自分以外の誰かの幸せのために
いま世界では、環境問題や感染症の拡大といった地球規模で対応すべき課題が深刻さを増し、地球社会の一員としての企業の生き方そのものが問われています。
トヨタの社会貢献活動もまた、“未来にどうありたいか”という視点で具体的な行動を起こす時だと考えています。
SDGs実現に向けて、取り組むべき分野を「共生社会」「人財育成*」「地域共創」、トヨタが目指す「Mobility for All」とし、誰もが豊かな心で、力強く生きていける地球社会の構築を目指します。
各分野の課題には、「自分事」として「現地現物」で取り組み、自らの力だけで解決できない課題には、未来への志を同じくするパートナーと共に臨みます。
トヨタの創業の原点は、人々の幸せを創造すること。社会貢献を通じて、これからも自分以外の誰かの幸せのために企業活動を推進していきます。
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- 「パンデミックの中でのプチ幸せの量産」~メセナアワード2021大賞受賞~
- 災害被災時の車中泊避難に対する取り組み
自然も人間も多様性が活かされる社会をめざして共生社会
多様な人々が活躍し支え合って生きる社会。自然の中で人間も生態系の一員であるという認識に基づき生き物たちと共生する社会。これらはともに、トヨタが目指す多様性が活かされる共生社会です。
経済の発展に伴い、人は豊かさを獲得してきた一方で、地球環境には負荷をかけてきました。地球温暖化は豪雨や山林火災の多発など目に見えるかたちで顕在化し、すべての生きものに影響を及ぼしています。
これまでにも各国・各地の実情に合わせた活動を展開してきましたが、地球環境が危機的な状況にあるという認識をさらに深め、従業員や多世代の人々の意識の変革につながる環境教育に力をいれています。愛知県豊田市にあるトヨタの森では、自然共生社会の実現を目指し、人の「食」と生きものとの深いつながりを伝えるなど、生物多様性を身近に感じてもらえるプログラムを実施しています。
また、人間社会においても多様性を尊重し、共に支え合う未来を目指します。知的障がいのあるアスリートを支援するスペシャルオリンピックス(SO)は「それぞれが持つ違いを個性として、互いに尊重し合う、すべての人に開かれた垣根のない世界」を活動の理念としています。トヨタはこうした理念に共感し、共生社会の魅力を世界の人々に伝えるSOの活動を応援しています。
未来のために、人として豊かに生きる力を育む人財育成
モノづくりは人づくりから――これは会社設立時から継承されているトヨタの教育・人財育成の理念です。モノづくりの未来を拓く「人づくり」の取り組みを続けています。
子どもたちに、学びの楽しさやモノづくりの大切さを伝えていくことを目的に、1996年から小学生向け科学工作教室「科学のびっくり箱!なぜなにレクチャー」を開催しています。
新たに開始した「燃料電池自動車」教室では、水素で走る「MIRAI(ミライ)」の技術をわかりやすく伝えています。身近なもので燃料電池を作ったり、水素で走るラジコンカーの操縦を体験します。
講師は、普段クルマの研究開発や設計などをしている従業員の有志が務め、プログラムは独自に開発したものです。モノづくりを通じて試行錯誤することで集中力を育み、創作意欲を引き出します。
これからも未来を担う子どもたちへ体験型教育などで貢献していきます。
- 人財
- 「人」は一人ひとりが多様で、かけがえのない力を持った存在であると捉え、その力を育むことを意図しています。
地域に寄り添い、より良い社会へ地域共創
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- 被災地への車両貸し出し
- 車両にはロゴマークを貼り、被災地での活動を円滑にしています。
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- 側溝の泥だし
地域社会とともに生きるトヨタにとって、地域課題の解決に向けた取り組みは欠かせません。それを持続可能にするためには、トヨタの持つ技術やノウハウなどのリソーセスの活用が大切だと考えています。
頻発する自然災害にモビリティの分野で貢献できないかと、2018年に「TDRS」(Toyota Disaster Recovery Support : トヨタ災害復旧支援)を立ち上げました。車両の貸出しや車中泊避難の支援、災害ボランティアコーディネーターの育成などに取り組んでいます。「令和2年7月豪雨災害」では、熊本県などで地元販売店と協力し、移動用車両の貸出や災害ボランティアセンターの運営のお手伝いもさせていただきました。
今後も、一刻も早い復旧と復興に向けて、寄り添う活動を続けていきます。
すべての人に自由で安全な移動を提供するMobility for All
障がいのある方も、子どもも高齢者も。誰もが思いのままに、安心して移動できること。これがトヨタが描く社会の未来像です。
2020年、自動車以外の移動の自由を推進する取り組みとして、「モバイルトイレ」プロジェクトを立ち上げました。
車いす使用者など、障がいのある方が外出を躊躇する理由のひとつにバリアフリートイレが少ないことがあげられます。この問題に対し、トイレやバリアフリーに知見をもつ株式会社LIXILと共同で移動型バリアフリートイレを開発しました。けん引により自由に移動して設置できることで、各種イベントへの参加やスポーツ観戦など、外出の幅を広げたいと考えています。
また交通事故は、移動の自由を妨げる要因のひとつです。交通事故死傷者ゼロ社会の実現に向け、1960年代より、幼児向け絵本や安全教室を通じた子どもの交通安全教育、独自の安全運転プログラムを通じたドライバーと歩行者の意識向上を支援してきました。
高齢者にとってクルマは欠かせない移動手段です。しかし、その事故率は増加傾向にあります。いつまでも長く安全に運転していただけるよう、シニア講習などを実施しています。これからも時代に即した活動を通して、安心安全なモビリティ社会の実現に貢献していきます。
トピックス
「パンデミックの中でのプチ幸せの量産」~メセナアワード2021大賞受賞~
新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、コンサート等のメセナ活動はこれまでと同じスタイルではできなくなりました。仲間との練習、それを披露するコンサート、皆が集い楽しむ場がなくなる中でも、心を動かす芸術の灯をともし続けるためコロナ禍でできる事を考え、活動を続けた1年間でした。
その活動が評価され、この度、メセナアワード※2021において「メセナ大賞」を受賞いたしました。
コロナウイルスの世界的な拡大で始まった2020年、いち早く取り組んだのは今では当たり前となっているオンラインレッスンでした。
青少年たちの大切な学びをサポートするため、プロの音楽家に、慣れないオンラインでのご指導をお願いしました。ネットTAMでは、コロナ以降の芸術文化活動をテーマにしたオンライントークイベントなど地道に活動を継続してきました。また「ウィーン・プレミアム・コンサート」の公演が中止となった会場を、発表の場を失ったアーティストに無償提供する「夢をかなえるコンサート」も開催。
これまで築いてきたネットワークを活用し、協働先のみなさんと一緒に小さな幸せを積み重ねてきました。ステイホームが続き、移動の自由が奪われても、「MOVE=心を動かす」体験を一人でも多くの人に届けたい。自分以外の誰かのことを思い行動する「幸せの量産」をメセナ活動でも推進していきます。
※ | 公益財団法人 企業メセナ協議会が企業によるメセナの充実と社会からの関心を高めることを目的に、1991年に創設。前年度に実施された芸術文化振興による豊かな社会創造活動を公募し、表彰。 |
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まずはオンラインでできる事との接点探しを急速に進める前半期
コロナ禍を逆手に、普段やらないことをやる“きっかけ”に
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- 公演中止となったサントリーホールを、公募でコロナ禍のアーティストに発表の場を提供
なぜトヨタが芸術活動を応援するのか?
続きは、こちらのインタビュー記事をご覧ください。
災害被災時の車中泊避難に対する取り組み
「やむを得ないクルマ避難の備え」動画のご紹介
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トヨタ災害復旧支援(TDRS)
TOYOTA DISASTER RECOVERY SUPPORT
車中泊避難には命に関わるリスクがあります。
いつ遭遇するかわからない災害の備えとして、やむをえず車中泊避難をする時の方法を動画にまとめました。ぜひご覧ください。
豪雨や地震などの被災地では、多くの方がクルマを避難場所として利用しており、2016年の熊本地震では約6割の方がクルマ避難をされていました。今後はコロナ禍での分散避難の必要性から、その増加が予想されます。
しかしクルマの中での避難生活はエコノミークラス症候群をはじめとした災害関連死のリスクも高いことから、安全な「車中泊避難」のための啓発活動を推進しています。
たくさんの、闘う笑顔と出会いたい「sMiLES」
もっといいクルマを考えるように、もっといい町や、もっといい社会、もっといい未来について考えていきたい。社会の課題と向き合い、笑顔を忘れず、闘い、未来のために挑戦する人達の活動をドキュメンタリーでご紹介しています。