ボブ・ベーコンさんとハイラックス

トヨタのハイラックスは、他のクルマが走行できない過酷な環境をものともしない堅牢性と耐久性で注目を集め、高い評価を得てきました。

ハイラックスの高い評価は、長年にわたり何代ものモデルが培ってきた実績に根差しています。このピックアップトラックの頑丈さといえば、南極と北極の両方を走破する姿や、噴火する火山を駆け上がる姿が思い浮かびます。一方、ボブ・ベーコンさんの1984年式4代目ハイラックスは、働き者のトヨタ車という一面を思い出させてくれます。それは、決して弱音を吐かず、数十年にわたってオーナーに尽くし続ける姿です。

四輪駆動の4代目ハイラックスは、一般路でもオフロードでも圧倒的な存在感を放っていました。サスペンションの利いた高い位置にあるシートからは遠くまで見渡すことができます。ベーコンさんのハイラックスがカンブリア州の放牧地を縦横無尽に走り回ってきたように、商用として好評を博したのはもちろんのこと、張りのあるボディとモダンなインテリアはライフスタイル市場でも人気を集めました。1985年公開の映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」の1作目では、主人公マーティ・マクフライがぴかぴかの黒いハイラックスに乗っているシーンがとても印象的でした。

ハイラックスが市場に普及したのは4代目からで、その人気は後継モデルにも受け継がれました。しかしトヨタは、「堅牢性、信頼性、耐久性」というハイラックスのコアバリューを忘れたことはありません。

「トップ・ギア」で証明されたハイラックスの頑丈さ

BBCのテレビ番組「トップ・ギア」で、4代目ハイラックスに向かってありとあらゆる物が投げつけられ、あらゆる衝撃を与えられて傷だらけになりましたが、それでも走り続け、ハイラックスの頑丈さが証明されたのです。もちろんベーコンさんは、30年乗り続けた愛車をそんなふうに扱ったことはありませんが、彼が信頼を寄せていたこのトヨタ車は、イギリスでもとりわけ過酷な天候と自然で知られるカンブリア州の荒野を40万キロ以上走行してきました。月までよりも長い距離を走ったのです。

ベーコンさんは2017年にお亡くなりになりました。心よりご冥福を祈ります。