クロード・モネ《ラ・ジャポネーズ(着物を着たカミーユ・モネ)》
1876年,油彩、カンヴァス,231.8 × 142.3 cm,ボストン美術館/ akg-images

第4章ジャポニスム

19世紀後半、日本の開国と国際交流の進展にともない、浮世絵、陶磁器、漆器、染織品などがヨーロッパへ渡りました。パリ万国博覧会や美術商を通じて紹介された日本美術は、やがて「ジャポニスム」と呼ばれる熱狂を生み、フランスの美術や工芸、文学に広く浸透します。西洋の遠近法や陰影表現とは異なる、左右非対称の構図、大胆な切り取り、斜めに見下ろす視点、平面的で鮮やかな色彩は、画家たちに新たな視覚表現の可能性を示しました。

モネも早くから浮世絵に関心を寄せ、葛飾北斎、歌川広重、喜多川歌麿らの作品を収集しました。その出会いの正確な時期や経緯には諸説ありますが、収集は長年にわたって続き、ジヴェルニーの邸宅には200点を超える浮世絵が飾られていました。 浮世絵の影響は、モネの特定の作品に単純に対応させるよりも、画面の周縁で対象を切り取る構図、奥行きを圧縮した空間、単一のモティーフを異なる条件のもとで反復する発想などに認めることができます。日本美術はモネにとって異国趣味にとどまらず、自然を新たな視点から捉え、西洋絵画の伝統を問い直すための重要な刺激となったのです。

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