」「はこぶ」「つかう」企業や自治体が、8(2021年5月22日時点)から24(2022年6月3日時点)※1に増えました。エネルギーの選択肢の増加、水素運搬量の増加、エンジン性能や航続距離の向上、水素充填時間の短縮など、レースを通じた水素やカーボンニュートラル燃料を「つくる」「はこぶ」「つかう」挑戦は1年間で進化しました。

  1. つくる

1年間のレースを通じて、水素を「つくる」では、福島県浪江町(FH2R)をはじめ、株式会社大林組、トヨタ自動車九州株式会社、岩谷産業株式会社・川崎重工業株式会社・電源開発株式会社が参画するHySTRA※2、福岡市、山梨県が、それぞれ水素を製造し、レースに参戦する水素エンジンカローラに使用しました。

水素エンジンカローラに供給した水素の製造エネルギー
企業・自治体 水素製造エネルギー
トヨタ自動車九州株式会社 太陽光
福島県浪江町(FH2R)
山梨県
株式会社大林組 地熱
岩谷産業株式会社 HySTRA 褐炭
川崎重工業株式会社
電源開発株式会社
福岡市 下水バイオガス

  1. はこぶ

水素を「はこぶ」では、トヨタ輸送株式会社のバイオ燃料トラックや、Commercial Japan Partnership Technologies株式会社(CJPT)の取り組むFC小型トラックが水素をサーキットまで運搬しました。また、電源開発株式会社が、オーストラリアで製造した褐炭由来水素を試験的に空輸で運搬し、岩谷産業株式会社、川崎重工業株式会社の協力で、水素エンジンカローラの燃料として使用しました。

FC小型トラックでの「はこぶ」改善と水素運搬量の推移
項目 改善内容
水素タンク 金属製タンクから軽量かつ高圧で水素運搬可能な樹脂ライナー製タンクへ変更
水素タンク圧力 20MPaから45MPaに向上
水素運搬量 15kgから約4倍の56kgの水素を運搬

  1. つかう

水素を「つかう」では、水素エンジンカローラがレースに毎戦参戦することで、水素エンジンカローラのエンジン性能や航続距離、水素充填時間などを改善しました。また、水素だけでなく、カーボンニュートラル燃料を使用した、トヨタの「ORC ROOKIE GR86 CNF Concept」や、株式会社SUBARU(以下、SUBARU)の「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」、次世代バイオディーゼル燃料を搭載したマツダ株式会社(以下、マツダ)の「MAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIO」もレースに参戦し、「つかう」燃料の選択肢や仲間もさらに広がっています。

1年間での水素エンジンカローラの進化
項目 改善内容
航続距離 約20%向上※3
出力 約20%向上
トルク 約30%向上
水素充填時間 約5分から1分半まで短縮

  1. スーパー耐久シリーズを契機に広がったレース以外の取り組み

スーパー耐久シリーズを通じて繋がった、水素やカーボンニュートラル燃料を「つくる」「はこぶ」「つかう」企業や自治体が、スーパー耐久シリーズでのレースを契機に、レース以外の場でもカーボンニュートラル社会実現に向けた取り組みをさらに加速させており、仲間のさらなる行動が広がっています。

スーパー耐久シリーズで広がった主な企業・自治体のレース以外での取り組み(五十音順)
企業・自治体 取り組み 時期
株式会社大林組 福島県浪江町で国内初の水素供給ネットワーク最適化に向けた実証運用を開始 2022/4/12
川崎重工業株式会社 豪州褐炭由来水素を積載した、液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」が神戸に帰港 2022/2/25
トヨタ自動車九州株式会社 「カーボンニュートラルに関する連携協定」を北九州市と締結 2022/4/22
トヨタ輸送株式会社 車両部品の輸送に、バイオ燃料トラックを使用 2021/11~
福岡市 トヨタとCJPTと水素社会のまちづくり実現に向けた幅広い取り組みに関する連携協定を締結し、燃料電池車両等の導入に向けた検討を開始 2022/2/7
ヤマハ発動機株式会社 LEXUS初の水素四輪バギー「ROV Concept」の水素エンジン共同開発契約をトヨタと締結 2022/5

  1. 富士24時間レースでの新たな仲間

今回の富士24時間レースでは、新たに株式会社神戸製鋼所(以下、神戸製鋼)とジャパンハイドロ株式会社(以下、ジャパンハイドロ)が仲間に加わりました。

  1. 神戸製鋼

神戸製鋼は、高炉工程におけるCO2排出量を大幅に削減した低CO2高炉鋼材「Kobenable Steel」を開発・商品化しました。「Kobenable Steel」は、天然ガスを使った還元鉄製鉄法(MIDREX®プロセス)を用いて製造した、還元鉄(鉄鉱石を還元した鉄鋼原料)を高炉に多量装入することで、高炉からのCO2排出量を大幅に削減できる技術を活用したものです。商品の種類は「Kobenable Premier」と「Kobenable Half」の2種類あり、トンあたりのCO2排出量の削減率が100%である「Kobenable Premier」を、水素エンジンカローラのサスペンションメンバーに使用しています。

  1. ジャパンハイドロ

ジャパンハイドロが6月から国内販売およびレンタルを開始する「水素専焼発電機」を、富士スピードウェイ内イベント広場の一部ブースで使用し、電力供給を行います。本発電機は水素のみを燃料とするため、燃焼時にCO2を排出しません。

その他、トヨタとウーブン・プラネット・ホールディングス株式会社が開発した、手軽に水素を持ち運びでき、生活圏の幅広い用途で水素エネルギーを使用できるポータブル水素カートリッジのプロトタイプを、富士24時間レースのイベント広場に展示します。ポータブルなサイズであるため、生活圏に水素の持ち運びが可能になるものです。

  1. 富士24時間レースでの参戦体制

富士24時間レースでは、ORC ROOKIE Racingのスポットドライバーとして、TOYOTA GAZOO Racing WRTチーム代表のヤリ-マティ・ラトバラが参戦します。世界で戦い、様々なクルマを知り尽くしたドライバーの参戦により、水素エンジンのさらなる進化につなげるとともに、モータースポーツを通じたカーボンニュートラルへの取り組みを世界に発信する推進力にしていきます。

  1. モータースポーツのアジアでの広がり

トヨタ、富士スピードウェイ株式会社、トヨタ不動産株式会社は、静岡県小山町において、「富士モータースポーツフォレスト」プロジェクトを推進しています。多くの方に「富士モータースポーツフォレスト」に行ってみたいと思っていただけるような場所を目指し、この場所を起点に、日本だけでなくアジアにモータースポーツ文化を発展させていきます。

また、スーパー耐久シリーズを契機としたモータースポーツの繋がりがグローバルに広がっており、トヨタ/LEXUS/日野自動車株式会社に関連する事業を営み、アジアでモータースポーツを発展させたい想いを持つパートナー企業の5社※3が、2022年シーズンから、ROOKIE Racingのスポンサーに参画します。アジアのパートナー企業がモータースポーツを盛り上げる仲間に加わることで、モータースポーツを起点とした「もっといいクルマづくり」を日本だけでなく、アジアでも広く知っていただけるよう、取り組んでいきます。

アジアのパートナー企業5社※3
企業名 地域 代表者(敬称略)
和泰汽車股份有限公司 台湾 蘇 純興(Justin Su)
GT Capital Holdings Inc. フィリピン Alfred V. Ty
Jardine Matheson Holdings Ltd. 香港 Ben Keswick
中升集団控股有限公司 中国 黄 毅(Huang Yi)
KUO International (private) Ltd. シンガポール Peter Fu

  1. 車両の進化

  1. 水素エンジン技術

  1. 水素エンジン車の市販化に向けた取り組み

レースで鍛えた技術を生かし、水素エンジン車の市販化に向けた研究開発を開始しました。富士24時間レースのイベント広場で、実証試験車であるカローラ クロスをベースとした水素エンジン車両を展示します。エンジンは、レースを走行する水素エンジンカローラと同じ3気筒ターボで、MIRAIの技術を活用した圧縮気体水素タンクを床下に2本搭載しています。厳しいモータースポーツの環境で水素エンジン技術を鍛えながら、車体側の技術開発も進めていきます。

  1. 液体水素搭載への挑戦

水素エンジンカローラの航続距離向上を目指し、液体水素搭載技術への挑戦を続けています。気体水素よりもエネルギー密度が高く、水素エンジンと液体水素を組み合わせることができれば、航続距離がガソリン車に近づき、水素ステーションも約1/4の面積で運用できるようになります。富士24時間レースの給水素エリアに、「移動式液体水素ステーション」と「液体水素搭載水素エンジンカローラ」のコンセプトモデルを展示します。

  • 移動式液体水素ステーション
    移動式液体水素ステーション
  • 車載用液体水素システム
    車載用液体水素システム
車載用液体水素システム

  1. GR86(カーボンニュートラル燃料)

「ORC ROOKIE GR86 CNF Concept」は、同じくST-Qクラスに参戦するSUBARUの「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」と競い合いながらモータースポーツの現場で鍛えることで、カーボンニュートラル燃料の課題を発見・改善し、将来的な実用化の可能性を探っていくことを目的にレースに参戦しています。富士24時間レースに向けては、燃料がオイルに希釈するという問題を解決するため改善を進め、噴射の仕方をコントロールすることで連続走行時間の大幅な向上を実現しました。課題の明確化も含め、挑戦はまだ始まったばかりですが、今後もSUBARUや次世代バイオディーゼル燃料で参戦しているマツダと競争・協調しながら、ともに「つかう」燃料の選択肢を広げる取り組みを進めていきます。

トヨタは、今後も多くの関係者の皆様と共にモータースポーツの厳しい環境で、車両を鍛え、開発を加速させていくとともに、より良いカーボンニュートラル社会の実現に向けて、業界の枠を超えた幅広い仲間づくりを進め、水素やカーボンニュートラル燃料を「つくる」「はこぶ」「つかう」選択肢をさらに広げていきます。

※1 スーパー耐久シリーズで広がった24の企業・自治体(レースごとに五十音順)
  • 2021/5/23-25 富士スピードウェイ(企業・自治体数累計 8)
    岩谷産業株式会社、スーパー耐久機構、大陽日酸株式会社、株式会社デンソー、トヨタ自動車株式会社、福島県浪江町(FH2R)、ROOKIE Racing、各サーキット会場(富士スピードウェイ、オートポリス、鈴鹿サーキット、岡山国際サーキット)
  • 2021/7/31-8/1 オートポリス(企業・自治体数累計 11)
    株式会社大林組、川崎重工業株式会社、トヨタ自動車九州株式会社
  • 2021/9/18-19 鈴鹿サーキット(企業・自治体数累計 15)
    Commercial Japan Partnership Technologies 株式会社、電源開発株式会社、トヨタ輸送株式会社、みえ水素ステーション
  • 2021/11/14-15 岡山国際サーキット(企業・自治体数累計 20)
    株式会社SUBARU、マツダ株式会社、福岡市、ヤマハ発動機株式会社、株式会社ユーグレナ
  • 2022/3/19-20 鈴鹿サーキット(企業・自治体数累計 22)
    山梨県、株式会社やまなしハイドロジェンカンパニー
  • 2022/6/3-5 富士スピードウェイ(企業・自治体数累計 24)
    株式会社神戸製鋼所、ジャパンハイドロ株式会社
※2 技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構
※3 2021年富士24時間レースと同じ出力に揃えた場合

以上

BEYOND ZERO

~マイナスからゼロへ、ゼロを超えた新たな価値を~

トヨタは、「地球という美しい故郷(Home Planet)を次世代に引き継ぐ」ために、社会や個人が抱える様々な課題の解決(マイナスをゼロにする)に取り組むだけではなく、ゼロを超えた新たな価値の創出・提供を目指し、「回答のない未来へ弛まぬ挑戦」を続けていきます。

BEYOND ZERO
https://global.toyota/jp/mobility/beyond-zero/
Sustainable Development Goals

トヨタは、革新的で安全かつ高品質なモノづくりやサービスの提供を通じ「幸せを量産する」ことに取り組んでいます。1937年の創業以来80年あまり、「豊田綱領」のもと、お客様、パートナー、従業員、そして地域社会の皆さまの幸せをサポートすることが、企業の成長にも繋がると考え、安全で、環境に優しく、誰もが参画できる住みやすい社会の実現を目指してきました。現在トヨタは、コネクティッド・自動化・電動化などの新しい技術分野にも一層力を入れ、モビリティカンパニーへと生まれ変わろうとしています。この変革の中において、引き続き創業の精神および国連が定めたSDGsを尊重し、すべての人が自由に移動できるより良いモビリティ社会の実現に向けて努力してまいります。

SDGsへの取り組み
https://global.toyota/jp/sustainability/sdgs/

今回の取り組みを通じて特に貢献可能なSDGsの目標

  • エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 住み続けられるまちづくりを
  • 気候変動に具体的な対策を
  • パートナーシップで目標を達成しよう

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車載用液体水素システム
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