クロード・モネ《日傘をさす女性、モネ夫人とその息子》
1875年,油彩、カンヴァス,100 × 81 cm,ワシントン・ナショナル・ギャラリー/ Artvee

クロード・モネ《ポプラ並木》
1891年,油彩、カンヴァス,116.7 × 72.7 cm,個人蔵/ Bridgeman Images

クロード・モネ《舟遊び》
1887年,油彩、カンヴァス,145.5 × 133.5 cm,国立西洋美術館、東京

第3章自然のなかへ

自然は、モネが生涯を通じて向き合い続けた重要な主題です。1871年末に移り住んだアルジャントゥイユでは、セーヌ河を中心に、帆船や橋、河岸の草木、川沿いの観光地で行楽を楽しむ人々を描きました。水面に映る空や船の反射を軽やかな筆触で捉え、光によって揺れ動く色彩として表した点に、この時期の作品の特徴があります。 その後も、ヴェトゥイユをはじめとするセーヌ河畔の各地で制作を重ね、川の霧や雪、解氷、あるいは洪水など、季節や気象によって変化する風景を見つめました。モネにとって自然は、固定された形をもつものではなく、光や大気、時刻や天候に応じて絶えず表情を変える現象だったのです。

1883年に一家で移り住んだ小村ジヴェルニーでは、周囲に広がる野原やセーヌ河の支流、畑の積みわらや川沿いのポプラ並木など、身近な自然がモネの主要なモティーフとなりました。同じ場所や対象を、異なる時刻や季節のもとで繰り返し描く「連作」と呼ばれる作品では、対象そのものよりも、それを包む光と大気の変化が中心的な主題となります。モネの風景画には、自然の一瞬の表情を捉えるとともに、その絶え間ない変化を描きとどめようとする、持続的なまなざしが息づいています。

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